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zoom RSS 『白蝶花』 by 宮木あや子

<<   作成日時 : 2008/05/16 10:31   >>

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デビュー作『花宵道中』で見事に花魁の妖艶かつ哀しき人生を描いた宮木あや子。宮木氏が今回描いたのは太平洋戦争を挟んで生き抜いた女たちの半生である。

戦前、戦中、戦後・・・そして現代と4部構成になっており、それぞれの章に女たちを象徴するかのような花名が当てられている。メインとなるのは第3章「乙女椿」。乙女椿のごとく華やかでかつ気質激しく気難しいお嬢様・和江と、その邸宅に奉公に上がった女中・千恵子の交流が描かれているのだが、彼女らの周りには今や耳にすることも無い「妾」として囲われた哀しい女たちの血が流れている。血は争えない・・・悲しいほどにしっくりきてしまう。

今よりもずっと女というモノの価値が低かった時代。男を待ち、男に振り回され、男によって価値を決められその人生を左右されてしまう女というモノ。そんな女たちはいつの時代も血を流していた・・・前作のような花魁もしかり、本作のような戦前戦中もしかり。受け入れるしか出来ない立場でありながらその時代に抗い、必死に生き抜き、ただ愛するもののためにだけ生き抜こうと血を流した女たちが、ここにいる。

物語は一通の、かつて仕えた「お嬢様」・・・己の裏切りに心を閉ざしてしまった一人ぼっちのお嬢様からの手紙で幕を開ける。
第一章は、ただ一人愛する男のために身を滅ぼし、一人生き抜くために新地へと向かった女。
第二章は、妾として囲われながらその息子を愛して子を宿し、愛する男一人を逃がすために残りその身を捧げた女。
第三章は、不器用な愛しかしか知らぬ女と、裏切りつつも戦火の中「同時に二つの最愛のもの」のために生きようと誓った女。そして・・・戦中を駆け抜けた女たちの「戦後」が描かれる。新しい出会いと人生、戦後の幕開け、新しい世界で・・・。

大戦をはさみ人も世間も変われど、さまざまな形で愛するものが奪われていくことに変わりは無い。
男、主人、家族、戦争、国、世間・・・彼女らはいつだって外から来るモノに翻弄され、外的なものを受け入れては血を流す。
しかしそんな彼女らのなんと力強くたくましいことか。

きっとここに描かれる出来事は大して珍しいことではないのだろう。むしろ当時は当たり前のことだったはずだ。
それでも私という一読者はこれほど魅入ってしまった・・・彼女らの生き様に。
ほとばしるような情熱も、悲痛な叫びも、やるせない孤独も、静かな安息も、すべて彼女らの生き様の中にある。
時代は変われど同じ女として、いや、一人の人間として感情に任せて読んでほしい。


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『白蝶花』/宮木あや子 ◎
宮木あや子さんの、閉塞された世界の女性の、狂おしいまでの生き様を強く描く美しい物語は、デビュー作『花宵道中』でも『雨の塔』でも、ままならぬ想いを氾濫させつつ、静かに満ち溢れていました。 本作『白蝶花』も、戦前から戦後を通して、強く激しく恋に生きた女達の4つの物語。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2009/03/09 23:24

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
空蝉さん、こんばんは(^^)。
・・・素晴らしかった!
強く切ない想い、閉塞された世界での女性たちの生き様、とても美しい文章で描かれていて、惹き込まれました。
何というかもう、感傷的なことしか言えなくなってしまっています。
これからも宮木さんの物語は、必ず読んでいきたいです♪
水無月・R
2009/03/09 23:40
お久しぶりです〜もう、毎日仕事に追われこうしてこっそりコメント書くくらいしか時間がない・・・ トラバありがとうございました。宮木さんの物語はこれからも外せませんよね、それでも私の中では未だに花宵道中が一番!ですが。これを読んでいてふと桜庭さまの「赤朽葉家の〜」をふと思い出したりしました。内容はかなり違うけれどなんとなく通じるところが在りませんか?ふふふ。
空蝉
2009/03/11 10:36

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