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zoom RSS 『パズル崩壊―WHODUNIT SURVIVAL』 by 法月綸太郎

<<   作成日時 : 2007/10/31 01:03   >>

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私は著者の作品を今まで1作品『生首にきいてみろ』しか読んだことが無い。だから聞いた話やあとがき・解説などから推察するところも多いのだが、この作品は著者自身のライフワークである「ミステリー作家」の投影であり、読者への訴えであり、はまらなかった・・・「崩壊したパズル」の確認であるのはあきらかであろう。
著者の本格推理小説の多くは、著者自身と同名の探偵役:法月綸太郎を主人公にしている。
しかし本書の1、2話目「重ねてふたつ」「懐中電灯」では葛城という刑事がその役を務め、しかしながら軽く浅く、面白い短編ミステリーとなっている。

・密室で下半身不随の夫が発見したのは、妻の上半身と愛人の下半身が一つにくっつけられた一体の死体・・・消えた半身はどこへ消えたのか?(重ねてふたつ) 
・1000万の強奪計画を企て、相方を裏切り殺す直前に使用した懐中電灯。「灯かなかった」ため電池を取り返させたことを除けばなんら不備は無かったはずだが・・・(懐中電灯)
など軽いノリで読めるトリック解明ものだ。
むしろ私が面白かったのは、間違えでかかってきた誘拐犯からの電話を本来かかるはずの被害者宅へ犯人のフリをして取り次いでしまったことから巻き込まれるドタバタ劇「トランスミッション」。トッペルゲンガーによる殺人を題材に自分と友人を登場人物に仕立てたミステリー作家と、その友人との真夜中の電話での会話「シャドウプレイ」。この2編が面白かった。どちらも『パズル崩壊』のなにふさわしいというか、オチがどうにも崩壊している。『トランスミッション』はえ?続きは無いの?この被害者の子供と犯人と親と間違えられた(のかどうかはわからない)主人公との関係は?あのかっこいい(?)探偵は?と尻切れトンボだし、 『シャドウ〜』はミステリー作家の小説の話なのか、トッペルゲンガーの存在なのか、現実なのかが次第に交錯し最後どちらで終わったのかわからないような錯覚に陥る。しかしどちらも非情に楽しませてくれるし、定番のいるべき主人公:法月綸太郎が登場しないことでどこかパズルがはまりきらない・・・崩壊していくのが意図的でありそこが又著者自身の告白のようで興深い。

最後から2番目の作『カット・アウト』もまた著者自身の投影でもあるようだが、これはそうしたことを抜きにしても秀作というべきだ。これだけを膨らませて一つの作品にしてもなんら損傷が無い、素晴らしい作品だと思う。 なのでこれだけを「カットアウト」切り抜きだしして次回ブログに書評を書こうと思う。

とりあえず本書を全部読み終えた今、最後のエピローグのような、プロローグのような一篇がこの作品すべてを裏付けている。それは読んでのお楽しみ。


パズル崩壊―WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (集英社文庫)
パズル崩壊―WHODUNIT SURVIVAL 1992‐95 (集英社文庫)

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