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zoom RSS 『ベッドタイムアイズ』 by 山田詠美

<<   作成日時 : 2008/07/14 08:44   >>

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私はこれほどいともたやすく恋に落ち、愛におぼれ、それが全てとなった物語を知らない。
たった一瞬交わされたアイズ(視線)で始まりながら、あっという間に先の見えない深海・・・いや泥沼へと溺れるように深みにはまりゆく二人の愛は、切ないとか悲しいとかやるせないとか、そんな言葉では言い表せない。狂気と呼ぶには美しく、純粋と呼ぶにはあまりにも混ざり合ってしまった二つの魂が、私には狂おしくも妬ましいほどのマーブル模様に見えるのだ。

クラブ歌手をする日本人女性・キムはスプーンと名乗る黒人兵とであい愛欲の日々を送る。
キムの全てとなっていくスプーンへの愛はあまりに深く濃く、やがて彼女の心全てを奪っていく。
「私は失いたくない。私を束縛する(スプーンの)これらのものたちを。」
彼が全て。彼との愛が彼女の命、彼の染み込む生活が彼女の毎日。彼の放つ「最も不幸で一番美しい色」のその黒壇の肌が彼女を包み、彼女はその腕の中で世界で一番不幸で幸せな女になるのだろう。
言葉の全てに彼女の彼への愛があふれている。バターのような彼女は溶けてあふれて、そこら中にベトベトになって・・・それでもきっと彼に染み込もうとするのだろう。
彼の全てが彼女の心に、体に、彼女の全てに、決して消えない思い出となって染み込んだように。

やがて訪れる二人の結末はあまりにお決まりでこの手の話にはわかりきったものかもしれない。
それなのにあふれる涙はなぜだろう?この熱い涙は?

彼と出会う前は自分以外のものに依存し、誰かの所有物であり続けた女・キム。
女はきっと、その身も心も一人の男のものになったとき世界で一番不幸な生き物になる。
そして同時に、その男の全てが彼女のものとなったとき世界で一番美しく幸せな生き物にもまたなるのだ。

世界中の女と男が、彼女らのような愛にめぐり合うことを、この愛欲の深淵から見つめたい。


ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 (新潮文庫)
新潮社
山田 詠美

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