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zoom RSS 『サイゴン・タンゴ・カフェ』 by 中山可穂

<<   作成日時 : 2008/04/01 12:53   >>

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世間での中山可穂の評価というのは、レズビアンであることを公言し、そうした内容の激しい愛憎半ばする物語を描く、鮮烈かつ稀代の作家である・・・というところだろう。
その評価は間違ってはいないのだろうし、売れている人気作家である(と私は思っている)点を除けば、本編の表題作に登場するレズビアン作家・穂積とおそらく酷似している、少なくとも自分を多分に投影していることは想像に難くない。
前作『ケッヘル』で女同士の激しい愛憎の物語から一転した・・・まぁ言ってみれば極めてフツーの読者向けの物語を紡ぎだした著者。その転身ぶりに苦情のアンチファンレターも届いたとインタビューで語っていた。(月刊『ダヴィンチ』4月号より) 
それでも。それでもこうしてノーマルな作品を生み出し続けている。
作中の作家・穂積は人を避け世界から隠れ、自分勝手気ままに女同士の恋愛小説家をやっている。一部の熱烈なファンを尻目に編集者泣かせのスパンで作品を生み、時にえぐるようjな言葉で編集者他回りを傷つけ、予定がなければ死のうかという生き方をしていた。乾き干上がりきった彼女の前に、溢れんばかりの水をたたえた湖の如く愛と若さに溢れた女性編集者が再び生を吹き込むまでは・・・。



本編の作品どれもにいえること・・・登場する主人公達誰もが残された何かを必死に使いきろうとしていることだ。
今生きているこの世のすべてを投げ出したくて、過去のすべてを断ち切りたくて。
そして行き着いた先に構えているのはタンゴ。
物憂げに、けだるく、悲しげに、狂おしく、いとおしく・・・そして熱情的に回るタンゴのステップ。
加速していくリズム、相手に身をすべて捧げて振り回される快感と解放。
時にそこから逃れ、時にそれと出会い、時にそこを目指し、彼女らはタンゴと時を過ごしすべてから解放され・・・そして再生する。

そう、タンゴはひどく傷つき世界から逃れ己を失った彼女らが、ただただ悠久の時と場所の中で本当の己を取り戻すための音楽であり、空間である。
中山可穂の作品に一貫しているもの、それは再生のドラマであるということ。
そしてタンゴのその哀しくもむせ返るような情熱を秘めた旋律は、彼女の作品そのものとすら思えるのだ。まさに絶妙の出会い。
タンゴ好きにもそうでない人にも、ぜひタンゴをBGMに『サイゴンタンゴカフェ』を!

サイゴン・タンゴ・カフェ
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