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みんなの「本」ブログ

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『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』 by 伊坂幸太郎
『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』 by 伊坂幸太郎 私はあまりエッセイとかノンフィクションを読まないし本でも音楽でも、その作り手の素顔に迫ろうなどと思わない。作品が面白ければそれで十分なのだが、伊坂氏の作品のように作品構成はもちろんのことそれ以上に描かれる会話や日常的仕草が面白いものを書ける作家に関しては「こんなおもしろい会話を考えだせる人ってどんなひとだろう?」とつい想像してしまう。 「陽気なギャング〜」以来、魅力あふれる?こゆいキャラたちの絶妙な会話ととんでもない行動に魅せられこんなやつらに会ってみたいな〜と思う。 そして考える。きっと作... ...続きを見る

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2012/04/18 10:52
『櫻守』 by 水上勉
『櫻守』 by 水上勉 この本に出会えて良かったとか読んで大きな感銘を受けたという本はまま有るが、日本人で良かったと、こと櫻というただ一つのものにつけ、共感できる、心で感じることが出来ることにこれほど感動を覚えたことはなかった。 ひとことにサクラといっても、櫻にはその時代、土地と人々により様々な意味と歴史とドラマが有る。 かつて花といえば梅であったが歌に読まれる花は櫻を意味する。名残惜しさは平安貴族に、瞬く間に散ってしまう潔さは中世の武士と戦中の兵士達に、そして飽くことのなき華やかさは全ての日本人に好まれ愛され日本... ...続きを見る

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2012/04/11 12:38
『おさがしの本は』 by 門井慶喜
『おさがしの本は』 by 門井慶喜 図書館戦争以来だろうか。小説に漫画にと図書館や古本家を舞台としたミステリが随分多くなった気がする。(最近で言えば「ビブリア古書堂の事件手帖』が記憶に新しい。) おくればせながら私が読んだのは最近だが、本書がちょうど今出版されていたらこの流行?に乗じてもっと話題になったに違いない、そう思わせる内容と蘊蓄の深い、奥行きのある、面白い作品であった。 ...続きを見る

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2012/04/02 15:33
『金持ち君と貧乏君』by 秀良子
『金持ち君と貧乏君』by 秀良子 今やBL(ボーイズラブ)が堂々と書店でスペースを取っている。しかもかなり過激な内容で。 BL好きの腐女子としては嬉しいことこの上ないのだが、大衆化&一般化するということはその分幅広く容易く刊行され行き渡るということでもある。当然厳選された物だけではなく駄作も内容の無い物もでてくる。 ジャンルがジャンルだけにこうした物はともすれば過激なエロ本になりさがりさえする。 ...続きを見る

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2012/02/28 14:39
「上から目線」の構造 by 榎本博明
「上から目線」の構造 by 榎本博明 名著『菊と刀』以来、日本人の文化は恥の文化であると自他ともに称されてきたが、最近は恥を忘れた日本人、日本人らしさの崩壊、などの声が高い。 同時によく耳にするのが草食男子、父親(世代)の権威の失墜、コミュニケーション不足、そしてゆとり教育世代の若者は・・・という苦笑いではすまない葛藤を抱えた中年の苦悩である。 ...続きを見る

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2012/02/03 15:04
「オジいサン」by京極夏彦
「オジいサン」by京極夏彦 京極氏には珍しい、ミステリでもホラーでもなくお笑いエンタメ系でもない・・・独り身で理屈屋、72歳のおじいさん、益子徳一による一人称の物語だ。 時間軸で考えれば彼の回想をふくめると非常に長いスパンを含んだ物語、けれど彼が繰り返し言うように 「老人の1秒は長く、1年は短い」  彼のたった1日と数日前の記憶は本書1冊にまでふくれあがり、しかし彼の生きてきた長い時間・・・思い出話はいつも数行の「言葉」で収まってしまっている。 ...続きを見る

