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『トワイライト・ミュージアム』 by 初野晴
今まで読んできた初野晴の作品はどれもユニークな設定と暗く孤独な主人公たちと、シリアスな物語であったが、本書は少し趣が違う。
ストーリーを盛り上げる舞台には中世ヨーロッパで実際に行われた魔女裁判や公衆死刑という恐ろしい悲劇が設定されているし、主人公は身寄りのなくなった14歳の孤児、おまけにパートナーにもまた悲しい過去と実績が見え隠れする・・・と、楽しく楽観できる軽いファンタジーものではない。
ただ、不思議と重苦しく痛々しく後味の悪い物語でもないのだ。
それは本書が良くも悪くもライトノ...
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2009/11/24 08:44 |
『造花の蜜』 by 連城 三紀彦
長編ながらひと時も退屈さを感じさせず、めくるめく意外な展開を見せる本作、ミステリーとしては見事というほかない。
題名の示す偽物・・・いや、偽者としての「造花」とその偽の蜜に群がる働き蜂たち。考えてみればミステリーとは、偽の情報に隠された事実と感情や状況に捻じ曲げられたいくつもの真実が交錯する中で、一つの結論を追求し続ける物語である。
「複雑な事情を抱えた」母子に降りかかった不可思議極まりない息子の誘拐事件の一部始終が描かれる前半と、その全てを一蹴してしまうほど大きな額の「身代金」が裏で動...
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2009/11/16 12:57 |
『夏至南風』 by 長野まゆみ
物語全体に気だるい、蒸し返すような熱気と湿気を充満させた空気が覆っている。
夏至南風がその重苦しい空気をかき交ぜ果実は腐り、腐臭を放ちつつ少年たちを魅了する。
無花果を連想させる「黴びて腐った果実のような」形状の鞄を持ち歩く男は貨物列車に飛び乗り、少年たちを置いて去って行った。
会話という意思の疎通を閉ざしてしまった兄鈷藍と、彼についてまわる弟、彼らの叔母。彼らとは一線を画した美しさと雰囲気を漂わす少年、碧夏と鈷藍たちはこの夏ふとしたことから接触し、次第に互いを意識する。
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2009/11/11 12:01 |
『チェーン・ポイズン』 by 本多孝好
何の個性もとりえもない自分と意味乾燥な毎日、それに続くカラッポの未来しか残されていないと思い知った36歳OLが、ふと口にしたつぶやき 「「もう死にたい。」 それがこの物語の始まりである。
いや、始まり、というよりはチェーンメールのように後先へと続く輪の、ほんのひと鎖の始まりというべきだろう。
死にたいと願う絶望にひしがれた女の一言に、謎の男が一年の保留期間付きで安楽死の方法を仄めかす。
読者はここで、おそらくこの女が一年の間に様々な出会いや体験をして生きる希望を獲得し、生き残るのだろう?な...
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2009/10/28 12:23 |
『枯骨の恋』幽BOOKS by 岡部えつ
キャリアウーマン、晩婚、アラフォー(around40)、婚活などという女性を巡る言葉が次々と生み出されては消費されている今日、「女」という存在があらゆる意味で強く逞しくなっている気がする。
かつては社会的弱者であり求める男を待つしか出来ない受身側であった女という生き物は「怪談」というカテゴリにおいて、来ぬ想い人を憎み、もてはやされる同性を妬み、己の無力さを恨む同情すべきヒロインであった。
それが社会的立場が(かつてよりは)向上し、心情的にも「草食男子」に反比例するように強くなり、平均年齢...
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2009/10/23 08:43 |
『厭な小説』 by 京極夏彦
厭と嫌。どちらもイヤと読めるがそれぞれ「厭ましい(いとましい)」「嫌い(きらい)」とも読め、微妙なニュアンスの違いに過ぎないとおもわれがちだが、2つはあきらかに別物だ。
本書は題名からもわかるとおり、前者の「厭」である。そして後者の「嫌」が「厭」に比べてどれほどかわいいものか、全章を通して、それこそ厭というほど思い知らされるだろう。
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2009/10/17 17:55 |
『ホルモー六景』 by 万城目学
第一作『鴨川ホルモー』も映画も水にいきなり2作目から挑む私もたいがい無茶をしているが、この作品自体「理解」何ぞする必要がないのだから結果オーライというものだ。
もちろんけなしているわけではないし、理解する価値がないと行っているわけでもまったくない。
正直、面白い。何が面白いのかといわれれば、常識外れの設定とかなり変わったキャラたちと、彼らの生き生きした青春劇が
あほらしさを満開にしていて、面白いのだ。
おそらくは森見登美彦の作品の愛読者と万城目愛読者はかなり被ると思われる。
両...
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2009/10/09 17:04 |