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zoom RSS 『スロウハイツの神様』 上下 by 辻村深月

<<   作成日時 : 2007/02/04 10:25   >>

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期待を裏切らないどころか、ますます愛すべき作家となる辻村さん。
毎回作品を重ねるごとに「今回のは一番!」と思うからすごい。でも、本当にそうなんだ。
辻村作品は『痛い』ものが多い。それはキャラの過去だったり、現実だったり、人の死だったり事件だったり・・・根本にあるのは人間が『人の間』で生きている限り、避けられない人間関係と、その中で起こる事件。そこから展開するドラマだ。
人間として人と人とが関係していく中で、心が崩れ、何かが崩壊し、切りつけられる痛みの中で大切なものを失くしてしまう。
その時、もう一度再生するために、それでも生きていくために、自分のために、自分の大切な人のために、自分の大好きな人が幸せであって欲しいために、笑っていて欲しいために、
たとえそれが自分やごく一部のエゴであっても一生懸命に想う事が出来る。
それが結局、愛なんだって。そんなこっぱずかしいことをいうのもなんだが。
でも、結局そうなんだと教えてくれる。 そんな作品だった。
友人として、同士として、恋人として、どれもこれも中途半端なスロウハイツの卵たちと「神様」が傷ついたりボロボロになりながらも一生懸命生きている。
決して流されず、寄りかからず、一見強がっていてもすごく弱い、それでも涙を見せずに一人で立つ、歩いていく彼女、環はなんて意地らしいんだろうとおもう。
とういうのは、私が似ているからかもしれないが(笑)

人気作家(コウちゃん)の小説に影響を受けて起こったネット集団自殺。彼の作品とブランドは見事復活を果たしたが、その影には一人の女の子からの励ましの手紙があり、その「コウちゃんの天使」は現れることはなかった。 
彼女が何者か、というのは薄々わかることだけど、彼女自身の人生描写と、たまらないほどの不幸とそれでも生きる懸命さ、読んでいるコッチが苦しくなる。
そして (ネタバレかもしれないが;;) コウちゃんがどうやって彼女を知るに至ったのか、立ち直り、偶然コウが『天使』に再会した時の「お久しぶり」といった真の意味、一見鈍そうな彼がこんなにも「天使」に恋していたのかと思うと 本当に切なくていじらしくて、抱きしめたくなる。

結局、全てを救うのは愛だよね。 そんなコトバが少しも安っぽくなく、素直にしみてくる。
ひたすら彼に追いつこうと、何の見返りも無くてもただひた走る環は痛々しくもカッコイイ。
ただそれを黙って、自分を隠して見守り続けたコウも、座布団一枚!

後半、過去に遡り「天使」とコウとの接点が描かれていく。
一気に流れ出す物語と、失われていた過去を取り戻すかのようなストーリー展開が
たまらない。いとおしくてイトオシクテたまらない。

スロウハイツの神様、彼らにご加護を!


さて、一つ指摘するとすれば辻村作品は このキャラはこういう人間で、こういうことがあればこうする、こうならこうする、こういうタイプだ、と説明してしまうことだ。
いわず、説明せずに感じ取らせることが後半で出来ているのに、先にそれを言ってしまう。
それもいいのかもしれないが、なんだか説明してしまうのはもったいない気もする。
というのも、私もそういう傾向があるからだが(笑)スロウハイツの神様(上)
スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

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