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2012/01/18 13:24
『最初の哲学者』by 柳 広司
『最初の哲学者』by  柳 広司 古代ギリシアには数多くの悲劇と哀れなヒーロー、はかないヒロインが登場し、読むもの観るものを楽しませてくれる。 復習、運命、犠牲、失恋、裏切り、転落・・・どれもこれも起承転結のはっきりした物語であり、一人称の「微妙な」心が吐露されることが無い分、非常に簡潔で分かりやすい印象を受ける。 それはこれらの物語が伝説、神話、昔話といった「伝聞」であり、歴史の父ヘロドトスにより抽出され書き留められた、昔の物語=歴史の断片 であるからにほかならない。 ...続きを見る

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2011/12/27 09:27
『ビブリア古書堂の事件手帖』 by 三上 延
『ビブリア古書堂の事件手帖』 by 三上 延 小説でいえば大崎梢『配達あかずきん』と漫画でいえば芳崎せいむ『金魚屋古書店』、更にいえばことに男性読者を喜ばせるであろう(笑)薄幸の美少女、しかも眼鏡ッ子がヒロインというありそうでおそらく存在し得ない良いとこ取りの設定である。 ...続きを見る

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2011/12/20 13:17
「キミのかけら」by高橋しん
「キミのかけら」by高橋しん 世紀末を舞台にした物語は多いが、その殆どは「明るい未来」ではない。 人間による環境破壊や愚かな戦争(主に核の使用)による人類の壊滅的惨状が描かれた世界がほとんどで、地上で生きることが出来なくなった人間が地下や残された僻地で細々と争いながら暮らしている、というものがおきまりだ。 本作もその一つ。 科学的文明が過去の遺物となり太陽が伝説と化した雪に埋もれた国。「外の世界」から壁に分断され光の無い極寒の地で、国民は夢も希望も未来も期待せず貧しい暮らしをし、戦族は反乱を起こし、政族は王族から権... ...続きを見る

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2011/12/05 10:42
『水底フェスタ』 by 辻村深月
『水底フェスタ』 by 辻村深月 ネットでも書評でも言われている通り、辻村作品らしくない…もしくはこれを新境地とも言うのだろうか。とにかく今までの、ラストに「救い」のある物語とは違ったテイストである。 ...続きを見る

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2011/11/08 11:22
「僕の背中と、あなたの吐息(いき)と」 by 沢木まひろ
「僕の背中と、あなたの吐息(いき)と」 by 沢木まひろ 沢木まひろという作家の作品には、いつも「家族」が大きな影を落としている。いや土台を築いているというべきかもしれない。 家族、それは家庭でも実家でもなく、帰る場所であり自分の場所。 「行ってきます」と言い、「お帰りなさい」と返され、自分が何者であるかと確立させてくれる場所。私に名前をくれる場所である。 ...続きを見る

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2011/10/14 11:56
『失われた町』by 三崎亜記
『失われた町』by 三崎亜記 「町」とは何だろうか?前作「となり町戦争」では隣り合う町同士が、ある日突然「戦争」をはじめ、ただ静かに不気味に戦争が続いていくという不思議な物語だったが、町そのものの存在はあまり描かれていなかった。それに比べて今回の町はまるで意識を持った大きな生命体のように、意図的に人間をとらえ、自身(町)の消滅に町民たちを巻き込み、外部からの侵入を拒む恐ろしい存在である。 いや、そうした「消滅した町」へと静かに、徐々に、人々の無意識のうちに移行していくと言った方が良いだろう。「消滅」という名の通り、その... ...続きを見る

