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zoom RSS 『雨の塔』 by 宮木あや子

<<   作成日時 : 2008/08/18 08:57   >>

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世間から隔絶された女学校に「捨てられたお嬢様」である4人の淡く切ない恋物語・・・などと書くのは野暮だろう。
確かに少女と言う存在そのものが、まだ確立された存在になりきれていない未成熟なモノというキャラである限り、本書に全体を通して流れる空気はどこか儚げで不安定で薄弱である。しかしここに渦巻いているものはそんなにかわいいものでは、けっしてない。
手に入らないものへの執着、手に入れてた者への嫉妬、手に入れたいという切望と手に入らぬ己のもどかしさ。
彼女らは何かに、誰かに出逢うたびに感化され、感情移入し、用意に影響されてしまう不安定な「少女」だが、それは外部からの止むを得ない要因による動力でも、圧倒的な存在による影響力の働きに突き動かされる、というものでもない。すべてがその対象に自ら心を飛ばし、身を投じ、差し出してしまったが故の結果である。
人はヒト(他人)に興味を持つ、ヒトの過去を知りたがる、そのヒトの全てを欲しくなる、傲慢な生き物である。そのヒトが自分のモノになるという願望にまみれ、その願いがかなわぬ時、か弱き彼女らはその現実から逃げ出し、己の安住の地を、コレではない何かを、何処かを求めるのだろう。手に入らぬなら死すら甘美に思う者も、己を愛してくれる誰かに心を返す者もいるのだ。
彼女たちは己に、自分以外の全てに問いかける。
「誰かの心の中で一番必要な人になるのは、どうしてこんなにも困難なのだろうか。」

人は誰かを愛さずにはいられない。何かに惹かれずにはいられない。
そして皮肉なことには、ソレが叶わぬモノであればあるほどその思いは強く、己を見失ってしまう。
危うく儚く、しかし濃密な彼女らの心はやがて貴方にも伝染するかもしれない。
それはきっと貴方の心にもまだ危うい「少女」が息づいているからだ。

雨の塔
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