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zoom RSS 『迷宮のファンタンゴ』 by 海野碧

<<   作成日時 : 2008/04/16 12:40   >>

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前作『水上のパッサカリア』の続編らしいが、こちらから読んだ私でもすんなり読めた。
『水上の〜』が賞もとっているし評価も高いらしかったので期待していたのだが、少し期待はずれか。

まず文体。一文一文の長さと言い回しのまどろっこしさ。著者の特徴といわれてしまってはモトもこもないのだが、長ったらしくてまとまりに欠け読みにくいところがたまにだが、ある。これが癖になる人もいるかもしれないが、私はどうにも馴染めない。
次に途中のだらけ。話の展開が遅く、途中経過を助長しすぎて飽きてしまう。
ようは全体に、もっとスムースにスマートに運んで欲しかった、というところか。

逆に興味深かったのは、主人公と相棒(?)の掛け合いや行動が平凡で日常性を失っていないということ。国際的な武器密輸犯罪までも巻き込んで生死を問われる程異常な事態に身をおいていながら、主人公、勉(ベン)は何かと犬の世話やら、夕食の心配やら弁当の味やら・・・に意識を飛ばす。
第一作でどのように彼が描かれているかは知らないが、窮地にあっても平常心を失わないというこの異常な冷静さこそ、世間から隔絶された地で青春時代を過ごした後遺症なのかもしれない。このあたりのアンバランスさ、アンマッチさが非常によく著されている。

米サバイバルキャンプに身を置き、まさにサバイバル(生き残り)をしてきた主人公・ベン(勉)。
過酷なサバイバルの日々を助け合い日々を共にし心を唯一通わせたマリアン。
彼らはお互い以外頼るものも希望もなかったが、キャンプをでてからの各々の人生は交わることなく過ぎてきた。マリアンはかつてベンとの日々を夢見つつ心を閉ざして生きてきた、ベンは偽りの仮面を被りすべてを忘れて生きてきた。彼女は恋し続けることで幻想の世界に心を閉ざし、彼はそれを忘れることでこの世界に生きてきた・・・かつてのほんのわずかなズレが二人の道を大きく逸らしてしまった。 
人は弱い。だから窮地に追い込まれると何か強い想いにひたすらすがり、それは時には宗教とナリ時には恋・愛になり、時には憎悪の対象となる。
そしてそれが人同士であるときは、お互いの思い込みが同じ方向を偶然にも向いている時に、相思相愛とか友情とかになるのだろう。 だから、彼らの「向き」が違ってしまった今や、もう取り戻すことは出来ないのだと、きっと知っている。

この作品後半、本当に最後の十数ページにそうした重要な思いが詰め込まれている。



東京・調布に自動車整備工場を構えた大道寺勉がテレビの中に見つけたのは、二十三年前、アメリカのサバイバルキャンプ時代に初めて愛を交わした女、マリアン・ドレイパーだった。
来日中のハリウッドスターのボディガードを務めていて、大きな交通事故に巻き込まれたらしい。入院中の彼女と再会した勉だが、数日後、彼女は突然病院から姿を消した――。
ミステリファンを唸らせた大型新人による『水上のパッサカリア』続編!


迷宮のファンダンゴ
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