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2011/10/05 10:03
『マイ・ブルー・ヘブン 東京バンドワゴン』by 小路 幸也
『マイ・ブルー・ヘブン 東京バンドワゴン』by 小路 幸也 東京バンドワゴン。なんて優しくノスタルジックで心和む響きなんだろう。 少々訳ありで実は裏の大物とも業界にも顔の効くオオモノ主人が構えた古本屋「東京バンドワゴン」。 ここで起こる珍騒動や怪事件、人情あり笑いあり涙ありの4世代同居!ホームドラマが読者を喜怒哀楽させた本編が終わってしばらく立つ。こうして番外編というかたちで彼らの若き日に再会出来たこと、そして本編では語られなかった堀田家の秘密が明かされいっそう魅力的になったのは本当に喜ばしい。 ...続きを見る

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2011/09/13 11:00
『私が語りはじめた彼は』 by三浦しをん
『私が語りはじめた彼は』 by三浦しをん 本作を読んでいて最初に感じたこと、それは三浦しをんがこれほど繊細で情緒豊かな風景描写が出来る作家であったのか、ということだ。 それまでの三浦像といえば少しオタクっけのある、シリアスと笑いをうまく取り混ぜたエンタメ系、といったものだったが、本作は著者の作家像を大きく変えるものとなるだろう。 ...続きを見る

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2011/08/24 14:42
『死ねばいいのに』 by 京極夏彦
『死ねばいいのに』 by 京極夏彦 『厭な小説』といい本作『死ねばいいのに』といい、まったくもって挑戦的かつ興味を引かれずにはいられないタイトルである。ネーミングセンスとでも言うのであろうか。次回は『非売品』とか『買わないで下さい』とかいうタイトルをつけるんじゃないかとこっちがヒヤヒヤしてしまう。 さて、そのタイトルについてあちこちのインタビューで答えているように、著者自身は本作をネガティブではなくポジティブな、「死」ではなく「生」の作品として書き上げたという。 ...続きを見る

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2011/08/09 13:03
「東京奇譚集」 by 村上春樹
「東京奇譚集」 by 村上春樹 今をときめく村上春樹の作品について語るとき、「これぞ」とか「さすが」とか「村上流」などの形容詞を頭に付ける人が多いけれど、悲しいかな割と最近の、2、3作品しか読んだことのない私にはそれが出来ない。 しかしながら彼の作品の多くが、ほんの少しのファンタジー(不思議)と それに反して現実に根を下ろした冷静な視点、そしてなにより人と人との関係性、かかわり合いがドラマチックに描かれているのが分かる。 ...続きを見る

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2011/07/29 12:45
『竜が最後に帰る場所』 by 恒川光太郎
『竜が最後に帰る場所』 by 恒川光太郎 ファンタジーや異世界ものの作品は数多いが、描かれたその世界がリアルに「私のこの世界」にあると無意識のうちに思わせてしまう、その中に読者がどっぷりはまってしまうほどの作品は、少ない。 ヒーローが活躍する素敵な世界、魔法の飛び交う魅力的な世界、未来に叶うかもしれないSF、昔々のお伽噺にロマン溢れる伝説、神話etc…  そうした物語は憧れや畏怖の目、願望の対象になり多くの読者に夢や希望を与えるのだろうけれど、私はは「ありえない世界」「体験出来ない話」だからこそ、安心してドキドキワクワクしている。 ... ...続きを見る

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2011/06/27 15:06
『本日は大安なり』 by 辻村深月
『本日は大安なり』 by 辻村深月 本日は大安なり角川書店(角川グループパブリッシング) 辻村 深月 Amazonアソシエイト by ...続きを見る

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2011/05/20 13:08
『放課後はミステリーとともに』 by 東川篤哉
『放課後はミステリーとともに』 by 東川篤哉 電車の吊り革、雑誌の読者評、「TVで紹介」「各誌絶賛」などという世間の言葉に惑わされて東川氏の作品に興味を惹かれたのがことの始まり。 そしてどうせなら最新刊を読もう、と思って手に取ったのが本誌である。 ...続きを見る

