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zoom RSS 『ケッヘル』 by 中山可穂

<<   作成日時 : 2006/07/08 06:46   >>

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中山の作品は、いつもどれも旅に満ちている。旅・巡礼・巡回そして死と再生。
『砂の器』を想起させる物語だった、といっても別の意味で面白い。
『砂の器』が一人の人生の視点を中心に、一つの流れが語られているのに対し、『ケッヘル』はいくつもの人生が2人の視点から語られ次第に寄合い、やがて一つに収斂され、出口を解決を見つけていく救済の物語だ。

主人公の女は毎度同じくレズビアンだし、初めの逃避の旅は救いの無い形で終わってしまう。
彼女がひょんなことから知り合った社長Tの申し出によって勤めだした旅行会社だったが、添乗した先々で客は予定されていたかのように死んでいく。曲・ケッヘルに導かれて・・・。
誰が何のために殺したのか?一人の魅力的な女性・新鋭のピアニストが死の先に浮かんでくるが、彼女をどうにか救いたいと奔走する。

もう一人の主人公Tはモーツアルトを愛しすぎたがゆえに破滅していく両親に育てられ、落ちぶれてもなおモーツアルト『ケッヘル』に導かれるまま日本中を転々と彷徨し、旅の最終地点で出会った愛する女さえ破滅に追いやってしまう。

一連の死は彼女を追いやった事件へのTの復讐劇なのか?二人の主人公の、二つの人生が次第に繋がり二つの視点がやがて一つの物語になる。二つの『旅』はそれぞれの死を乗り越え、再生へと繋がっていく。

レズビアンの物語が中心の中山作品だけれど、今回は珍しく半分以上を男の人生が占めている。が、まったく違和感もなく非常におもしろい。

実は今回初めて中山先生のサイン会に出向いた。一人一人の本に可愛い猫の絵まで描いてくださる中山先生は、とても優しそうで素敵な方でした。これからも頑張って欲しいです。
画像
ケッヘル〈上〉
ケッヘル〈上〉

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『ケッヘル』上/中山可穂 ◎
『ケッヘル』上/中山可穂 ◎ 中山可穂2作目です。 水無月・Rは無教養なので、モーツァルトの曲やその背景について大したことは知りません。 しかし、読み始めて少し経ってから、何故かどこかからピアノ重低音の和音(しかも短調)が響いてくるような感覚にとらわれ始め、段々胃が重くなってきました。徐々に迫り来る不安感。 コレは、何? ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/06/22 21:34
『ケッヘル』下/中山可穂 ◎
ピアノの重低音の和音が、音というよりは衝撃波のように襲い掛かって来るような気がします。 ガーン、ガーン、ガーン・・・。 迫り来る、不安、暗い緊張感。次々に明かされる人間関係、走り出す物語。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/06/24 23:27

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
空蝉さん、こんにちは。
何とか上巻を読み終わり、感想をUPしました。早速、トラックバックさせていただきますね。
下巻はまだ読んでいる途中なのですが、強くて痛くて、息苦しいぐらいの迫力のある文章に圧倒されっぱなしです。
水無月・R
2007/06/22 21:41
トラバありがとうございます、返させて頂きますね。ああ〜!中山可穂センセに感動してくれる、語れる人は初めてなので嬉しいです♪本当にこの人の作品は血が出て砕け散って…そして再生する、そういう物語が多いと思います。下巻をぜひお楽しみください♪
空蝉
2007/06/22 23:50

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