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zoom RSS 『女王様と私』 by 歌野昌午

<<   作成日時 : 2005/09/23 01:40   >>

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半分引きこもりでデブ、さえないオタク、ロリコン、40代半ばのニート・・・いわゆる「キモイ」社会脱落者を地で行ったような男、真藤数馬は世界から隔絶し、ただ一人の「妹」(=人形)と自分の世界に生きることで完結していた。「女王様」来未に会うまでは。
大金を使わされ、ケチョン×2に下げずまれけなされ振り回される真藤だが、突然来未が態度を一変し彼女の友人たちに降りかかった殺人の真相解明に奔走する。
事件を追ううちに真藤は次第に自分から積極的に行動し、殻から出る…来未のために・・・とかくと、一人のダメ男が世界に目を向け、社会参加できる、すなわち一人立ちできるようになるまでの成長物語になってしまうが、ところがどっこい、まるっきり違った。
正義感ぶっていられるのは前半だけ。後半は全てがひっくり返り、彼は逆に犯罪者として追われる身になり、今度は真相をつかむべく奔走する。
この登場人物たちは誰一人として「まとも」な人間がいない、というのがポイントだろう。
自分の欲望のままに動いている人間たち。今回書きたかったのは、真藤のように自分の殻=自分の世界に意識を埋没し、逃げ帰ることで幸せを甘受し、それで完結してしまう人間の弱さではないかと思う。いや、弱さ、というのはまた違うか。現実逃避、という言葉は少なからず悪い印象を与えてしまうが、人間は困難にぶち当たったり逃げ場がなくなったりした時、最後にどこへ逃げ込むか。どう対処するか。・・・自分の世界。自分が支配する、自分が全てを決定付ける、自分のためのストーリ世界に逃げ込むのだ。そうして物語が、小説が、生まれる。あるべきもう一つの世界が生まれる。
歌野の以前の作品『世界の終わり、あるいは始まり』に、ある意味非情によく似た作品ではないかとも思うが、根本的に違うのは彼真藤がこの世界を自分のためだけに自分で作り、逃げたことにある。
本文をあまり詳しく記すとネタばれになってしまうので省略するが、結局彼はこっちの世界=現実に『平穏無事』を求めて帰ってくる・・・が、現実世界もまた自分に冷たいことを知ると、またあっちの世界=妄想に旅立ってしまう。もう、二度と帰っては来るまい。
はっきり言って、いろいろな意味で「オタク」らしさのようなもの、記述が少なすぎる。会話や言葉遣いだけでオタクを説明しようとして仕切れていないのが惜しいと思う。
会話文や言葉遣いも半端で気持ち悪い。
けれど、相変わらずやってくれた!と思うのはこのどんでん返し。途中予想できる範囲のモノではあったけれど、面白かった。 一番面白かったのは、私的には前半だったが。
「電車男」が今日、最終回を迎えてしまったこの日にこの作品を読んだ・・・タイミングがいいんだか悪いんだか。 電車男とは全く正反対のオタクストーリー。秋葉もまんだらけも同人誌も出てこないが、オタクというよりは一人の現実逃避癖の弱者が行き着くところまでを書いた物語、といった感じだ。
女王様と私
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私も、前半部分をすっごく楽しんでいて、後半は「ええぇ〜〜?」って思ってしまいました。
物語の終わり方が、「逃げ」だったのがちょっと、納得イカナイというか、やり切れないなぁ、と感じました。ストーリー展開とかは良かったんですけどね。
水無月・R
2007/04/23 22:46
そうですね。面白いところに目をつけてるし、書き出した当時はまだ『電車男』というコトバが無い時代だったそうで。時代を先取りしたはいいけど力足らず、ってとこでしょうか;;
空蝉
2007/04/24 00:12

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