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2011/05/16 17:35
『小説を書く猫』 by 中山可穂
『小説を書く猫』 by 中山可穂 最近、お気に入りの小説家のエッセイ集を読む機会が多い。 小説家のエッセイには大きく分けて二通りあって、それは小説を書くスタイルと重複していると思う。 ...続きを見る

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2011/04/05 14:16
バイバイ、ブラックバード by 伊坂幸太郎
バイバイ、ブラックバード by 伊坂幸太郎 伊坂ワールドには沢山の個性的なキャラクターが登場する。 いや殆どがどこにでもいそうな普通の人々のうちの一人なのだが、偶然か必然か?またたくまに妙な事件の当事者になり、事態はあっというまにとんでもないことに豹変し、そこから逃げるにせよ立ち向かうにせよどうにかこうにか現状を打破して行く。 読者はその突拍子も無い事態やドタバタ劇に不思議となんの違和感も無く引込まれ、次は何をしでかす?どんな言葉が、やり取りが飛び出す?とわくわくしながら期待してしまう。 ...続きを見る

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2011/01/06 12:59
『PRIDE』〜池袋ウエストゲートパーク]by石田衣良
『PRIDE』〜池袋ウエストゲートパーク]by石田衣良 ロングラン&ヒットシリーズ池袋ウエストゲートパーク(以下IWGP)もとうとう10年。10冊目(本編)。 ...続きを見る

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2010/12/25 11:52
『西巷説百物語』by京極夏彦
『西巷説百物語』by京極夏彦 なんともファン泣かせの一冊。長い長いこのシリーズ、完結したと油断していたのだが京極氏のエンタメ性を甘く見ていたらしい。既刊4冊は時代を前後しつつも同じ江戸を舞台としていたが今回は西。時代の次は場所を移動してシリーズを続けて来たのである。 しかも憎いことにキャラクターは総取っ替えしつつ、最終章では既刊でおなじみの又市が顔を見せる。 そもそも本書の主人公、霧船の林蔵は御行の又市とは義兄弟だ。彼の一味には裏世界の小悪党を束ねる一文字屋仁蔵、大入道の荒法師玉泉坊、変装の達人文作に幽霊芝居のお龍、しか... ...続きを見る

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2010/12/16 10:04
『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』by 飯沢耕太郎
『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』by 飯沢耕太郎 「この文章を読んでいるということは、あなたは相当なきのこ好きに違いない 〜 そう、あなたはもう(キノコ病の)<潜伏期>に入っているかもしれない」 ...続きを見る

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2010/12/06 13:08
『都会の幸福』 曾野綾子
都会に住むということはどういうことなのか?田舎から上京し都会に住むようになってはや3年。地方と呼ばれる地に済む人々と都会に住む人々にどれほどの違い、優劣、損得があるのか?そもそも都会に住むことは幸福なのか不幸なのか? 東京に住みながらもそんな根本的な問いを、今まで考えたことは無かったように思う。 無論、交通の便がいいとか仕事に便利とか、流行モノがそろっているとか、そういう生活の利便性を買って住むことにしたのだ。本書にもあるように、時間はある意味お金で買えるのである。 普通より高速道路や特急... ...続きを見る

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2010/11/30 10:49
「南の子供が夜いくところ」 by 恒川光太郎
「南の子供が夜いくところ」 by 恒川光太郎 「人間でないものには人間でないものの現実が待っているとは思いもしなかった」 この言葉にハッとさせられた貴方は恒川氏の描く世界に恐怖を覚えるかもしれない。 ...続きを見る

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2010/11/18 15:43
『倒立する塔の殺人』 by 皆川 博子
『倒立する塔の殺人』 by 皆川 博子 思春期の学生、ことに女学生というのは憧れを原動力に生きているのだろうとさえ思う。 校則、教育、両親、世間体・・・様々な拘束に縛られ捕われながら 自由に憧れ外の世界を夢見ている。 ...続きを見る

