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zoom RSS 『ロードムービー』 by 辻村深月

<<   作成日時 : 2008/12/12 13:53   >>

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子供は大人の思っているほど子供ではない。
そんな言葉は今やありふれているし、もちろんそれは一理ある。いや、大いにあることだと思う。
ただ子供を一人の人間として扱うべきだとか、人権・人格の尊重だとか、そういう見方を「してあげられる理解のある大人」とやらがやたら増えていく中で、当の子供はそれについていっているだろうか?と読了後にしみじみ感じてしまった。
子供はいつだって背伸びをしたがる。大人の期待に応え、周りに褒められることに必死になる、自分の弱みを見せずに窮屈そうに平気を装う子供たち・・・彼らは本当に大人が思うほど「子供ではない」のだろうか。
きっと彼らは大人が思うほど子供ではないけれど、自分で思うほど大人でもないのだ。

本編は3つの「道」を表題に冠した短編集だが、道そのものというよりは通過儀礼とでも言うべきだろうか、一つのターニングポイントとなる出奔とその短い旅と、旅の終わりと新たな旅路の物語といえる。
誰かに相談したり頼ったり、教えてもらったり手を引いてもらったり・・・そうした素直さやはけ口をついついなくしてしまいがちな少し大人びた彼ら(彼女ら)は、ここではないどこかに助けを求めて逃避する。
それは実際に家出という逃避行であったり、諦めという自分からの逃げだったり、八つ当たりという投げ捨てだったり、その逃げ方は様々だ。けれど彼らはいつだって助けを求めて叫んでいる。

こと、他より少し頭の良い子なんていうのは特に孤独を感じてしまうものだ。
弁が立つから人の意見を踏み倒してしまうし、頭が良くて何でも出来るからたいてい羨望と妬みの両方の目を向けられる。大人からは過剰な期待をされやすいし、手の掛からない子だと安易な放置をされることも。
けれどそうした全てが彼らを孤独にしていることに、私たちは気がついているだろうか。
だから、この3つの物語に小さな光と道しるべを見つけて欲しい。

ソレは友達かもしれないし、親かもしれない。恋人かもしれないし兄弟や先生、先輩や、時には人間じゃないかもしれないけれど、そんなことはどうでもいい。肝心なのは彼らが互いに全てをかけて全力で駆けつけてくれるかどうかだ。
自分のために泣いてくれた親友、いつか必ず平気になると安心を約束してくれた講師、自分の持っているもの全てを投げ出した友達、
「それが出来るような人間が、この中に何人いると思う?」
そう問いかけた先生の言葉が胸に染みる。これを読んでいる人の中に一体、何人いると思う?そう聞こえるから。

行く道は違うかもしれないし歩むペースもきっと遅かったり早かったり、歩調なんて合わないかもしれないけれど、彼らは同じ未来を目指し、いつか追いつき共に歩める日が来ると知っているから、今は一人で歩んで行ける。


自分ひとりで歩いていけるつもりの道が見えなくなってしまったとき、歩いてきた道が崩れてしまったとき、手を引いてくれる誰かが、道しるべを示してくれる光が有れば彼らも、私たちもまだ歩ける。


現状から逃げだし、何かを捜し求め、あがいて、さまよって、けれどもう一度元の地に戻りスタートを切りなおす。


〜あらすじ〜

イジメの標的にされていたワタルと仲良くしたがために新たな「標的」とされてしまったトシだが、児童会長になるため孤立無援の中、ワタルとたった二人の選挙活動と戦いの日が続く。引っ越してしまうワタルを「ウチの子」にするため家出をした二人のロードムービーと選挙前の日々を前後してやがて一つのstartラインに結びつく   ・・・『ロードムービー』

飛びぬけて頭も容姿もよく塾教師を次々と辞めさせてしまう女生徒と妙に気に入られてしまったアルバイト講師。人より勝っていることに慣れ、その優越感に浸りながら素直な感情を誰にも伝えられずに一人心を押しつぶす彼女。彼女の孤独を汲み取った彼はようやく彼女にも己にも過去にも真正面から向かい合う。二人が歩みだす道の先に、いつか平気になる日が来ることを信じて。          ・・・『道の先』

「こころの病気」と体調不良で寝込んでいる幼いヒロと毎日「お土産」を運んでくる近所のみいちゃん。苛立ちと独占よくと悔しさからみいちゃんにいなくなれといい、その日からみいちゃんは雪の中、上着も着ずに本当に行方不明になってしまった。ヒロは本当の気持ちをようやく言葉にし、どうにか見つかったみいちゃんがヒロのために作った雪ウサギは彼女の全ての心がこもった贈り物だった。        ・・・『雪の降る道』





ロードムービー
講談社
辻村 深月

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