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zoom RSS 『孤宿の人』 by 宮部みゆき

<<   作成日時 : 2005/09/19 02:23   >>

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書評や解説に、「悪鬼とされて流されてきた罪人加賀様が無垢な少女ほうとふれあい、心を開いていく」とか書かれているが、どこがだ?と聞きたくなる。この作品は、そんなことを書きたくてかかれたものではないだろう?見当違いも甚だしい。
主題は、誰の心にも潜む、光と闇、仏と鬼の二面性。
そしてその「鬼」がふとしたことで形を成してしまうこと、
人間というものは、あるいは他のモノに心の闇をなすり付けて「鬼」としてしまうことがある、
そういうことがこの作品全体を揺り動かし、貫いているのではないか。
無垢なほうの心に「仏を見た」と、住職たちは最後に言っている。
心の弱きもの、鬼たちは、皆死んでしまった。
これは日本の民俗学に関係するところが大いにあると思う。
日本人は荒ぶる神、荒御霊を招き、祭り上げることで昇華し神に昇格させることで
守り神へと変換するすべを知っている。まさしくこの加賀様のように。
また災厄や天災、「あってはならぬこと」、たとえば殺人…を外部からの来訪者=異人の、すなわち鬼のせいにして説明し片付けるという責任逃れの方法も知っていた。
欲、願望、羨望、ねたみ、虚栄心、様々な心の闇が、鬼が、人の心には巣くっている。
それがふとしたきっかけであふれ出た、そういう一つのケースを語った悲話であると思う。
そして悲しいほどに、登場人物の誰もが悲しく苦しい思いを抱えていて、誰もが必死に救いを求めている。みな、誰かのために、何かのために、愛するものを持つがゆえに、だ。
ひたすら切ない、悲しいと思う。けれどこの物語はいつでも私たちの心に横たわる闇、鬼を浮き立たせる。けれど一つ、忘れてはならない救いを私も「ほう」の心に見た。
仏はあらゆるものに備わっているのだと。

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孤宿の人 宮部みゆき 新人物往来社
実は大概の本は図書館で調達します。全部買ってたら、まず今でも 危ないうちの家の床が抜ける。置き場所ももう限界です。(収納する、というのでななく 置く、というところに悲しみがあるわけです)そして気に入ったら買う・・。 しかし、宮部みゆきさんの本は、大体即買いします。やはり期待度がそれだけ高い んですよ。最近上下巻続きでお財布にも辛いところですが、やはり買ってしまいますねえ。 ...続きを見る
おいしい本箱Diary
2005/09/22 22:47

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとうございます。民俗学からのアプローチ、興味深く読ませていただきました。確かにこの作品は、巷で言われるほどハートフルなものではないと思います。それをハートフルのように読ませてしまうのも、宮部みゆきさんの力なのかもしれない、とも思いますが。
ERI
2005/09/22 22:46

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