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2010/11/11 14:47
『アース・ダイバー』by中沢新一
『アース・ダイバー』by中沢新一 先日からNHK「ぶらタモリ」第二段が始まった。再スタートしたということはかなりの要望、リクエストが寄せられたのだろう。 旅番組にはおなじみのグルメにもショッピング情報にも縁がないこの番組の見所は、大都市東京の表舞台ではなく、知られざる裏スポット、隠れた魅力を発見し再発掘するところにある。 江戸時代の古地図などを手に川や坂、某かの「跡」をタモリ率いる一行がぶらぶら巡り探索するというこの番組は、昨今のパワースポット人気に後押しされて確かな支持を確立した。 ...続きを見る

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2010/10/27 10:08
『人魚は空に還る』 by 三木 笙子
『人魚は空に還る』 by 三木 笙子 天賦の才って、あるんだね・・・これに出てくる天才絵師みたいに。 そう思わずにはいられないほどの面白さとキャラの立て方、構成力に吸引力を兼ね備えたデビュー作だ。 ...続きを見る

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2010/10/05 12:48
『シューマンの指』by 奥泉 光
『シューマンの指』by 奥泉 光 日本でクラシックピアノ曲というとたいてい最初に出てくるのがショパンだろう。 今年 2010年はショパンの生誕200年ということもありイベントや商品を目にする機会が増えたのだが、その同じ年、もう一人の天才が生まれたことをご存知だろうか? 「トロイメライ」「謝肉祭」をはじめその名は有名であるにも拘らず、その生涯も作品も今ひとつぱっとしない、日本人には馴染みの薄い天才、シューマン、その人である。 ...続きを見る

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2010/09/29 10:27
『冥談』 by 京極夏彦
『冥談』 by 京極夏彦 記憶というのは美化されるものだという。 そして人間の脳はつらいこと苦しいこと、厭なことを消し、精神を正常に保つよう働く。 つまり健やかに快適に生き続けられるよう、そういったマイナスの記憶を排除するという保身術に長けている素晴らしい機能を持っており、京極氏の描く物語の「しかけ」にはそうした機能が巧みに取り込まれていることが多い。(なにしろしょっぱな、「姑獲鳥の夏」からして、だ) ...続きを見る

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2010/09/09 13:13
『ブランケットタイム』 by 沢木まひろ
『ブランケットタイム』 by 沢木まひろ 「神様はどこかにいる---いやなことも平気でしそうな気がする。歩いているのを捕まえて文句を言いたい。27年生きていれば何度か思った。この世には理不尽なことが多すぎる。」(p193より) ...続きを見る

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2010/08/26 15:32
『光待つ場所へ』 by 辻村深月
辻村氏の作品を読むとき、私はいつも怖くなる。 著者の描く少女たちはおそらくその一部、もしくはすべてが著者自身の過去であったり現在だ。 そして30歳を迎えた辻村氏と同年同月生まれの私にとっても、そこに描かれる彼女たちの物語はやはり他人事ではない。感情移入とか同感とかの問題ではなく、むしろ身につまされる思いがする、とでもいうのだろうか。 主人公たちの小生意気に大人ぶって、どこかにコンプレックスを抱えつつ、器用貧乏に不器用に生きる様は かつての私に良く似ている。 そして本作では初っ端から、たっ... ...続きを見る

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2010/08/23 13:36
『スペインの沈黙』 by 堀田善衛
『スペインの沈黙』 by 堀田善衛 スペインを知るのに読みやすい本はないか? スペインに造詣が深い知り合いに尋ねたところ堀田氏の評伝『ゴヤ』を勧められた。 もともとゴヤの絵をそれほど好きではなかったに加え4冊という大長編、二の足を踏んでしまった私は代わりに同著者の、もっと薄く持ち運びしやすい文庫でページ数の少ない本・・・すなわち本書『スペインの沈黙』から入ることにした。 が、どうやらこの選択は間違いではなかったらしい。 本書はスペインの紀行文であり、国とその歴史の紹介文であり、かの地に長期滞在した著者自身のエッセイである。共... ...続きを見る

