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zoom RSS 『セレモニー黒真珠』 by 宮木あやこ

<<   作成日時 : 2009/05/29 15:00   >>

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昨年アカデミー賞を受賞した映画『おくりびと』は死体を棺に納めるまでの支度をする納棺士を描いたニューマンドラマ。そして今ドラマでも現実でも話題になっているのが婚活。冠婚総裁とひとくくりにされてしまうこの正反対の人生における二つの一大イベントだが、ブームになりもてはやされるのは結婚だけである。それはそうだ、婚活しろとは言えても葬活・・・死ねとは言えない。(そんなことを言ったら自殺をしろ、安楽死をしろといっているようなもんだ。)

出来ることなら死にたくないのが人情、だからどうしても「葬」の字に「死」を重ね合わせて避けてしまう。
それに、どんなに葬儀屋がマエカブ(株)になりホテルさながらの綺麗な建物を構えセレモニーと名を変えようとも、彼ら葬儀社STAFFには笑いも華やかさも許されることは無いし、終始笑顔のブライダルとは逆に無表情かつ沈黙を守ってひたすら式を進行するだけだ。
混乱している遺族には下手をすれば強欲同業社や悲しみに漬け込む詐欺が舞い込むし、遺産相続や生前の諍い等があれば目を覆いたくなるような場面にも遭遇する、それでも葬儀者はひたすら式を、時間を推し進めなければならない。
小さいながらも地元密着で良心的な葬儀を執り行う葬儀社『セレモニー黒真珠』で働く若手3人も、そんな苦労を潜り抜けるスタッフだ。

家庭に恵まれず本気で愛した不倫相手との結婚も成就せず、ある目的のために派遣社員として入社した薄幸女21歳・妹尾。
幼少から葬儀屋に憧れた変わり者、念願かなって入社するも「見えてしまう」体質のため苦労が絶えないメガネ男子26歳・木崎。
恋愛より仕事を選んだために男に捨られ未練を残しつつ結婚コーディネータから葬儀社へ180度転職して幾年月。老け顔30歳のベテラン女・笹島。

「どうして、よりによってそんな職に・・・」と、人の死を扱う仕事はけして良い顔をされないけれど、この3人は三者三様、全く違う角度の動機を持っている。(もちろん現実の葬儀社スタッフだって人間らしい様々な事情を抱えているに違いない)
妹尾は不倫相手の死に水を取るという極めて個人的な目的のためだし、木崎は単純に葬儀フェチ。笹島だって男に捨てられた反動みたいなもんだ。それでも彼らは一つ一つの死と旅立ちに真摯に向かい合っている。
彼らが「お客様」と出会うのはいつだって「死」ありき。しかも婚活のように「これから頑張っていきましょう」でも「式の日取りとドレスは・・・」なんて気の長い話でもない、せいぜい3.4日のうちにすべての段取りが済んでしまうお別れと旅立ちonlyの出会いなのだ。だからなのだろう、彼らが一生懸命なのは。

私もいつか誰かに看取られ誰かの手で葬られるのだろう・・・その時は彼らのような素敵なスタッフの手で、素敵な葬儀を挙げて欲しい。
結婚式のように愛する人たちの中で。
そして、お経は生きている人、残された人のためにあげるのだと聞いたことがある。きっと葬式もまた同じなのだ。

遠い先かもしれない私の死が、残された愛する人々の一歩になることを、願いたい。

セレモニー黒真珠 (ダ・ヴィンチブックス)
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宮木あや子

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『セレモニー黒真珠』/宮木あや子 ◎
す・・すみません、多分全編にわたって、人格崩壊バージョンだと思います。 ・・・て言うのもさぁ! この『セレモニー黒真珠』に出てくる、眼鏡男子・木崎がもう〜、水無月・Rの萌え心を刺激しまくりで、愛情もって語らねばっ!という気合いがあふれてきちゃうんですよねぇ・・・。 ああ、いい年して何やってるんだろう私(笑)。 ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2009/05/29 22:52

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
空蝉さん、こんばんは(^^)。
今までとちょっと傾向が変わって、登場人物たちのセルフツッコミなど笑えるシーンが結構ありましたね。私、こういう宮木さんも素敵だなと思いました〜。
お葬式という、突然やってくる儀式を取り仕切る3人のいろんな事情の物語が、切なかったり面白かったり。
彼らのプロ意識には頭が下がりますね!
私も、こんな真摯な人たちに、見送りの儀式を指揮してもらえたらいいなぁ、と思いました。
水無月・R
2009/05/29 23:07
こんにちは、水無月・Rさん。
ほんと、今までとはかなり違うコミカルな現代劇でしたね。こういうのもかけるんだなってある意味見直しました。でもこういうタイプのモノもまた書いて欲しいです。
空蝉
2009/05/30 09:04

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