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zoom RSS 『アース・ダイバー』by中沢新一

<<   作成日時 : 2010/10/27 10:08   >>

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先日からNHK「ぶらタモリ」第二段が始まった。再スタートしたということはかなりの要望、リクエストが寄せられたのだろう。
旅番組にはおなじみのグルメにもショッピング情報にも縁がないこの番組の見所は、大都市東京の表舞台ではなく、知られざる裏スポット、隠れた魅力を発見し再発掘するところにある。
江戸時代の古地図などを手に川や坂、某かの「跡」をタモリ率いる一行がぶらぶら巡り探索するというこの番組は、昨今のパワースポット人気に後押しされて確かな支持を確立した。

実はこの番組にうってつけの本を一冊、私は知っている。その名も「アースダイバー」地底潜水。著者は縄文時代に海水の下であった沖積層と、堅い土で地表に露出し続けた「乾いた土地」洪積層とで色分けした特殊な縄文時代の地図を手に東京を練り歩き、そのフィヨルドのように入り組んだ複雑な地形に現在の東京の多様性を説明する糸口を見つけている。
東京はほんの少し掘り起こすだけで縄文時代の痕跡が顔をだす。かつて岬であった突端部はそのまま神聖な「無」の空間として神社や寺という形で今に至り、自由の象徴である「大学」も神聖な王の森である皇居もまた湿った水辺に突き出した岬や高地に構えている。かつて貝塚や墳墓といった埋葬地が数多くあったその場所に。
そしてそれとは真逆に、沖積層(海水の下)で縄文期を過ごした湿った低地には「下町」があり常に自然の驚異にさらされ耐えぬいて来たもう一つの文化が今も残っている。
交換の原理で乾いた現実を常に生き続ける洪積層の文化圏と、(おそらくは神への)贈与の原理で湿った土地を守り続ける沖積層の文化圏と。それらが複雑に入組み絶妙なバランスで乱立しているのが「東京」なのだ。こう気づかされゾクゾクしてくる。無意識に通り過ぎ、何気なく出入りしているこの東京はなんという不可思議きわまりないパワースポットだったのかと。
昨今のパワースポットブームは不況と不安が押し寄せた今、起こるべくして起こった現象なのかもしれない。困ったときの神頼み。だからこそグルメ情報も最新情報もスルーする「ブラタモリ」がヒットする。

東京はなぜ同じ「都内」でありながらこれほどまでに様々な様相を呈しているのか、ずっと疑問だった。
外来の最先端を取り込み続ける寛容な銀座界隈、新旧と昼夜で全く違う世界を併せ持つ新宿、旧い電子と新しいネットとオタク文化が共存する秋葉原、何者からも無縁であり続ける皇居、どこかきな臭さと柔軟さを保つ浅草(下町)などなど・・・。
その答えはアースダイブによって一つの仮説(いや、きっと真相に違いない!?)を得るだろう。
低地と高地、湿った土地と乾いた土地、性的な濡れ場と贈与の文化が溜まった下町と経済金融の交換文化が発達した高地。そしてそれらから完全に切り離された境界に位置する「無」のSPOT。

ふと自分の今いる場所がどこにあたるのか、気になった。私は縄文時代海の下と陸の上、どこに位置していたのだろうかと。
もしかしたらちょっとほりかえしたら何かここからも出てくるのではないだろうか。
本書を読めばそんな「現実的な」妄想に取り付かれるに違いない。これは夢物語ではないのだ。
お出かけの際には今年の地図ではなくぜひアースダイバー用の巻末付録の地図のご用意を。
アースダイブの旅にでてみようではないか。 東京の驚くべき姿が見えてくる。
アースダイバー
講談社
中沢 新一

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
空蝉さんこんばんは。こちらでははじめまして。
中沢新一さん、空蝉さんはご存知かな、東大駒場騒動というのがありまして、中沢を駒場の教官にしようと半ば強引に、西部すすむー漢字分からなくなった、笑、や、佐藤誠三郎、舛添要一やらがすすめて、他の教授たちの反感をかい、結局中沢は駒場に行けなくて西部らが辞めたという騒動がありました。
中沢は南方なんかとも近いので縄文研究には適しているかな。
今日お送りした招待券に現代美術館、トランスフォーメーションもありますが、中沢プロデュースなんですよね。
ブラタモリ僕もちょっと見てみましたがアシスタントの女性はだれなのかな?
oki
2010/12/09 23:47
こんばんは〜 中沢さんの本を読んだのは初めです。
大学時代(民俗学を専攻していたので)に読んでいれば視野が広がったのにな〜と悔しい思いをしています;;
東大駒場騒動というのは知りませんでしたが、そのような大きな事件の中心となるほど有名な方だったんですね。知らずにいたことがお恥ずかしい!
チケットお送りくださったとのこと、感謝致します!
展示に行きましたらきっとあちらサイトでコメント致しますね。

ちなみに、今週のプラタモリ(in三田&麻布)なかなか面白かったですね。アシの女性は久保田裕佳人です。
あのくらいおとぼけでちょうど良いコンビかと(笑)
空蝉
2010/12/10 18:14
空蝉さんこんばんは。メール拝読しましたが、何も気にしてませんよ、私は一般論を述べたまでです。
さて空蝉さんは原武史という人をご存知かな?
この人が、面白いこと言ってます。
中央線に人身事故が多い、それは生の世界と死の世界を結んでいるからだと。
東京駅は皇居に面している、いわば生の世界。一方高尾には武蔵陵墓地があり、大正天皇や昭和天皇が眠っている死の世界。だから死の世界へと向かう中央線に飛び込みが多いと。
民俗学的にいかがでしょうか?
ちなみに中沢を駒場に招聘しようとした西部は中沢に天皇制の研究やらせたがったようですね。
oki
2010/12/11 23:03
こんにちは。こちらにお返事くださっているとは知らず、お返事が遅くなりました;;
変に気を回してしまったようです、すいません。

原武史、名前だけは存じております。政治家ですよね?こんなに作品も書いているとは知りませんでした。
彼岸と此岸の境界上を走る列車、中央線・・・なんて面白い着想なんでしょう!今度じっくりその辺りを読んでみたいです。
そもそも高尾=天皇陵墓と繋がりませんでした。勉強不足ですね。どちらかというと高尾=山岳信仰=死者の国、というイメージの方が先に来ました。
東京、日本橋、皇居・・・あの辺りを歩いているといつも「帝都物語」を思い出します。
日本橋・・・橋というのはA地点からB地点への境界であるとよく言われます。幽霊画出るのも橋の脇の柳の下や辻(笑) それこそ死の世界がそこここにあふれているのかもしれませんね。
空蝉
2010/12/14 11:17

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