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zoom RSS 『シャトゥーン −ヒグマの森』 by 増田俊成

<<   作成日時 : 2007/06/14 11:12   >>

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ヒッチコック映画『鳥』をご存知の方は多いだろう。ジョーズもサメの代名詞となっているほど有名だ。人間はどんなに文明化しても高度成長しても、いわゆる原始的=自然界に近い「動物」
から遠ざかったとしても、自然の猛威に対する潜在的な恐怖は消えない。
『シャトゥーン』すなわち「穴持たず」の飢えているヒグマ・・・ようするに冬眠に失敗した腹を空かせて凶暴化した最大級の熊だ。
しかも仔連れで手負いと来ている。北海道の原生林・天塩研究林北ノ沢小屋で年末を過ごそうと集まった4人の男女と女の子・・・そして途中襲われてヒグマ(シャトゥーン)を仲間共々手負いにして逃げおおせてきた密猟者、彼らが立てこもる小屋にシャトゥーンが必要に襲い掛かる。なぜこの小屋を必要に襲うのか?次第にシャトゥーンの攻撃が激化し壁が窓が戸が破壊され一人また一人と彼らは喰われて行く。まるでもてあそぶかのように軽々と。
そしてとうとう進入してくる・・・
まさに手に汗握る恐ろしさ、熊の脅威というより自然の恐ろしさだ。というのも、これが映像だったら「ああ、熊って恐ろしいんだ」と視覚から理解するだろうし、この恐ろしい凶暴な敵がヒグマなのだと割り切って考えられるのだろう。しかし小説だからこその恐ろしさがある。

聞きなれない呼び名「シャトゥーン」。想像以上の怪物がこの中には描かれ何度と無く主人公達を襲い続ける「シャトゥーン」という動物、いや怪物はもう既に「クマ」という名称を与えられる動物の範囲を超えている。

私達は日ごろ目にしない動物の生態にはあまりに知識も情報も足りない。その破壊力、攻撃力、凶暴性、知性、スピード、強大さ、すべてにおいて「クマ」のイメージをはるかに凌駕する値を持った敵がシャトゥーンなのだ。

予想をはるかに上回る数字をはじき出すのはいつだって自然だ。量りきれない脅威を人間に突如として示し時には幸福を、時には地獄を見せるのは未知の世界、自然である。
思う存分、この脅威を味わってみれば良い。
ホラーといっても過言ではない恐ろしさだ。

加えて良かったと思うのは、この手のモノにありがちな演説が無いということだ。
演説・・・つまり過激な自然保護団体が声高らかに掲げるような人間のおろかさだの、破壊され続けた自然の(人間への)報復だの、環境保護だの・・・そういったものが殆ど出てこない。
確かに登場人物の中に過激なほどの自然保護主義者はいるしそれがことの発端にもなっているのだが、そんなことは殆ど気にかからない。
調理してしまえばざいりょうに何を使っているかなど、立ててしまえば家の土台が何で出来ているかなど、(重要ではあるかもしれないが)読んでいる側としては関係ないのである。
だから純粋に脅威を、読んで感じればいい。それだけで十分楽しめる一冊だ。
シャトゥーン―ヒグマの森
シャトゥーン―ヒグマの森

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