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zoom RSS 『娚の一生(おとこのいっしょう)』  最終巻 by 西炯子

<<   作成日時 : 2010/04/07 14:34   >>

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前回ブログで第一巻を取り上げて、第二巻をUPし忘れた・・・と思ってたらもう最終巻3巻が出ちゃった!と、一人後智ている。 月日が過ぎるのはあっという間で、その間に私も20代から30代に、つぐみと同じ世代になっている。(笑)

こういう言い方はきわどいのだけれどいい意味で、人が男(女)に本気で落ちるときというのはきっと何かに「気が付いた」時だと、最近切に思う。
知らなかった自分に、思い込んでいた自分に、そんな自分の作り上げた壁の中でぬくぬくと逃げていた自分に気づかされたとき、人は本物の強さに本当の意味で魅かれるのだろう。


キャリアウーマンだったつぐみが母の死を契機に祖母の家で田舎暮らしを始めるところからこの物語は始まった。
かつて祖母を愛し続けた50代の教授・海江田が転がり込み共同生活をするが、様々なスッタモンダと海江田の静かで熱烈なアプローチの末、ようやく結婚を考えるまでになったのが、前2巻までのお話。

本書3巻では、つぐみが地元で続ける自家発電の問題(地域住民との開発問題)をサイドストーリーに。そしてつぐみに大きな心の傷を残した元彼からの「離婚したので結婚して欲しい」という連絡、そして揺れ動くつぐみと動揺する海江田のメインストーリーでラストは思いがけないアクシデントで幕を閉じる。
家を継ぐつぐみに周囲の年配者や親族はやれ「家を持つような女は男」だとか、「しょせんは女」「一人のままでもいい」とか、地元の若い人と結婚を…等等、つぐみに(女に)言わせれば「あなたたちが私の面倒を一生見てくれる訳ではないでしょう」な勝手な言い分ばかり。
そんな言い分の中でも気が付かせてくれるのはやはり海江田だ。
つぐみが何か自分の作り上げた「逃げ道」「言い訳」に気が付くたび、同じ女として私自身がこの物語に引き込まれる。彼女がそうして海江田に「恋に落ちる」たびに私はこの物語にツボをつかれたように落ちるのだ。

「しょせんは女」という言葉に一人では認められない悔しさを愚痴るつぐみに、それは一人で出来ると思い上がった傲慢だと気づかせる海江田。 

トラブルから偶然救い出してくれた元彼はまさしく馬車に乗った王子様・・・けれど「よく見たらボロボロの馬車」だと気が付くシーン。

去った恋人に、「大切にしているものは、自分が「大切」と思い込んでいるものばかりだ・・・」と気が付くつぐみ。

一人でもいいと思ってた・・・違う、ひとりじゃダメだから ふたりでいることにも自信がなかっただけ、と自分の臆病に気付くつぐみ。


「一人=独り」であることが心地よくそれが自分に合っていると「思いこんで」生きてきた人間が、いつしか二人でいることをあたり前のように心地よく感じている、そんな自分に気が付いた瞬間。

そんな数々の「気が付く」つぐみを見ていて思う。
人は「恋に落ちる」というけれど、ホントに落ちるのは恋に落ちている自分に気が付いた瞬間、じゃないかなと。

つぐみをはじめ一人立ちし、自分を知っている分をわきまえた女性は多いけれど、それでも人は弱い生き物だから自分の過去から、周囲の目から、世間の批判、世界から身を守るためのたくさんの言い訳や防御壁を貼っている。
その言い訳が正論であればあるほど、その御託が冷静であればあるほど、自分の作った慰めの言葉の中でつぐみも私も埋もれてしまう。気付かないうちに、気付かされないうちに、そうして年月だけがたってしまう。

つぐみも、私も、多くの女性が与えられるのを待っている「お姫様」だ。
自立していても、ひとりでイイと思っていても、それは現状に甘んじて満足しているだけなのかもしれない。
だから、この物語はホントの意味で童話的だ。

自分から手を伸ばさなくても与えられ、「幸せ」を運んでくれる王子様をただ待っているだけの受動的なお姫様。
彼女は永い苦難を経て成長し、本当に欲しいものを自分で選び掴み取るのだ。

「王子様」にさよならをしたつぐみが最後に手にしたもの。

 もう私は「幸せ」には縛られない。

その言葉に全てが詰まっているのではないだろうか。


娚の一生 3 (フラワーコミックス)
小学館
西 炯子

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