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zoom RSS 『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』by 飯沢耕太郎

<<   作成日時 : 2010/12/06 13:08   >>

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「この文章を読んでいるということは、あなたは相当なきのこ好きに違いない 〜 そう、あなたはもう(キノコ病の)<潜伏期>に入っているかもしれない」

と、どきりとするような著者前書きによって始まるこの本・・・先に申し上げておこう。本書はかなり危険である。
彼らに埋め尽くされた表紙とタイトルに惹かれて手に取った私は、確かに少しはキノコ好きだ。見た目可愛くキャラクターとしてもイケてて、美味く美容にも良いキノコ。ただだからといってキノコグッズを収集したり毎回食べるわけでも、特別詳しいわけでもない・・・いや、無かった。というべきか。
嬉しいかな悲しいかな、本書によって私はかなり、著者言うところの「キノコ病」を進行させてしまったらしいのだ。

本書でもっとも魅力的なのはそのビジュアルだろう。古今東西様々なジャンルの本(絵本や雑誌が主)の表紙や挿絵に描かれて来たキノコたち。「不思議の国のアリス」で芋虫と共に描かれるキノコをはじめ、どれもお馴染みの作品ばかり。哀愁漂う彼らの姿は、私たちに懐かしさを思い出させ思わずスンナリ入り込んでしまうのだ。

そうしてウッカリ入り込んだ先の第二章は著者の膨大なキノココレクションに圧倒され、魅了される。
視覚的にはこの章が発病前の人にも手遅れの人にも一番面白いだろう。
ストラップ、衣服、置き物、布、アクセサリ、印刷物、キーホルダー、傘、食器に文具に生活用具・・・そのキノコ柄の及ぶ範囲は果てしなく、それでいてどれもこれも身近なものばかりだ。
はじめパラパラ、次第にめくり返し、ついには「これどこに売ってるのかな」などと思うようになる。
こうして読者はこの章において 立派なキノコ病患者となり仰せるのだ。

さて患者となった私たちは次の第三章でもっとも魅力的なキノコの女王「ベニテングダケ」に拝謁する。
美しく強力な印象を焼き付けるあの赤く紅く平たいカサに真っ白な斑点。美しく白く伸びる肢体とバランスのとれたヴィーナスのようなそのフォルム。まさしく女王様である。
海外だけでなく日本、しかも江戸時代に既にこのキノコに魅了された患者がいたことが当時の博物誌てきな資料によって証明されるのには驚いた。世界各国、それこそ中世古代から人間は「資料」として書き付けるほど、キノコに興味を抱いていたことが解るだろう。
こうして雑学知識をにわかに付けるとそれを人に話したくてうずうずしだすのが人の性。
患者は知らずにこのにわか知識を他人に教えたくなり布教活動にいそしむようになる。
そう、この症状こそ第三期<進行期>である。

後半に入り第四章はあのいしいしんじが「きのこ狩り」という何とも奇妙な雰囲気を漂わせた短編を載せている。ある夫婦がキノコがきっかけで少しずつ狂って行く猟奇的かつ狂気的なお話で、毒キノコの作用とはかくいうものかと思われる。

ここまでくれば第四期<末期>へと進行するのは時間の問題であろう。
キノコ病の末期症状、すなわち物事、価値観全てがキノコ基準となり社会的に白い目という迫害を受けようとも幸福感に浸りきれるという、いわゆる極度のおめでたいオタクと成り果てる。

最終章にはこのようにしてキノコ病となったかつての研究者がその身を以てフィールドワークを未開拓値にて実施した経過を原文そのままに掲載している。彼らはキノコを信奉する?民族のシャーマンに頼み込み自らも毒キノコを食し幻覚を見、儀式に参加する・・・ここまでくればもう救い用が無い。
でもそんな先輩たちの偉業に感動し、続く者がこの読者の中からでないとも限らない・・・

ああ、こんな本を紹介してしまったことを後悔しつつほんの少し、いやかなり幸福感と達成感に包まれている私もまた、手遅れかもしれない。
今や第二段階か、第三段階か・・・
悩んでいても仕方が無い。歌でも歌って景気づけよう。

再度に紹介するのは 本書の冒頭に掲げられるビートルズの「マジカルミステリーツアー」の替え歌である。

「さあおいで、マッシュルームツアーだよ みんなでマジカル・ミステリアス・マッシュルームツアーに出かけよう!!」




マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー
東京キララ社
飯沢 耕太郎

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