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zoom RSS 牛泥棒 (Holly NOVELS) by 木原音瀬

<<   作成日時 : 2007/07/21 00:55   >>

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『箱の中』『檻の外』で魅了されてしまった・・・ので、こちらも買ってみたのだが、どうにも想像してたのと違う。なんかもう、いかにもBLって感じだ。いや、勿論それは当たり前なんだけど。
『箱の中』『檻の外』では男同士がどうとかそういうことでかなりか〜な〜り〜スッタモンダしていたし、それが世間の実情だ。いわゆるBL的な要素以上に、人間同士の強さや弱さ、人間関係の脆弱さや強靭さ・・・そういった深い心情が肝心なところに流れている作品を書いている、BLというよりは人間対人間という二つの魂の出会いを描いている(ってのも大袈裟か)人だと思っていたので、少し期待はずれだ。

だからココからはあくまでいち腐女子として、BL好きな女として書評させていただこう。

『牛泥棒』『古山茶』『笹魚』という3編からなっているが、『牛泥棒』と『古山茶』がメイン。
時は文明開化の明治。造り酒屋の坊ちゃんとして不自由なく育った亮一郎と幼馴染よろしく共に育った下男・徳馬の恋物語。
亮一郎は幼い頃物の怪による病にかかり死に掛けたところ、母親が沼の化物と命の取引をして一命を取り留める。それを目撃した徳馬は亮一郎にせめて母の形見をと化物に懇願し、ある契約を交わした上に声まで奪われてしまう。無論それらのことは誰の知るところにもならず、母は失踪したとだけ伝えられた。
二人はともに成長し亮一郎は我侭で唯我独尊、勝手気ままな性格に育ったが、その実、父親は再婚し家族というものから取り残されたように孤独の身の上を寂しくも感じていた。
その亮一郎がただ一人家族以上に必要とした徳馬はひたすらに美しく、日夜ただひたすらに亮一郎に仕えている。
お互い愛しながらも思いを告げられず、今の主従関係が壊れることを怖れて言い出せず。
また幼い頃から人ならぬ者=妖怪を見る徳馬だったが害をなすものを見つけても亮一郎以外のものにそれを注意示すことは無い。徳間だけは世間の汚れた感情と無縁のものと信じていた亮一郎には徳馬のその不平等な行動が気に触る。
そんなおり、亮一郎の実家が火事になり二人は路頭に迷う。何とか徳馬をつなぎ止めるための生活の糧をえるために政略結婚的に妻を娶ることを承諾した亮一郎だったが、徳間は突然姿をくらまし、奉納する贄である牛を盗むところを逮捕された。
徳馬が「牛泥棒」をしたのはなぜだったのか?

とまあ、粗筋はこんなところ。後はご想像におまかせする。
真面目な文芸、高尚な小説なんかに比べればそりゃ見劣りする。つまらないかもしれない。
けどBL好きな私はけっこう楽しませていただいた。
煮え切らない両思いの片想い。壊したくない主従関係。過去の契約に縛られる美青年。天涯孤独となった俺様坊ちゃん。しかも時代は明治、褌つけずに主人を待っていたと来たもんだ(笑)いや〜そそられる(バカ)
というのは冗談で。
妖怪が少しだけ絡んでくる、そしてちょっとしたミステリーにもなっているので楽しめる。
徳馬がようやく声を取り戻し、沼の化物との20年の契約を終えて語り始めた母親の真実は、捨てられたとばかり持っていた亮一郎には嬉しくも悔しくもある母の姿、本当の過去だ。
しかし同時にその事実を告げる口、徳馬は牛泥棒の罪で牢獄の中、しかも死ぬ覚悟である。
小鬼を使って牛を祭りごとに20年間盗み出したと白状した徳馬は、その罪を憎み己の中のどす黒い感情をもてあまし未練を残し行き続けた己を後悔する。
こうした事態、心情、関係がよく出来ていて深読みしていく読者にとってはなかなかのストーリーなのだろうが、残念なことにいろいろ心理描写や言葉が少なくて伝わってこない。
セリフだけで回っているから、どうしても心理描写や心情の吐露が少なく、自問自答するような悶々とした雰囲気の間も当然少なく、なんだかあっという間に展開していってしまった、という感じがしてしまうのだ。
横山秀夫が『半落ち』で妻殺し犯人の自首までの経過をあれだけページ割いて引っ張ったんだぞ?(笑)もう少し・・・どうして牛を盗んだんだ、とかどうしてそのことを話せなかったんだ、とか引っ張ってもよかったんじゃないか?

設定やストーリーの流れは面白いんだけど、どうにもページ数が薄いのが残念。
もっと書き込めば面白くなるのに。 とりあえず、想像力豊かな腐女子の方々にオススメしとこう。


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