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zoom RSS 『さくら草』 by 永井するみ

<<   作成日時 : 2006/10/30 02:03   >>

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さくら草
ジュニアブランドに限らずペットのお食事やら洋服やらに夫の服装よりも金をかける奥方が増えていると言う今日この頃。なかなか面白い題材だ。

内容(「BOOK」データベースより)
プリムローズ殺人事件―殺害された少女たちが身にまとっていたのは、ローティーンに絶大な人気を誇るジュニアブランド、プリムローズの服だった。清純で高級感のあるデザインは、プリムローズを身につけた少女の写真を売買する男たちをも生み出す。亡くなった少女たちに果たして何が?ブランドを守ろうとするゼネラルマネージャー、女性刑事、そして少女の母親、事件に揺り動かされる女たちを描く、著者渾身の長編ミステリ。


実は私は、ブランドのブの字もわからない、絶滅寸前の希少価値のある人種である。(笑)
ゆえに少女達の洋服への執着やそれを支援する母親達の熱狂振りは理解の範疇を超えている。いや、気持ちは解るがそこまでする原動力がわからない。
けれど、この母と娘の奇妙な執着は意外と多いのだろう。
一昔前にお受験や公園デビューの熾烈な戦いっぷりを見たことがあるが、あれとさほど変わらないのではないだろうか。
受験ではなく『お受験』つまり幼稚園児や小学生の子供達にスパルタ教育を施し少しでもいい学校を狙う、母親達。子どもたちはいつの間にか洗脳され、一緒になってお受験戦争に参加する。ああした熱狂振りが今回の作品にもそのまま表れている。

子供に執着する母親、洋服に熱を上げる子供、子供の死を認められず時を止めてしまったままの母親、過去にとらわれ続ける女刑事、ブランドという「子供」に傾倒するゼネラルマネージャ・・・ 
彼女達はいずれも固執し、とらわれ、開発…自分で切り開き進むことが出来なくなってしまった人間である。
私がこの作品の中で実感したのは、執着とは停滞、しいては退化と紙一重であると言うことだ。人間思い入れが強くなればなるほど、周囲が見えなくなる。
時も場所も他人すらも見えなくなる。まさに自分だけの世界にトリップしてしまう。
犯人は例外的に女性ではないが、彼はお人形さんの『母親』つまり女性である。だから自分の過去に、そして母親に、美しい思い出に執着した。

自分の世界に篭り住んでいた彼らが現世界と接触した時、軋轢が生まれ不協和音が響き、彼らはしめ出される。そして事件がおきる。
題材もだがミステリーとしても面白い。一気に読める&読ませる内容だったと思う。あまり癖のない文体だったし、私は好きだ。
欲を言えば女刑事がどうして初対面のパートナー(男刑事)に「今まで言ったことがなかった」自分の過去を話す気になったのか?とか、こんな事件になっているのに父親がどれも揃ってほとんど父親が登場しないのは何故か?など、細かいところは多々気になりはするけれど。

彼女の作品は初めて読んだがなかなか面白いというのが感想。他の作品も読みたくなったので今から楽しみである。
さくら草 (創元クライム・クラブ)

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『ボランティア・スピリット』 by 永井するみ
以前、永井するみの作品で初めて読んだのは『さくら草』だった。 ...続きを見る
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2007/03/16 00:28

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