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zoom RSS 『破裂』 by 久坂部羊

<<   作成日時 : 2007/10/27 22:03   >>

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少子高齢化社会のこの日本で連日ニュースになっているのは年金問題と介護問題であり、いずれも社会・文明の名のもと不自然に進化した生態をもつ人間の宿命である。
一部例外を除き多くの国家が福祉問題に頭を抱え、この日本では「若肉老食」と揶揄されるほどに高齢化社会という重石がのしかかっている。この現状に年金や福祉のありようを政治に問質す世論は多いが誰も「高齢化社会をなくそう」というものはない。それは何故か?それは即ち寿命を縮める・・・本書の佐久間の言を借りれば老人は「PPP=ピンピンポックリ」死ぬことを推奨するからである。
病院という、人間が生から死、揺りかごから墓場まで世話になるこの巨大な封建国家。医療ミスの隠蔽というありがちな幕開けにこの国民=医者たちが「人間」or「医者」として揺らぎ苦悩する様が如実に描かれ、その医者に過大な期待を無責任に押し着せるしかできない患者の弱さが訴えられる。さらに官僚(厚生労働省)からPPPの具現化で日本を若返らせるプロジェクトが目論まれ全てを飲み込んでいく・・・
前半は一ジャーナリストの執筆資料集めと医療ミスの隠蔽の裁判という個人的な対決が、いつの間にか国家的人口・年齢統制という巨大な流れに飲み込まれてしまっている。
同じ「心臓破裂」がテーマであるにもかかわらず、だ。

国民一個人の病院での不審死が国家に影響を及ぼすことは無いが、官僚一人、国の一声が発する声は全国民に影響を及ぼすのである。それが病院という終生お世話になる媒体を利用すればなおのこと、だ。

また著者は正義感に燃えるジャーナリスト松野に何度と無く「普通の感覚」を問わせている。「医者は一人前になるまでに3度人を殺す」という言葉に憤りを感じ、医者も人間であることや量の実体などをいくら説明されてもそんな言い訳は認めない、人の死を冷静に受け止めている若き医者の失態を許せない、と憤るその感覚は普通なはずだ。そう松野はくり返す。そしてくり返されるたび「でも実際しょうがないんじゃないの?」と医者サイドに同調している自分にふと驚く。ああ、私はいつの間にか医者に過剰な期待すら出来ない感覚しか持ち合わせていない人間になっていたのか、と。

私の心臓はまだ破裂しない。おそらく安楽死などもこの日本では認められないだろう。
しかし・・・。破裂は無くとも思考はとっくに麻痺をきたしているのかもしれない。

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