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zoom RSS 『荒野』 by桜庭一樹

<<   作成日時 : 2008/11/25 12:56   >>

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日記でも何でも、こうして文章に自分の気持ちを一度書き起こして読み返すとき、奇妙な違和感をかんじることはないだろうか?これほど伝えたいことがあるのに、あんなに沢山の気持ちと色々な『私』が混在しているのに、言葉にするとなんとあっけない、たった数えるほどにしかならないのだと、少しがっかりしたような安心するような寂しいような気持ちになる。
きっと女という生き物そのものが、そうなのだと本書にて思い知る。

幼き小学生から大人一歩手前の高校生へと成長する少女・荒野。そして書くこと以外全てに無関心、陽炎のような、しかしやたらと女にもてる恋愛小説家の父。荒野の同級生・悠也を連れ子に義母となった女・蓉子。

少年は荒野・・・アメリカ留学という自由をめざし少女もとを立ち、残された少女は彼に恋をしていたのだとようやく気がつく。純粋に慕っていた「おばさん」は父の愛人の一人だったこともようやく気がつく。彼女に好意を抱いた男子や女子の存在も、なにもかもが「少女」の成長にしたがってようやく降りか掛かってくる事実ばかり。追いかけるしか出来ない成長と中の少女はいつだって置いてきぼりなのだ。

12歳から16歳へ。様々な出会いと別れと経験を経て大人になっていく荒野が、私には・・・いや、全ての女性に等身大に感じられるに違いない。きっと誰もが同じ匂い、空気、色に染まったことが一度はあるに違いないからだ。

そしていつしか「少し大人」になった彼女は 「ただいま」ではなく「お帰り」と迎え入れるようになる。そのアルバムを辿るような彼女の物語が時には生々しく時には初々しく、少しむず痒くなるように感じられるからおもしろく、最終ページの後彼女がどのような人生を歩むのか?それは私たち一人一人の今後の人生から育つ想像力に委ねられるのだろう。そう思うとなんだかワクワクするのだ。

単なる成長物語ではなく、少年少女の青春物語ではなく、どこか等身大の自分自身としてこの物語を心に留めていたい。そう思わせる一冊である。


荒野
文藝春秋
桜庭 一樹

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『荒野』/桜庭一樹 ◎
ああ・・・桜庭一樹さんの描く少女は、どうしてこんなに、リアリティがあるのに、美しいのだろう・・・。なんだか、泣きたくなる。あの頃、確かに私たちは子供で、大人になりたくて、でもなりたくなくて、狭い世界で苦しんだり喜んだりしていた。 ・・・あの頃の少女だった私たち。『荒野』は、そんな普通の少女の12歳から16歳を切り取って、結晶化したような物語だ。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2008/11/25 22:16
荒野<桜庭一樹>−(本:2009年)−
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デコ親父はいつも減量中
2009/09/19 07:59

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コメント(2件)

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空蝉さん、こんばんは(^^)。
何というか本当に、爽やかで雑味のない、力強い物語でした。思春期の女の子の成長を描いているのに、もうそんな時期はとうに過ぎてしまった私が、鳥肌を立てて打ち震えてしまったほどです。
桜庭さんの実力は量り知れませんね♪
水無月・R
2008/11/25 22:21
こんばんは。トラバ返させていただきました。いや〜、いいですね、桜庭一樹!思春期なんてあってなかったような私にとって心ウズク作品ばかりですが今回はそう、まさに鳥肌!今回出た新作にも期待大です。
空蝉
2008/11/26 20:55

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