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2010/08/16 12:54
『製鉄天使』 by 桜庭一樹
『製鉄天使』 by 桜庭一樹 製鉄会社のバカお嬢 赤緑豆小豆(あかみどりまめあずき)は鉄を自在に操る能力を持ち、赤いリボンのポニーテールをトレードマークに今日もハイウェイをバイクで走る。パラリラパラリラ〜と。 ...続きを見る

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2010/08/10 11:07
『道徳という名の少年』 桜庭一樹
『道徳という名の少年』 桜庭一樹 桜庭氏が描く舞台はいつも大人と大人の作り出す常識という敵が待ち構えている。 そして本作では「道徳」という形をとって少女たちの前に提示されているのだろう。 ...続きを見る

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2010/07/26 13:30
『トトの世界』by さそうあきら
『トトの世界』by さそうあきら あちこちでこの作品が話題になり、感動した、感銘を受けたなどと書いてあるモノだからかなりの期待を寄せて読んだのだが、正直期待しすぎたのだろうか?少々がっかりした。 ...続きを見る

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2010/07/15 12:37
『京都怪談 おじゃみ』 by 神狛しず
『京都怪談 おじゃみ』 by 神狛しず 何とも可愛らしい表紙絵に優しい和紙仕立ての紙質。 副題に「京都怪談」とあるのだから、さぞ「はんなり」した優しい情緒溢れる幽霊のお話かと思って挑んだのがとんだ間違いであった。 予想は大きく外れ、想定外の寒気と期待以上の吸引力をもった怪談短編集である。 表題作『おじゃみ』は中でもずば抜けて怖い、恐ろしくて、ゾゾッとするほど気色悪い。さすが『幽』怪談文学賞(短編部門大賞)受賞作なだけある。 ...続きを見る

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2010/07/05 18:36
『里山のおくりもの』 by 今森光彦
『里山のおくりもの』 by 今森光彦 先日、新宿コニカミノルタプラザで公開されている写真展に出向いた。 今森光彦写真展「里山」〜人と自然がともに生きる〜(2010.6/1〜6/22) ...続きを見る

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2010/06/29 09:21
『オー!ファーザー』 by 伊坂幸太郎
『オー!ファーザー』 by 伊坂幸太郎 子供は親を選べないと一般に言うけれど、選り取りみどり、多種多様な4人の父親の元に生まれた子供の苦労を思えば・・・選べないことがどれだけ幸せか分かるに違いない(笑) ...続きを見る

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2010/06/19 11:16
『富士子』by 谷一生
『富士子』by 谷一生 『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。 ということで今回読む機会を得た。 ...続きを見る

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2010/06/07 16:10
『流れる』 by 幸田文
『流れる』 by 幸田文 昭和32年初版・・・私が生まれる20余年も前に書かれた作品である。 戦前戦後の文章というのはどうしても硬い感じがするし話し言葉にも文語体が抜けきれず、なんとも不自然さがつきまとうもので、あの時代の文章になれていない私なんぞにはなかなか馴染めない。 まだ女流作家が少なかった時代、男性目線で描かれた女性の多くは「かくあるべき」姿で描かれた。 著者により定められた彼女らの心情は、彼女の態度や仕草、会話により間接的に伝えられることになる。 だからどうしても「彼女たち」はこの時代のドラマに... ...続きを見る

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2010/06/01 15:06
『数えずの井戸』 by 京極夏彦
『数えずの井戸』 by 京極夏彦 数えるということはどういうことなのだろうか? 数える、数がある。それはソレが在るということの証明だ。存在しているということが数えるものにとって「有る」つまり所有しているという「価値」になったとき、人の心に慾(欲)が生まれる。 ...続きを見る

