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zoom RSS バイバイ、ブラックバード by 伊坂幸太郎

<<   作成日時 : 2011/01/06 12:59   >>

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伊坂ワールドには沢山の個性的なキャラクターが登場する。
いや殆どがどこにでもいそうな普通の人々のうちの一人なのだが、偶然か必然か?またたくまに妙な事件の当事者になり、事態はあっというまにとんでもないことに豹変し、そこから逃げるにせよ立ち向かうにせよどうにかこうにか現状を打破して行く。
読者はその突拍子も無い事態やドタバタ劇に不思議となんの違和感も無く引込まれ、次は何をしでかす?どんな言葉が、やり取りが飛び出す?とわくわくしながら期待してしまう。

そう。伊坂作品は見事な伏線と他作品との幽かな繋がりが評価されるが、実はそれを引っ張っているのは物語でも事件でもなく、キャラクターたちなのだ。
本作の主要登場人物もまた、曲者ぞろい。不謹慎だが殺し屋でさえ愛着を持ってしまう。
文学オタクで神経質の蜜柑と機関車トーマスオタクで大ざっぱな檸檬というへんてこなチームは業界では名の知れた殺し屋で、今回裏世界の大ボスからさらわれた息子と身代金を奪い返し、新幹線に乗って無事送り届けろという依頼を消化中だ。
しかし社内で息子は変死、トランクは行方不明。実は「トランクを奪って次の駅で降りるだけ」という簡単な依頼を別口から受けた七尾(通称:天道虫)が蜜柑たちの事情も何も知らずに奪っていた。
かなりの手だれながらひたすらツイテいない七尾は不幸にもなかなかトランクをもって降車できず、そんな事態を「たまたま」同情していた中学生・王子に目撃され彼のゲームに巻き込まれる。
自分がどこまで影響を及ぼせるかに執着する冷酷無比な王子。彼に屋上から突き落とされた息子の仕返しにきた父親は入院中の息子を人質に取られ逆に拘束されていた。

全く関係しなかったはずのいくつものパーツが、一つ話が進むごとに少しずつ繋がりが見えてくる。
そして、新幹線に一つずつ死体が増える。あまりにあっさりあっけなく、ゴロゴロと。

つくづく不謹慎なようだが、愛すべきキャラたちの会話や絡みと、人が簡単に殺す(される)というギャップが伊坂作品の醍醐味であり、読者が夢中になるポイントなのかもしれない。
飴と鞭、ツンデレ、といったところだろうか。

本作にもその登場人物が多々あがる作品「グラスホッパー」もまた、バタバタと人が簡単に死ぬ殺し屋たちの協奏曲だった。彼らの特殊な能力や背負っている苦悩、現実離れした殺人スキルを見せつつ、個々に「語ら」せ彼らがやがて繋がっていく物語だ。バラバラの無関係の人生が少しずつ繋がり集約して行く伊坂お得意の作風である。
ただ、毎回何か新しいことに挑戦する伊坂らしく、時間と場所とが限定されるという「列車ミステリー」が今回のお題目である。

要するにまとめてしまうと、一つの列車の中でお互いの存在を知らずにトランクの奪い合いが行われている。その列車には狂った中学生と彼に拘束された被害者父も偶然同乗しておりこの事態に関心をもちだす。その他様々な依頼元から、様々な目的を持った物騒な連中もまた次第に関わって行き、その度に死体が増える。最後に生き残るのはどのチームか? と、ただそれだけの話である。

しかし面白い。彼ら個々の行動は突拍子も無いことばかり、会話はユーモアタップリでその絡み合いは落語かお笑い、ぼけ突っ込みにも劣らない。
そしてやはり伊坂お得意の後味のよい勧善懲悪。
誰が悪で誰が善なのかは読んでのお楽しみとして、最後まで楽しめること請け合いである。


バイバイ、ブラックバード
双葉社
伊坂 幸太郎

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