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zoom RSS 『ガーゴイル 転生する炎の愛』 by アンドリュー・デイビッドソン

<<   作成日時 : 2009/03/30 08:41   >>

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あらすじ
現世を享楽的に生きる主人公が自動車事故に遭い、病院に運び込まれる。重度の火傷に絶望し、死を決意した男だったが、そこに中世ドイツで彼と恋人どうしだったと称する女が現われる。彼女、マリアーネ・エンゲルは男の快復に力を貸しながら、日ごと夜ごとに語る。異なる時代、異なる国に生まれ変わっては繰り返される男と女の壮絶な愛の物語を―。久遠の愛―それは不死鳥のように、火の試練を経て、より確かによみがえる。700年の歴史など、この愛の物語の前では色あせたタペストリーのようなもの。愛し合いながらも過酷な運命に引き裂かれる男と女は、数百年先の幸せを信じて別れる宿命を受け入れる。 (Amazonより)

今年、祖母が相次いで他界し「供養」という意味を考えることがあった。死んだら天国やら地獄に行くとか、生まれ変わるとか・・・転生するとか言う人もいるけれど私は無宗教なのでそんな御伽噺めいたことは信じていない。

けれど供養するということ、死んでしまった愛する人を想い慕い冥福を祈り続けるということ、そうしていき続けるということが無意味なことだとは決して思わない。

前ふりが多くなったが、つまり私は『転生』という言葉に惹かれてこの物語を読み始めたのだ。
物語は現世、ポルノ映画界で名をはせ愛を知らずに自堕落に生きてきた男が自動車事故で丸焼けになり奇跡的に九死に一生を得るところから始まる。焼けただれ見る影もない身体にひたすら死を望む彼の前に見ず知らずの女・彫刻師マリアーネが面会に来る。彼女は二人が時と場所を選ばず過去何度となく時代を超えて出会い愛し合い死んでいるのだと言い張り、その物語を次々と語りだす。
私たちは今まさに全焼火傷を負い女の介護の元回復しつつある男と、マリアーネの語る二人が転生してきたという殉愛の物語を各章ごとに一つずつ、交互にしるところとなる。
時には欧州、時には日本(!)が舞台となり時代も交互して二人の出会いと死別の物語が語られるのだが、最期に語られる物語がこの転生の発端となった瞬間、神へ終生身を捧げる修道女の誓いを破り、一人の火傷を負った負傷兵へ愛と命を捧げ共に逃亡の旅に出たマリアーネの物語である。
(ちなみに・・・語りだされる愛の物語はどれも悲劇と感動と愛に溢れておりどれが良かった、などと比べるのは野暮というものだが、私個人としてはとりわけ日本を舞台にした、生き埋めにされつつも男と父親のために愛を貫いた女の物語に涙した)
なぜ愛する男と転生する羽目になったのか、なぜ彼女はいくつもの心臓を持つと自負するのか?すべての謎が、彼女の愛の深さと大きさと共に明らかになるだろう。

今まで数多くの愛の物語を読んできた。多くは愛する人のために命をかけたり、愛のために生き、愛に死に己の命を捧げることでその愛の深さを証明しているように思う。 けれどこの物語は・・・マリアーネは、彼は。愛する人の生が祝福されるため、己を愛してくれると信じられる彼女の生が神に祝福され全うされるためにその生を「引き受けて」また出会う日まで一人、生き続けるのだ。一方的な純愛ではなく。ただひたすらに捧げるのではなく。
マリアーネが何度その愛を男に捧げて殉愛しても、その生が全うされることなく転生し続けたのはここにあるのだろう。
つまり愛は捧げるだけでは完結しないのだと、愛は一方的に投げかけるものでも捧げるものでもなく、受け留め引き取ってもらうことなのだと、私は彼らの物語の結末に涙した。

はじめ、私は供養の話をした。
彼らクリスチャンに供養という概念はないだろうし彼もまた、マリアーネを「供養する」とは思っていない。
けれど死よりも辛い苦痛を伴う生であっても、彼は彼女のせいを全うするため、ただ見届け一人行き続ける道を選んだ。
供養、それは愛する人の死を悲しみ、悲嘆にくれる生を過ごすということではない。
愛する人、愛した人が愛の中にいき祝福された生を全うしたのだと語り継ぐことなのだと、この物語は訴える。




ガーゴイル 転生する炎の愛
徳間書店
アンドリュー・デイビッドソン

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