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zoom RSS 『書物狩人』 by 赤城毅

<<   作成日時 : 2008/05/06 13:02   >>

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帯に合った言葉はあおりでもなくデフォルメでもなく、真実だった。
古本者が生まれ変わるとしたら、誰もが書物狩人(ルシャスール)と答えるに違いない。
そしてこの題名に惹かれて本書を手に取ったものの多くはかなりの本の虫であると思う。
もちろん私もご多分に漏れず、だが。

多くのヒーローがそうであるように、人は圧倒的なカリスマ性にひきつけられずに入られない。
本書のニヒルなヒーロー書物狩人ことルシャスールもそうした一人だ。
絶対君主制の暴君のようにその力を誇示するのでも、己が栄華・地位財力のためにそれを使うでもなく・・・ただただ古本のため、その語るところを世に残すため、そして本への執着とも取れるほどの愛情にのみ、そのすべてがをつぎ込まれる。
4章から成り4冊の世界を震撼させるほどの鍵を握る古本が登場する。
時にはマフィアが狙い、時には世界大戦時の遺物が登場し、ロシアに中国に日本にドイツに・・・めぐる世界は広く、求める本はこの世に一冊。銀髪の若き狩人、シャスールはそれがいかなる本であろうと強力なバックとともに必ず手に入れるというのである。怪盗ルパンを思わせる雰囲気はあるもののその風貌は細身青白の青年、ただひとつまっさらな白銀の髪を除いて彼には特徴というものが無い。 いったい彼の髪をこれほどまでに白くさせた過去とはなんなのか?それは結局最後まで明かされず仕舞い。おそらくは彼を書物狩人へと導いた、劇的な出来事があったに違いない。(もっとも実際には、マリーアントワネットのように恐怖のあまり一晩にして髪の毛の色が白髪に変貌する、ということは科学的にありえないことは周知の事実だが;; ここではそれはアリ、ということなのだろう。)

古書のあるところ、ありとあらゆる場所に現れクライアントの要望には必ず応え手に入れる。ただしその契約が守られる限りだが。  カルロス・ルイス サフォン 『風の影』にも膨大な古書を蔵書する地下書庫や秘密組織が登場するがあちらは世界から抹消された最後の1冊のみが保存されるという架空の書庫、本の墓場である。『風の影』に覚えた嫉妬とも羨望とも言いがたい「世界で唯一の本が所蔵される書庫」への憧れは本書『書物狩人』でも同じだ。さらに言えばこちらは書物狩人シャスールによって今もその蔵書は増え続けていくという、冒険的な面白さが加わっている。 前者が亡霊・・・影と化した本を守る廃退的な暗さを前面に漂わせているのに対し、本書は埋もれている古書を発掘する、さらにはビジネスも加わって、現実にはありえないのはわかっていてもどこかリアリティがありしかも冒険的である。
年甲斐も無くワクワクしてしまう・・・そう、怪盗ルパンを読んだときのようなワクワクだ。
本好きは言うまでも無く、冒険好きにもミステリー好きにもいける本!是非とも読んでほしい・・・で、どなたかこうした組織を作ってほしいものである。


書物狩人 (講談社ノベルス アAB- 3)
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