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zoom RSS 『ソロモンの犬』 by 道尾秀介

<<   作成日時 : 2007/12/28 01:13   >>

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最初は京極氏のモノマネか?と思って読んでいた著者だが、回を重ねるごとに確実に独自のフィールドを築いているなと思う。
もしかしたら著者自身は民俗モノをやりたいのかもしれないが、(たしかにそれはそれで良く出来ているものがおおいのだが)こうした現代モノの、若者が主人公となるミステリーがあっていると感じる。
それは著者自身がまだ年齢的に若いからということもある。だからこそ、大人になりきってしまわないうちに若々しく青臭く、どこか青春めいたものを今のうちに書き綴っておいて欲しいというのが私のひそかな願いだったりする。
まあ、余計なお世話だろうが。

さて本書について。
まず登場人物が男女2人ずつ4人の大学生。うち2人は付き合っていて、残る主人公はもう一人の女の子に恋真っ盛り。設定と交わされる言葉と、時折こぼす主人公の胸のうちはまさに青春そのもので微笑ましく可愛らしい。どちらかというと高校生か?という感じすら覚える、それくらい主人公はピュアであり平凡である。そしてもう一人の友人は正反対、モテ男君であり妙に大人びて、友人を「お宅」とよぶ・・・気を許しきらない一歩踏み込ませない孤独タイプである。
そして彼らの大学教諭の息子が暴走した犬に引っ張られトラックにはねられ、死んだことに悲劇が始まる。彼を死に導いたのはこの4人のうちの誰かだという疑惑から幕は開く。
彼らの出会いから交友からちょっとした日常まで、さらりと描かれ読みやすくも丁寧だ。
犬が事件のキーになるのだが、そのあたりから物語の潤滑油として変人・間宮教授が助っ人にたち、死んだ子の母親(これまた教授)が自殺をし、その家族の過去が次第に姿を現してくる。

後半一気に加速して種明かしと事件解決、思わぬ犯人が突発的に出てくることになるのでそのあたりは少し残念。どんなミステリーでも(伏線は張っていたとしても)いきなり出てきていきなり犯人がわかる、といういみでの「思いがけない犯人」というのは反則だと思う。
それでも面白いと思うのは、犯人が誰かということよりも第二の死、すなわち母親の死の原因の方に重きが置かれていくからだ。
「彼」の精神的な未熟さ、危うさ、孤独・・・そういったものがこの一連の事件を引き起こしたのだから。

始めにわたしは、若者を軸に置いた物語が合っているのでは・・・と書いたがそれに加えてもう一つ。
過去の作品からもわかるように、著者のミステリーの書くにあるものは精神的錯誤と騙しのトリックである。騙し、というよりは誤認というべきかも知れない。
そうした意味ではやはり京極氏の初期の作風に寄っていると感じるのは致し方ない・・・が、寄りみずみずしく深すぎず、さらりと読ませるあたりやはり上手いと思う。

精神トリック・感情的な弱さが中核となるミステリー、但し京極みたいに難しいのは嫌よ、という人にはオススメ(笑)
ソロモンの犬
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