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zoom RSS 『コペルニクスの呼吸』 by 中村明日美子

<<   作成日時 : 2008/08/26 09:20   >>

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これは堕落した一人の魂がやがて昇華されるまでを描いた救済の物語だろうか?
それとも人は己でしかありえないのだという、孤独の叫びであろうか? いや、その両方か?

まだサーカスという見世物が古き時代に溶け込み、人の欲望と嘲笑と興味の視線の中で息づいていた時代。
とあるサーカス団に、彼トリノスは、その身体を売り魂を投げ心を、己を、名前を捨てピエロとして存在していた。
彼の過去を知るという外交官オオナギの、甘いヤサシサに逃げ込むようにサーカスを後にしたトリノスは、与えられたあたら数名と共にサーカスの無い人生へと逃避するが、その邸宅には彼の最愛にして最も怖れている過去・弟を思わせる少年が居た。何かにつけ現れる弟ミシェルの残像、過去の悲劇の残像と殺してしまった、らしい、弟の残像とに囚われ続ける彼は、ドラッグ中毒のようですらある。
そして、又逃げる。かつて「己が殺した」という弟の悪夢から逃げるために。
彼が殺したのは「弟」だったのか「ミシェル」だったのか、何だったのか誰だったのか・・・いや、自分自身だったのか。
そう、彼が本当に逃げてきたのは、捨ててきたのは誰でもない自分自身であり、己の本当の名前である。

過去の傷と弟から逃げ、サーカスから逃げ、愛する者から逃げ。 彼はひたすらすべてのものから遁走する。
彼は己は何者にも捕らわれていない、もう自由であると叫びながらいつだって逃げ続け、しかしその行き先には必ず弟の幻想が現れ、彼はたちまち捕らわれてしまうのだ。捨てたはずの、死に満ちた過去に。

だから、彼がようやく見つけた出口は最愛にして最も妬ましくも怯えていた弟と、彼を鏡にしてその目に映った自分自身を殺してしまった自分を見つめなおすところから始まったのだ。
彼に示唆を与えたのはかつて逃げ出したサーカスの団長であり、戻っていく場所はサーカスであり、蘇った彼が選んだ生の道も、サーカスである。サーカスという無限の世界への入り口で、彼はコペルニクスという非日常の呼吸に乗って羽ばたくのだろう。
彼と、彼を愛した人々と、彼の作り上げるであろうサーカスに訪れる全てのいとおしい人々に。 この美しい物語が届く。


コペルニクスの呼吸 (1) (F×COMICS)
太田出版
中村 明日美子

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