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zoom RSS 『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』 by 伊坂幸太郎

<<   作成日時 : 2012/04/18 10:52  

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私はあまりエッセイとかノンフィクションを読まないし本でも音楽でも、その作り手の素顔に迫ろうなどと思わない。作品が面白ければそれで十分なのだが、伊坂氏の作品のように作品構成はもちろんのことそれ以上に描かれる会話や日常的仕草が面白いものを書ける作家に関しては「こんなおもしろい会話を考えだせる人ってどんなひとだろう?」とつい想像してしまう。
「陽気なギャング〜」以来、魅力あふれる?こゆいキャラたちの絶妙な会話ととんでもない行動に魅せられこんなやつらに会ってみたいな〜と思う。
そして考える。きっと作家もこんなおもしろおかしい毎日を作り出せるおもしろ人間に違いない、と。
それで手に取ったのが本書だ。

が、結果的に言うとその予想はあっさり裏切られ、しかしその上を行く面白さだった。
なんのことはない。作家は普通のありふれた日常を送る人間で、周りに超人や変人がいるでもなし、そもそも彼は普通のサラリーマンでちょっと映画や音楽や小説に深い造詣は有るけれども(笑)、そしてそうした外部の出来事やら作品やら人間やらに影響を受けやすい人でもあるけれども、さほど気の利いたしゃべりが出来るわけでもない、変人でもない、面白人間でもない、普通の会話と日常に囲まれた人間だ。
けれどなるほどと思う。
だからこそこんなに会話が面白く、登場する人と人との関係やその普通さがリアルに感じられるのだと。
伊坂作品に登場する人間はちょっと変わっていたり特殊能力や境遇に幸か不幸か恵まれている人が多いけれど、彼ら自身はそこらにいても見分けがつかない普通の人間だ。
彼らの魅力はそんな「とびぬけた」何かじゃない。それぞれ違う個性を持った人と人が出会って、言葉をかわして、そこに思いも掛けない面白おかしい「会話」と言う化学変化が出来る。
そう、伊坂氏は会話が好きなのだ。というより面白い会話を見ているのが好きなのかもしれない。

エッセイの良いところは、著者の「こうありたい」「こうしたい」という本音や夢願望が、何気ない言葉の端々や出来事応対から伺えるということだ。
自分目線で好き勝手に紡がれているの「物語」からは登場人物たちの会話やストーリー展開からしか伺えない著者伊坂氏の日常、好き嫌い、こんな話が書きたいんだ、という思いがダイレクトに読み取れる。


「言葉の魔術師」なんて言い回しはよく耳にするけれど、伊坂の場合は「会話の魔術師」。
そして巧妙な伏線を幾重にも張り巡らし無いところにすら作ってしまう、「繋の魔術師」だ。

伊坂氏の作品には小さな変化や何気ない日常、一見全然関係ない人々や出来事が重なり合って
いつの間にか大きな何かになっている、というワラシベ長者型が多い。そしてなんとも痛快だ。
そんな氏のエッセイ、つまりはフィクションではないリアルな日常が描かれているのだ、当然面白い。

それに本作はたんなる普通のエッセイではない、各年ごとに「干支」が現れ彼に恐怖を与えてくるという変わった趣向あり。
また自身の読書歴や映画や音楽との出会いに熱弁を奮い、そんなところにも彼のルーツの一端を観ることが出来るだろう。

実のことを言えば私自身、伊坂氏の熱烈な惚れ込み様に押されて『ぼくが愛したゴウスト』打海文三 を先日読んだ。
どうやら伊坂氏の布教活動は見事成功しているわけだ。

伊坂氏という小説家の作り出した世界をより深く読み解くというファンに応えるだけではない。
読書だけでもなく音楽にも映画にも指南書としても多いに役立つ彼のエッセイをぜひご堪能頂きたい。



(以下 新潮社より)
偏愛する本や映画に音楽、「喫茶店」で巻き起こる奇跡、退職を決めたあの日のこと、「干支」に恐怖する年末年始、封印された「小説」のアイデア――二十世紀末のデビューから十年、伊坂幸太郎の初エッセイ集いよいよ刊行! すべてのエッセイに、裏話満載の語り下ろし脚注付き! 全小説リスト(単行本未収録作含む)も入ってます。

2000年 幾つもの映像や文章に影響を受け、そして現在(いま)

2001年 キャラメルコーン ハードボイルド作家が人を救う話

2002年 健康療法マニア アメリカンコーヒーゲーム

2003年 B型とセガールとヨーグルト 映画館は平和だ 言葉の壁 自由な席 ごきげんよう 壁 連絡を待つ 会いましょう 心を広く 町から戻り、本を読もう 狂っちゃいないか? 読んでいるだけで幸せな気分になりました。 CD特等席 一〇六人の作家(ひと)に聞きました。 叫ぶ、叫ぶとき、叫べば、叫べ 私の隠し玉

2004年 猿で、赤面 読書亡羊 また、っていつだよ マニュアル通り わが心の恋愛映画 フィッシャー・キング よろしくお願いいたします。 私が繰り返し聴く3枚のCD 熱帯と化した東京を舞台に灼熱のファンタジー こちらマガーク探偵団 「亡くなったけれど、ベンチにいる」人たちの声が聞こえる短編集 我、この地を愛す。仙台01 政宗が二人 我、この地を愛す。仙台02 自慢話 我、この地を愛す。仙台03 松島 私の隠し玉

2005年 吾輩は「干支」である 人気作家63人大アンケート! 運命を分けたザイル 記憶に残る短編小説 青春文学とは? これは僕の映画だ!としか言いようのないアカルイミライ リョコウバトのこと 連作のルール 魔王が呼吸するまで 大好きな本 『キャプテン翼』 調査官とチルドレン 私の隠し玉
2006年 父の犬好き 経験を生かす。 近況 いいんじゃない?

「強度のある小説」という言葉にもっともふさわしい作品
打海文三の指摘が的確であろうと、的外れであろうと、僕は姿勢を正さずにいられない
無邪気なようでいて、イマジネーションと邪悪さに満ちた、実は恐ろしい物語
警察や国を、どこまで信じていいのか? この事件の顛末に、恐怖を感じずにはいられない
このマンガを読んでいると、喜怒哀楽に分類できない、変な感覚になる
あの作品につけたい「架空サウンドトラック」
『鎌倉ものがたり』が描く異界の日常
私の青春文学、この一冊『叫び声』大江健三郎
特別料理
私の隠し玉

2007年 猪作家 お正月は映画ですごそう 身近な生活と広大な世界を、同時に歌える稀有なバンド
人気作家63人大アンケート! 『ぬかるんでから』佐藤哲也 解説 どれにしようか。興奮しながら本の準備 峩々温泉で温泉仙人にあう 恰好いい小説 私の隠し玉 青春の棲みか

2008年 逃げ出したいネズミ 人気作家63人大アンケート! 僕を作った五人の作家、十冊の本 斉藤和義さんとの仕事 『ぼくが愛したゴウスト』打海文三 解説
私の隠し玉&私のハマっている○○

2009年 牛の気持ち 人気作家55人大アンケート! 精神宇宙を旅するかのような本に惹かれます。
私の隠し玉&デビュー直前/直後

2010年 おもちゃの公約 人気作家56人大アンケート! 武田幸三という格闘家の存在。 三谷龍二のもうひとつの世界 「残り全部バケーション」オートマとバケーション 十年目に考えたこと。 あとがき この本ができるまで

著作リスト


3652―伊坂幸太郎エッセイ集
新潮社
伊坂 幸太郎

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