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zoom RSS 『アイの物語』 by 山本弘

<<   作成日時 : 2008/04/11 12:46   >>

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唐突に始まる「ロボットに支配された」世界。人間の世紀末直前、つまり読者である私が今いる人類の本・・・物語に興味をもつ少年。
被支配者が歴史の深層を知ろうと試みる際、そうしたものはたいていの物語では異端者・反社会適応者として祭り上げられ、制裁を与えられる。
この場合、支配者=ロボットが被支配者=人間をそうするのが本当のところだが・・・このロボット、アイビスが語りだす物語は人間にとってまやかしでもなく、不都合のあるものでもなかった。ただただ真実・・・否、正しい物語だ。
彼女の語る6つの真実のフィクションストーリー(物語)、そして明かされた1つの真実のリアルストーリー(歴史)。
人工知能(AI)
ロボットにとっていいように改ざんされた物語・プロパガンダを聞かされるのではと危惧する少年に対し、決して真実の歴史を話さないと約束し、フィクション、それも人間の作り出した物語だけを語ると約束したロボットであるアイビス。
彼女らにとって物語が真実であるか否かはあまり問題で無いという。
重要なのは「良い」フィクションであるか「悪い」フィクションであるか。つまり人間にとって真に「良い」結果をもたらすものであるか否かだけ。

その6つの物語はすべてフィクション、つまり実際に起こった物語ではない。いわゆる小説、空想、「物語」であり、彼女が紡ぐその物語には人類を迫害するロボットの姿も、またその逆も無い。人間とロボットの共存する悲しく、楽しく、切ない・・・いとおしい空想物語である。
その物語性の素晴らしさに、不思議なほどの真実味に、次第に興味を引かれ・・・やがて「真実の物語」つまり本当の歴史・史実・リアルストーリーを聞き出す決心を、少年はついにする。

すべての物語と歴史的期真実を知った彼が最後に何を思ったか、それは読んでいただく事にして。

フィクションと真実との価値を、まったく別のものとして、かつ同等のものとして捕らえているアイビスたちAIの認識方法をしり、わたしたちはようやく思い出す。
仮想世界と現実世界、フィクションと史実、・・・そして、AI自身と人間。 彼女らロボット・AIたちの認識方法はそうしたものは勿論、世界中のあらゆるモノを正確に、かつ同等のものとして分別しているのだということを。
そこにはAIたち自らの主張も感情も価値観も世界すらも反映されない。己を一切排除したその姿勢は仏教用語「無一物」にすら通じるのではないか。 何モノにもとらわれずひたすら理想の状態へと邁進する。

それではAIは私たち人間よりも高等な「イキモノ」なのだろうか?

確かにAIたちの精神は人間のそれを完全に超越し、一切の迷いもズレも誤りもなく行動する。しかしそのあらゆる価値の主軸、すべての行動の根源にあるのは「人間の幸福」「人間の夢」である。
彼らのいう理想とは、人間が幸福と感じる世界。
彼らの幸福とは、人間が幸福であること。

人間の描いた夢、より広い世界へ、未知の次元、宇宙へ・・・という果てない夢。それが彼らの存在意義であり最終目標である。
人間には身体という重荷(ハンデ)があるゆえにそこへ達することが出来ない。
しかし人間の夢は、思い描く理想の力はあらゆるものを凌駕して広がり、AIという手段でもって実現しつつある。 そういうある一つの未来を描いた物語が、「アイの物語」である。

いつかそういう世界にたどり着くのだろうか? いや、そこまでたどり着けるだろうか?
AIの萌芽が出始めたばかりの時代に生きる私たちに、その片鱗でも見ることが出来れば思う。
なにしろ私も人類の一員、同じ遺伝子が組まれ同じ夢を持つのだから。

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たとえマシンには勝てなくても、ヒトには誇るべき点がある。 ...続きを見る
ぱふぅ家のサイバー小物
2009/09/26 22:02

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