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zoom RSS 『あなたの呼吸が止まるまで』 by 島本理生

<<   作成日時 : 2008/10/15 13:12   >>

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赤字後援でも舞踏家一筋に生きた父と暮らす12歳の娘、朔。母親はそんな仕事=舞踏バカの父に呆れ果て娘を置いて家を出た母親の影を、朔はどこか幻想を追うように夢うつつに時折思い出す。
12歳と言えば第二次性徴期の始まった頃、小学生から中学生へ、男の子女の子から男子女子へ、
様々な心と体と環境の変化に自分自身のことで手一杯で、何につけても不安定な過渡期だ。
好きな男の子ができて、特に女子にはグループや女王様とその取り巻きが生まれ、それらどこにも属さない異分子はつまはじきにされて孤立する。
クラスの中に必ず一人二人はいるものだ、こうした異分子は。
何か卓越したキャラクターというのは称賛され持ち上げられるか、蔑視されて貶められるか、はじかれるか・・・そうしてなんとなく平均的な、協調性に満ちた大人社会をなぞっていくのかもしれない。
成長過程の第二次性徴期にいる少女たちはどこか背伸びして大人ぶり、大人っぽいつもりで幼稚さをまだ抜け出せずにいる中途半端な年齢。
好きな人同士が近づくことに嫉妬したりあせったり、自分が称賛する友人が好きな人から好意を持たれることに不快感を抱いて否定してみせたり・・・そしてそんな自分のドロドロした汚い部分を初めて発見して、とまどい、こうもたやすく傷つくのだ。
こうした描写がまったくリアルに描かれていて、自分の同時期がフラッシュバックしてくる・・・
彼ら彼女らは 自分とその直ぐ回りの変化に手一杯で、なんとも危く身勝手な生き物なのだとういことを、改めてかみ締める。
自分の足で立つ場所すらおぼつかない、自分すら信じ切れないあの頃。少女たちは人に嫌われること、ことさら好きな人に置き去りにされることに心の底からおびえている。
仲間外れにされないように周りに合わせてくっつくフツーの女の子たちと、大好きなお兄さんに嫌われたく無いがために言われるがまま性的暴力を受けてしまった朔、その事件、なんら変わるところは無い。
そうして壊れた部分は、きっと彼女の心に刻まれて一生残る傷となる。

文体自体も「ですます」の丁寧語で一貫されているため日記かエッセイのような雰囲気を醸し出しているが、それが「貴方の呼吸がとまるまで」いつか必ず書きます、と決心した少女の振り返った物語であることは、明らかだ。
だからといって、これが再生の物語だとか人は力強いとか、そんな的外れなことをいうつもりはない。
それでも、人が生きていくうえでこれほど強く思うことが出来る物語は、あの多感な少年少女のあやふやな時期に作り出されるのではないかと、ふと思うのだ。



あなたの呼吸が止まるまで
新潮社
島本 理生

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