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「オジいサン」by京極夏彦
京極氏には珍しい、ミステリでもホラーでもなくお笑いエンタメ系でもない・・・独り身で理屈屋、72歳のおじいさん、益子徳一による一人称の物語だ。
時間軸で考えれば彼の回想をふくめると非常に長いスパンを含んだ物語、けれど彼が繰り返し言うように
「老人の1秒は長く、1年は短い」
彼のたった1日と数日前の記憶は本書1冊にまでふくれあがり、しかし彼の生きてきた長い時間・・・思い出話はいつも数行の「言葉」で収まってしまっている。
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2012/01/18 13:24 |
『最初の哲学者』by 柳 広司
古代ギリシアには数多くの悲劇と哀れなヒーロー、はかないヒロインが登場し、読むもの観るものを楽しませてくれる。
復習、運命、犠牲、失恋、裏切り、転落・・・どれもこれも起承転結のはっきりした物語であり、一人称の「微妙な」心が吐露されることが無い分、非常に簡潔で分かりやすい印象を受ける。
それはこれらの物語が伝説、神話、昔話といった「伝聞」であり、歴史の父ヘロドトスにより抽出され書き留められた、昔の物語=歴史の断片 であるからにほかならない。
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2011/12/27 09:27 |
『ビブリア古書堂の事件手帖』 by 三上 延
小説でいえば大崎梢『配達あかずきん』と漫画でいえば芳崎せいむ『金魚屋古書店』、更にいえばことに男性読者を喜ばせるであろう(笑)薄幸の美少女、しかも眼鏡ッ子がヒロインというありそうでおそらく存在し得ない良いとこ取りの設定である。
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2011/12/20 13:17 |
「キミのかけら」by高橋しん
世紀末を舞台にした物語は多いが、その殆どは「明るい未来」ではない。
人間による環境破壊や愚かな戦争(主に核の使用)による人類の壊滅的惨状が描かれた世界がほとんどで、地上で生きることが出来なくなった人間が地下や残された僻地で細々と争いながら暮らしている、というものがおきまりだ。
本作もその一つ。
科学的文明が過去の遺物となり太陽が伝説と化した雪に埋もれた国。「外の世界」から壁に分断され光の無い極寒の地で、国民は夢も希望も未来も期待せず貧しい暮らしをし、戦族は反乱を起こし、政族は王族から権...
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2011/12/05 10:42 |
『水底フェスタ』 by 辻村深月
ネットでも書評でも言われている通り、辻村作品らしくない…もしくはこれを新境地とも言うのだろうか。とにかく今までの、ラストに「救い」のある物語とは違ったテイストである。
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2011/11/08 11:22 |
「僕の背中と、あなたの吐息(いき)と」 by 沢木まひろ
沢木まひろという作家の作品には、いつも「家族」が大きな影を落としている。いや土台を築いているというべきかもしれない。
家族、それは家庭でも実家でもなく、帰る場所であり自分の場所。
「行ってきます」と言い、「お帰りなさい」と返され、自分が何者であるかと確立させてくれる場所。私に名前をくれる場所である。
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2011/10/14 11:56 |
『失われた町』by 三崎亜記
「町」とは何だろうか?前作「となり町戦争」では隣り合う町同士が、ある日突然「戦争」をはじめ、ただ静かに不気味に戦争が続いていくという不思議な物語だったが、町そのものの存在はあまり描かれていなかった。それに比べて今回の町はまるで意識を持った大きな生命体のように、意図的に人間をとらえ、自身(町)の消滅に町民たちを巻き込み、外部からの侵入を拒む恐ろしい存在である。
いや、そうした「消滅した町」へと静かに、徐々に、人々の無意識のうちに移行していくと言った方が良いだろう。「消滅」という名の通り、その...
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2011/10/05 10:03 |