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zoom RSS 『人魚は空に還る』 by 三木 笙子

<<   作成日時 : 2010/10/05 12:48   >>

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天賦の才って、あるんだね・・・これに出てくる天才絵師みたいに。
そう思わずにはいられないほどの面白さとキャラの立て方、構成力に吸引力を兼ね備えたデビュー作だ。

事件はないのかと迫り解決しろと催促する海外ミステリオタクのワトソン君。
見かけによらず腕も出自もたしかなくせに、心優しくごく普通人でお人よしなホームズ。
そんな上下関係逆転した帝都探偵物語といえば興味がわかずにはいられない。
ましてやこのワトソン役、帝都随一の人気天才絵師にして絶世の美男子、しかも毒舌家で気難しいと来ている。
非凡な彼に比べてホームズ役である主人公は半人前?の平凡な(いや実は非凡なのだが)雑誌記者。
そう、まさに帝都に花咲くツンデレコンビ! こうなればもう女子の心をくすぐらずにはいられないのだ(笑)

ただし、何度も言うようにこの作品の魅力は主役格の二人だけにはとどまらないキャラ作りと物語の構成力にある。
二人にはないノリと笑いとガテン系の強さに人情、ユーモアあふれる知人や上司が脇をしめ、彼らの行動にも会話にも飽きるところがない。
複雑な人間関係と追いつめられた状況に身を置く哀れな「犯人」は、やむにやまれぬ事情から事件を大こす。犯罪とは全く別のところに動機が有り事件が起き、罪に悩んで悶々としているのだ。

だから、事件の解決ともう一つ違うところに物語の着地点が置かれている。

そう、この物語達の最大の魅力は、事件を起こさざるをえなかった犯人達の本当の想いであり、それを優しく救い上げる「粋」な人情、人間関係なのだろう。

「優しい?そんなのじゃありませんよ!」そう言い放って自分を捨てた人間に優しくしてやるという復讐を思い立った哀しき少年の心。
「自分が面白いと思うことは、熱中できるものは、そんなものじゃないんだ!」理解されない想いの真実を追い求めては悲嘆する哀れな富豪。

そんな風に誰にも理解されないまま苦しんで事件が起きてしまった。
だからこの作品にはどこにも、悪意が存在しない。
心やさしき犯人たちがいかに救われるかの、本当の意味での事件解決を楽しんでほしい。

なお、内容としては以下の4編から出来ている。

・若干16歳の天才彫刻家が賞金を手に突然姿を消した。兄を捜してくれと妹に依頼され銀座に繰り出す高広と礼はその足どりをたどる中、偽造紙幣を発見し・・・

・宝石商「美妃真珠」からプリンセスグレイスという高価な真珠3粒が白昼堂々盗まれ1つは金魚鉢から出てきたという。高広のつてで工場で働く少年を訪ねると、彼の姉が身売り同然に結婚するという話が進んでおり・・・

・覆面の一座による人魚の興行が見世物小屋で人気を博していた。衰弱しつつも悲しく歌う人魚だが、とうとう高額でかわれることになるという。最後に一度観覧車に乗りたいという彼女の願いを叶えるが…

・西洋画のコレクターである大富豪の商人、大黒は賭け事、投機に目がない勝負人らしい。そんな彼に巷を賑わす怪盗ロータスが宣戦布告してきたという。彼の狙いはいったいなんなのか?大黒はなぜ平然と構えているのか?

内容(「BOOK」データベースより)
「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか―(表題作)。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。




人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)
東京創元社
三木 笙子

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