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zoom RSS 『もののたはむれ』 by 松浦寿輝

<<   作成日時 : 2007/12/13 01:24   >>

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この一冊に、少し昔の東京の、なんということはないほんのひと時をたはむれる如く切り取られている。なんの事件がおきるわけでもないただ平凡に過ぎ行く日々の中でほんのひと時、ほんのひとかけら、異質なもの・出来事が紛れ込む。
それは若かりし頃の昔日への思いが思い起こさせる光であったり、突然途絶えてしまういきつての喪失であったり、ようやく動き出した時間の鼓動であったり・・・
それらはきっと、本人にしか見えぬもの感じられぬものであるに違いない、いや、本人にすらそれを認識できていないのかもしれない。
この小説は「新しい幻想文学の誕生」と絶賛されたそうだが、つまりこれは既存の幻想文学とは一線を画しているということである。
単に不可思議な出来事の間を彷徨う物語ではなく、怪奇小説でもファンタジー小説でもない幻想文学。
本書の幻想人たちは自らその幻想を招きほんのひと時溺れ楽しんでいるようにも見える。
一瞬だけまみえる非現実的な、そして優しい空間に彼らと私達は誘い込まれ、夢のようにまどろむそのひとときがいかに心地よいことか。
注意してよまなければどこから幻想が始まっているのかすらわからなくなる、それほど平凡で緩やかな幻想が満ちている。
非日常が非日常と認識できなくなる時、人は幻想に陥っているのだとそう思う。



もののたはむれ (文春文庫)
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