■空蝉草紙■

アクセスカウンタ

zoom RSS 『Jの総て』 by 中村明日美子

<<   作成日時 : 2009/04/20 12:35   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像

これは「J」という一人の人間を描いた物語、まさしく彼、そして彼女の総てを描いた物語だ。
男として生きるにはあまりに美しく、女としてはあまりに過酷な悲劇をはいずるようにして生きたJという人間の総て。それは幸せな一家に訪れた悲劇的事件に端を発する。

崇拝するマリリン・モンローそのままに歌っては踊り、そうとは知らずに男を魅了する「女」として生き始めた少年Jは、両親を愛するがゆえに父を受け入れ、その事件は母を狂わし父の射殺に追い込み、「幸せな日々」に終止符をうった。
最愛の父に犯される、それは一点の曇りもなく純粋に両親の幸せを願ってのこと。幼いころの虐待などがトラウマになる、というケースは多いがJのそれは逆だ。
彼は成長するにつれその行為の意味を、ことの重大さを、絶望を知る。
スクールに通い世界に交わり、大事な人を見つけ心から愛することを知るようになって初めて、あの「事件」がいかに呪わしく、恥ずかしく、恐ろしいことなのかを思い知るのだから。

彼がどのような人生を歩んだか、それこそが本作の「総て」なのだから多くは書くまい。どのような些細な出来事も、言動の一つ行動の一つとってもすべてが彼の総て、彼女の総て、Jの総て。

同性愛者でありトランスセクシャリティであり、愛を求めながら逃げ続けるJの、惨劇と汚辱にまみれた人生を目の当たりにして、それをどう受け止めるかは読者次第だ。しかし私は目が離せなかった。感動したのでも、卑下sるのでもなく、ただただ目が離せなかった。
父親による凌辱と受け入れと、その結果に待っていた、母による父の殺害。
心底愛した結果がすべてを失うという悲劇でもって人生のスタートを切ったJの人生は全て逃げることで埋め尽くされている。
男という性から逃げ、友人から逃げ、愛する人から逃げ、社会から、生活から、家族から、そして愛することそのものから逃げ続けたJ。
そして彼が最後に逃げたのは己の人生そのものから。
再開した初恋の、最愛の彼もまた己の血と、愛されることから逃げ続けてきたくちだ。すべてから逃げ続けてきた彼らが再開したその結末を、どうか見届けてほしい。

Jの総て (1) (F×COMICS)
太田出版
中村 明日美子

ユーザレビュー:
絵柄…わたしには合い ...
ただのBLもし、中村 ...
ハマりましたvvもと ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『Jの総て』 by 中村明日美子 ■空蝉草紙■/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる