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zoom RSS 『配達あかずきん〜成風堂書店事件メモ〜』 by 大崎梢

<<   作成日時 : 2007/08/11 10:51   >>

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「書店の謎は書店人が解かなきゃ!」初の本格書店ミステリ
・・・と帯に銘打ってある。「書店ミステリ」ってなんだよ!?とつっこみつつ手に取った本だけど、読んでみて納得。たしかにこれは書店ミステリだ(笑)
舞台もカラクリもホームズ役も犯人・依頼人も、みんなこの本屋さんで出会い事件が起こっている。しかもその事件の鍵を握るのも本。短編集となっている一話読みきりのミステリー群だがどれも一貫して本にまつわる・・・いや、本を愛する人間が巻き起こす事件たちなのだ。

本といっても雑誌から小説、コミックスや写真集まで多岐に渡り、舞台になっているこの書店も有名な大型書店ではなく駅ビルの一角にある中堅書店、謎を解くホームズ役もただのバイトのお姉さんだ。しかしだからこそ私のような田舎住まいの者にも身近に感じられ、何よりイメージが沸く。違和感が無い・・・そう、違和感が無いのだ、このミステリーには!

確かに出来すぎの話、ありえね〜っていうくらい羨ましい話はある。しかしどの話も不思議と違和感無くすんなり素直に入り込めてしまう。もしかしたらそれは、はっきり謎・事件が提示されていて私達が謎解きに入り込める、つまり夢中になれるスキというか余裕があるからかもしれない。
たいていのミステリーは「読者が思いもしなかった奇想天外な謎解き」が用意され(少なくともそれを目指しており)、意外な結末・思いがけないカラクリに読者は賛嘆の声を上げる。
しかしそれは時に私達の日常世界から切り離された異世界のような違和感、別世界のスクリーンを見ているかのようなしらじらしさを感じてしまう。
ところが。この作品にはいわゆる「ちょっとイイ話」系のノリがあり、何かの体験談を読んでいるような温かさや身近さがある。
例えば第一話『パンダは囁く』。最初の最初、お客が「こんな本を探してるんだけど解る?」と書店員に助けを求めるという見慣れたワンシーン。既にそこから謎解きでもあるが(笑)病床の老人が求めているという本を意味不明のヒントをモトに探っていく、というお話。
どこにでもある風景、日常茶飯事な出来事のはずが、その謎解きと展開においてなんとも面白く奇抜な発想を見せてくれる。

私が一番好きなのは「標野にて〜君が袖振る」。数年前に交通事故で死んだ高校生の息子の遺品にあった『あさきゆめみし』を買い求めそのまま行方知れずになった母を心配し、姉が書店に尋ねてくることから始まるこの事件。なぜ高校生の理数系の光源氏のようなモテ男君がこんな少女漫画を読んだのか?母な何に気付いてどこに向かったのか?事件の真相は意外ながらも読んでる側は薄々気がつく謎解きの程度加減が絶妙だ。これをトリックが甘い、と切り捨てるのはナンセンスだろう。謎を解いても弟は生き返らないし別に殺人事件が暴かれるとかいう奇抜さがあるわけでもない、が「俺は光源氏じゃない」と真剣に突っぱねた彼の若き悩みが今ようやく理解され、その後日談にはいかな事件解決よりも得がたい人の繋がりが生まれている。

これを読んで本屋さんへ行こう。もしかしたら意外な事件が私を待っているかもしれない。


配達あかずきん
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)

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『配達あかずきん』〜成風堂書店事件メモ〜/大崎梢 ◎
先日『片耳うさぎ』を読んだ時、皆様に大崎梢さんなら、「成風堂」シリーズ』がいいよ〜とお勧めいただきました。 そのシリーズ1作目が『配達あかずきん』〜成風堂書店事件メモ〜です。うん、確かにコレは当たりですねぇ!すっごく面白い。本屋さんがらみで、色んな事件が起こって、それを解決するのは本屋さん。本屋さん好きにはたまりません。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2010/01/24 21:00
『配達あかずきん〜成風堂書店事件メモ〜』 by 大崎梢
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■空蝉草紙■
2010/01/25 12:05

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
空蝉さん、こんばんは(^^)。
とっても遅ればせながら、成風堂シリーズを読み始めました。
本屋さんのお仕事のこと、本屋さんにかかわるちょっとしたミステリー、とってもおもしろいです。
私も、今度本屋さんに行くときに、店員さんのお仕事ぶりを見るのが楽しみです。ただ・・・謎と出会っても、私には解決できるだけのアタマはなさそうですが(^_^;)。
水無月・R
2010/01/24 21:17
お久しぶりです〜面白いですよね、本屋さんが舞台の作品♪ 2作目よりこの第一作目が面白いです。
本屋さんではないけれど東京バンドワゴンシリーズみたいなあたたかさがありますね♪
空蝉
2010/01/25 12:08

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