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zoom RSS 『流星の絆』 by 東野圭吾

<<   作成日時 : 2008/06/30 16:15   >>

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東野作品にはいつも思うのだが、ミステリーのカテゴリにおいてある本でも、決してミステリーと思って読んでは失望する。
失望とまで言ったら失礼だろうが、格別練ってある仕掛けがあるわけでも、猟奇的な殺人や奇抜な観点があるわけでもない。いわゆる「驚くべき」と言う展開ではなく、読者が多分こうなるであろうと予想するいくつかの結末のひとつに辿り着く。
しかしだからこそどこか懐かしく、わかりやすく、共感してしまいやすいのかもしれない・・・作中の人物に真正の悪人はおらず、誰も彼もがやむをえない事情を抱え、いくつかの偶然に引き寄せられるようにして当事者たちが縁り合わさっていく。
そう、東野作品はいわゆるご都合主義の偶然の上に成り立っている。しかしそれを差し置いてもドラマチックな展開に読者を引き入れ飽きず読ませてしまうのはやはり卓越した持ち味と言うべきだろう。

いわゆる町の洋食屋で腕を振う父が作り出したハヤシライス、そしてそのレシピノートがこの物語のキーワードだ。
絶品のその味は父母が殺害されたことによって封印されるが、兄弟妹の絆となり思い出となり、唯一無二の味、のはずだった。
世間の荒波にもまれ騙され、しかし彼ら兄弟妹は逆に詐欺で荒稼ぎして生きてきたが、ターゲットの男(大手チェーン洋食店社長の息子)が新しくOPENさせようとする洋食店のハヤシライスの味は、紛れもなく父のそれだった。
彼の父の顔をみて犯人だと証言し煮えたぎる弟、憎むべき殺人者の息子を次第に愛し始めて苦悩する妹、兄として息子として背負い込み奔走する長男。そして、次第に明らかになる父の実体。
テーマとしてはありがちなロミオとジュリエット的な悲劇モノであり、兄弟家族モノであり、軽いエンタメのノリでするりと読めるミステリーだ。特に凝った趣向も仕掛けもない、と思う。
だから本格ミステリーや細かい薀蓄、トリックを楽しみたいのなら他をあたったほうがよい(笑)
そのかわり、誰一人として悪意を持った人間がいない、優しく温かなドラマがある。

ひとつ、難点を言わせていただければ。

(ここからネタバレ)

最後、妹のみが兄弟の出頭と言う犠牲の上に何事もなく普通の暮らしに戻れる、というのにいは納得いかない。
兄弟があれだけご立派に?自分たちのしてきた詐欺罪を認め出頭し、償った上で人生をやり直そうとしているのに対し
いくら可愛くて相思相愛の相手が出来たからと言って妹ひとりだけ何も償わずにのうのうと暮らしていいものだろうか?
ご都合主義もハッピーエンドもここまでくるとあきれてしまう。
この国の刑法をばかにしちゃいかん!


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