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zoom RSS 『夜市』 by 恒川光太郎 より、書評

<<   作成日時 : 2005/11/14 00:55   >>

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この世の者ではない人外の妖怪たちや死者たちが営む異世界での「夜市」。
ぞこに足を踏み入れてしまった人間は、「何か」を買わなくては本の世界に帰れない・・・。
幼い頃、弟と二人ここへ踏み入れてしまった祐司は、そこを出るために弟を人買いに売ってしまった。「野球の才能」という器(器量)と引き換えに。祐司が帰ったもとの世界に、弟の存在する余地は消えていた。そして月日は流れ、祐司は再び昔の同級生いずみと共に夜市へと向かう。

第12回日本ホラー小説大賞受賞作品というだけあって、素晴らしい作品だった。
「異界」をテーマにしたものが私は好きだ。神話の「ヨモツヒラサカ」を連想させるような異界からの脱出ストーリー。「千と千尋〜」を思い起こさせるような化外のもの・神たちの国。
神隠しという言葉の先にこんな世界があるのではないかと思ってしまう。
その発想・舞台もだが、なにより感動したのは売られた弟の「夜市」でのその後の生き様と、
彼を助けに来た兄の最後に採った行動だ。私には「杜子春」を思わせる感動だった。
「杜子春」の最後、千人が彼に言った言葉は
 〜もしお前が黙つてゐたら、おれは即座にお前の命を絶つてしまはうと思つてゐた〜
弟は、きっと兄が本気で身を投げ出さなければ、ああはしなかった・・・とと、
ネタバレになるので詳しくは言わないでおこう。
生き延びていた弟が、こういう形で再会し、こういう結末になる・・・ここまででも驚きだった。
さらにもう一点、祐司が帰れなくなってしまった理由に「無欲なる者はどこにもいけない」とある。
あらゆるものが手にはいる「夜市」、逆に欲しいモノがない者は帰ることが出来ない「夜市」。
私は思う。「夜市」はあの世の、人外の世界。神の世界。死者の世界。
欲望・・・生きたいという希望を持たないものは、こちらにかえってこられないのだ と。
最後まで感動と発見をさせられた素晴らしい作品に出会えたことに感謝。
これはミステリーともホラーとも、ファンタジーとも言いがたい。
是非多くの人の手に渡って欲しいことを切に願う。
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