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zoom RSS 『神野悪五郎只今退散仕る』 by 高原英理

<<   作成日時 : 2007/08/30 18:16   >>

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数年間、平田篤胤が静かなブームになった。荒俣宏の『平田篤胤が解く稲生物怪録』東雅之『稲生モノノケ大全』などその例で、2003年辺りは妖怪ブームだったといっても過言ではない。
稲生物怪録。豪傑少年・稲生平太郎が1ヶ月に渡る妖怪らの挑戦に物怖じせず打ち勝つという英雄譚だ。当時の妖怪の姿・認識を知る上での貴重な資料ともなっている。

そしてこのたび高原が描いた物語はなんとも素直な妖怪ファンタジーだ。
素直、というのは主人公をはじめその妹や親戚が妖怪を最初から否定していないということ。
中学生の紫都子は夏休みに祖母から「黒屋敷」に30日間寝泊りすることを約束させられるが、妹の妙子とともに着いたその家は妖怪まみれの家。稲生物怪録から出てきたような妖怪たちが次々と驚かしにかかってくる。しかし彼女は否定もしなければ怖れもしない、オバケ屋敷を笑いながら通る客さながら、その豪傑っぷりは妖怪タチの「審査」の合格となる。
祖母の代から受け継がれている約束を果たしに来た妖怪たちがこの度孫の紫都子にとんでもないお願いを明かした。

ストーリー自体は単純だし、どうにも小説としての違和感がある。一人称か三人称かがあいまいなせいもある。あまりにするすると順調に話が進むため現実離れしている(悪く言えばご都合主義のスピード展開)せいもある。
だがきになるのはこの著者が論文の名手であるということだ。「少女領域」「無垢の力」などで少年少女のロマン的実体を昇華させた高原氏。氏の描く少女・紫都子はどこかレプリカめいている。
かつてこういう男勝りの一匹狼な豪傑少女が居りまして、こんな偉業をやってのけました・・・。
そんな男女に少女は憧れたり妬んだり非難したりと大変でございます・・・・。
紫都子はそんな少女(=ここでいう読者)たちにかまわず著者の「理想の冒険」をし勝利して凱旋する。  つまりすべては著者の思惑どおり、となっている。
だからだろうか、どうしてもキャラの一人歩きがない。つまり紫都子や妙子のコトバがない。こういうタイプの具現化、で終わってしまった感がある。それが少し残念だ。

とはいえ、子供の読み物としてはなかなか面白いと思う。あえて子供、というのは悪い意味ではなく、文量からしても言葉や表現からしても「ミステリーランド」あたりに収まってくれるのが一番いいのでは?と思うからだ。 これでは、正直値段に見合わない、といわざるをえない。
高原氏の作品は私は好きだ、しかし小説以外で、と改めて思った。
神野悪五郎只今退散仕る
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