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zoom RSS オーデュポンの祈り by伊坂幸太郎

<<   作成日時 : 2005/07/15 19:23   >>

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未来を知ることが出来たら、あなたならどうするだろう?しかも長い長い間、人が変わって、風景が変わって、時間が流れても自分は未来のことを見続け、それが現実になっていくのをただ傍観している。そんな長い年月を生きなければならなかったとしたら、どうなるだろう?
その島は 外界から隔離された「別世界」で、住民は無法地帯そのもののような突拍子もない人々で、疑問を持つことすら無意味に思えてくる空間だ。 しかもそこには未来を予言し言葉をしゃべる「案山子」がいる。存在自体が「法」であるという殺人者がいる。 そして言い伝えがある。「島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく」と。
預言者(予言者)、法(制裁)、閉じた空間=異界、来訪者=客人・・・と材料がそろうと、私なんぞには民俗学の姿がちらついてならない。もちろん作者の意図がそこにあるかどうかは別として。
折口信夫の著作を好む私としては、来訪者(島の外から来た奴)が何かをもたらす(置いていく)というのは、非常に面白い。これはやはりアレか?客人(まれびと)信仰か?なんて。 本筋とは大きくずれてしまうかもしれないが、閉鎖された空間に新しい「モノ」が舞い込む。交流が始まる。閉じた空間が開ける。新しい時代が始まる。未来を予言する案山子を立てた江戸時代の禄次郎、彼は閉ざされる島の危機に、直訴し、殺された。自分の代わりに、世界を見る、情報をこの島にもたらす、この島を見届ける「案山子」を立てた。 月日が流れ、案山子は鳥の声を聞き、情報を島に流し、未来を知り、この島を守った。 言い伝え通り、来訪者=主人公はこの島に来て欠けているものをもたらした。
(正直、それが「音楽」だというところだけ、なんだか脈絡もなく浮いているきがするのだが;;)
とにかく、この島にそれがもたらされ外界とつながり、彼禄次郎の願いはかなったのだ。だから案山子も死んだ。案山子がなぜ自殺したか?彼は神の位置から降りたかったのだという。
未来を予言する。島に情報をもたらす。人を導く。 そんな神のような所業に疲れたのだ。
ここでちょっとそれるが、『金枝篇』をかいつまむ。『神殺し』の必然性について、考えてみた。神は世代交代する。新たな活力を得るために、生まれ変わるために、より人間が生きるために。
あらゆるものに寿命があるように、永遠のモノはない。生まれ、栄え、衰え、死ぬ。殺されることで次の世代に再生する。そうして世界は続いてきた。 主人公である『島の外から来た奴」が現れた今、案山子はようやくその長きにわたった勤めを終え、重荷を下ろすことが出来たのだと。
随分自分勝手な解釈だが、こんな風変わりな解釈も面白いと、聞き流して欲しい。


オーデュボンの祈り
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