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zoom RSS 『40 翼ふただび』 by 石田衣良

<<   作成日時 : 2006/03/12 02:13   >>

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待っていました!こういう作品!といいたい。正直ここのところ石田作品に「これぞ」と思うようなものが無かった。が、ようやく、きた。来ました。
こんなにドキドキ、ジリジリしながら読んだのは久しぶりである。
いつの間にか引き込まれ、一生懸命応援している私がいる。
ラストのイベントの成功に涙する主人公喜一より前に、私が涙していた。

石田作品はどれも切なかったり悲しかったり優しかったり、どれも「しょうながになぁ、こいつ」と思わず苦笑いしてしまうような主人公たちが多いのだが、今回のもまさにそう。
どうにもかいしょうのない、40歳の喜一。妻とはセックスレス、なやみもあるんだかないんだかわからない。子供もなければ金も無い人生半分折り返し地点。
そんな彼が始めたプロデュース業はなんでも屋のような役割になってしまう、という点は「IWGP」の主人公と同じ(笑) (どうにもお人好しの主人公が多い。)
彼がプロデュース(というか、人助け?)する困ったさんたちは、AV女優&落ちぶれ社長だったり、オタク新企業だったり、引きこもり(今話題の中年ニート)だったり、ほんと様々で個性豊か、いや豊か過ぎるアブレモノたちだ。
そして彼らはみんな、40歳。社会にアブレたしょうもない40歳たちなのである。
彼らに共通していることは社会的な欠如、一般人間的な堕落、諦め、絶望、後が無い・・・
要は落ちぶれもの、光の当たらない場所の住人たちだ。
外からは、そう見える。しかし彼らは実は熱いものを心にまだ持っている。
そんな彼らが必至に求め、ギリギリのところで持ち続けている光を、喜一はプロデュースしていく。彼らの再生の物語が、ここに始まる。

とにかくしょうもない奴らの起死回生一発逆転の物語だ。かっこいい。
しょうもないけど、どうしょうもないけれどかっこいいのだ。

実を言えば私だって病気をしてブランクがあって、有名大学に高い学費払って入ったくせに、それすら4年目にして中退した。いわゆるニート。まともな「いいとき」を逃してしまった。
長かった入退院、家庭での殺伐とした日々、死に掛けたことも殺してやりたいと思ったことも多々ある。逃げてばかりだったし、きっと今も逃げている。
それでも今私は一応社会復帰しているらしい。これからまた、落ちるかもしれない。
逃げ戻るかもしれない。けれど生きているから、生きるしかない。
なんせ人生は生きるに値するほど素晴らしいのだ。それがどんなものであろうと。

石田先生自信が(この作品の登場人物のように)引きこもり期間があったことは有名。
しかしだからこそ、いわゆる社会的堕落した人間が再生するドラマを切実にかたることが出来る。しようも無い人生、貴重な時間を大幅に削ってしまった私だからこそ送れる人生がある。
それがどんなものであろうと、私は世界でひとつだけ一番大切な時間だと信じている。

さて、今作品で最も泣けるのは「はいそれまでよ」からラストまで。
職場の友人40歳が末期癌で、自暴自棄。けれどそうして初めて彼に愛を確信した女性。
ほら、『死』という最悪の場面でさえ、生まれる希望がある。
彼の命を懸けたラストスパートに、涙した。

ぜひ、読んで欲しい。
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40 翼ふたたび
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