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zoom RSS 『ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー』 by ダン・ローズ

<<   作成日時 : 2009/06/16 12:13   >>

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センチメンタルジャーニー、感傷的な旅。確かにとても感傷的で抒情的で、切なく哀しいいくつかの人生が脇役として描かれているがそれらはけっして本書表題の名をもつ犬、ティモレオンのものではない。
少なくともどの物語も犬の、彼の目線から語られることはない。幸せになるも不幸になるもすべてそれらは彼の立ち寄った先で展開されていた人間たちのもの。美しい目をもつ雑種犬・ティモレオンは、最も愛した最良の飼い主コウクロフトに遠地に捨てられ、ひたすら彼のもとに戻ろうと旅路を急いでいただけであり、描かれるいくつかの物語はいかに情緒的であろうとセンチメンタルであろうと、偶然、ティモレオンがその物語の終りに立ち寄ったにすぎない。
出逢い、希望と絶望、裏切り、失恋…様々な人生劇場を繰り広げた彼らはその小さな物語の最後に旅途中の犬・
ティモレオンを目撃し、ほんのわずか触れ合い、去っていく犬をあっという間に忘れてしまうのだろう。
その犬の眼に何を感じるか何を思うかは彼ら人間の勝手。彼ら人間の感情任せ。
その犬は様々な名前で呼ばれ、去っていくわけだが表題の名「ティモレオン・ヴィレッタ」は最愛の飼い主・コウクロフトが与えた名である。コウクロフトはかつては名をはせた音楽家だが、恋人の裏切られ傷心、田舎で一人暮らしをする年老いた同性愛者だ。彼の元に転がり込んだ美しくも非常なボスニア人は毎水曜日にフェラチオをするかわりに衣食住を保障させ、ついにはティモレオンを追い出し、ローマに置き去りにしてしまう。
それでも犬・ティモレオンは最初から最後まで泣きも笑いもしていない、ただもっとも幸せな時間を与えてくれる愛すべき飼い主・コウクロフトの元へと戻る旅をひたすら続けただけである。たとえその旅の終結にどれほどの不条理かつ報われぬ悲劇が待っていようとも。
昔大ヒットした同系の映画に『黄金の犬』というのがあった。類似した作品は多々あるがそのほとんどが、置いてきぼりにされた犬が様々な苦難を乗り越え、遠い旅路を経て飼い主の少女の下に帰還する感動の物語だ。中堅ハチ公さながらに尽くす彼らは度々感動の再会を迎えるや否や飼い主を身を呈して守り死んでしまう・・・というのもお決まりパターンである。
しかし本書は、違う。感動するドラマティックな物語を持っているのは人間だけ。感動のラストを享受し泣いたり笑ったりするのは最後の最後まで人間だけなのだ。



ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー
コンシャスプレス
ダン ローズ

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