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2010/05/17 15:05
『V.T,R』 by 辻村深月
『V.T,R』 by 辻村深月 この作品は辻村作品の一つ『スロウハイツの神様』の主要人物にして人気作家コーキの小説として書かれている。 『スロウハイツの神様』は私にとって痛々しく、切なく、けれど心が締め付けれれるくらい愛に溢れた作品だった。 「スロウハイツ」荘で共同生活をする若者たちと人気脚本家チヨダコーキ。才能という存在を彼らは愛しつつも妬み、尊敬しつつも嫉妬し、応援しつつも貶める。どうしようもない感情の渦を飲み込んで、彼らは真実と答えを見つけていく・・・。そういう心をぎゅっとつかまれるようなたまらない作品だった... ...続きを見る

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2010/05/10 15:23
『書物迷宮』 by 赤城 毅
『書物迷宮』 by 赤城 毅 ひとたび表に出れば世界を揺るがしかねない稀購本を、合法・非合法問わず、ありとあらゆる手段を用いて手にいれる完璧な本の狩人。 ものすごい「お宝」を必ず手にいれる、という意味で、これだけの説明だと怪盗ルパンを思い浮かべる人も多いだろう。 「狩人(ル・シャスール)」と称する彼は 狙った獲物(本)は、どんな罠も謎もスルスルと解いて瞬く間に手に入れてしまうのだ。 手に入らないものが多い凡人にとって、どんなものでも手に入れてしまうという点で彼らはまさしく「ヒーロー」と呼ぶにふさわしい。 ...続きを見る

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2010/04/27 17:11
『こごえた背中の、とける夜』 by 沢木まひろ
『こごえた背中の、とける夜』 by 沢木まひろ あ〜ああ、はまっちゃったよ・・・ BLモノは最近控えていたのに。しかもこれ、BLじゃないし!BOY&オヤジだし(笑) でもおちゃらけずに読んで欲しい、感じて欲しい、泣いて欲しい。  先日読んだ時も思ったのだけれど、たんなるボーイズラブとか同性愛モノとか、そんな単純な軽い言葉では片付けないで。愛する人を、出会った縁を、家族を、恋人を、真摯に真正面から見つめなおそうとする彼らの傷だらけの姿を。私は真摯に受けとめたい。 こんな軽い言葉ではいけないと思うのだけれど・・・ガンバレ、頑張って!と願わ... ...続きを見る

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2010/04/27 12:55
『東山殿御庭』 by 朝松健
『東山殿御庭』 by 朝松健 応仁の乱(1467-77年)を挟む室町時代、それはこの世が地獄と化した全国動乱の時代であったらしい。 安定していた幕府の体制は崩壊し各地に戦国大名が並立する。度重なる飢饉と血肉を争う戦争により誰もが混乱に陥っている。 そして、様々な宗派が急激に発生した(鎌倉時代の)後だけに上下貧富を問わず罪の意識、魑魅魍魎といった意知識が流布している時代でもある。「地獄」という観念が絵巻物などにより一般に定着したのもこの頃であろう。 ...続きを見る

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2010/04/19 17:41
『あるキング』 by 伊坂幸太郎
『あるキング』 by 伊坂幸太郎 『魔王』辺りからどうにも政治色・権力や集団への社会批判とも取られがちな作風を帯びてきていた伊坂作品。 万人受けするエンタメ性が減りよりシリアスな、深刻な問題提起を孕んだ主題に読者層、ファン層もコアなものになってきたそんな折、追い討ちをかけるようにこうした異色作を打ち出した勇気にまず感服した。 ...続きを見る

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2010/04/14 15:27
『娚の一生(おとこのいっしょう)』  最終巻 by 西炯子
『娚の一生(おとこのいっしょう)』  最終巻 by 西炯子 前回ブログで第一巻を取り上げて、第二巻をUPし忘れた・・・と思ってたらもう最終巻3巻が出ちゃった!と、一人後智ている。 月日が過ぎるのはあっという間で、その間に私も20代から30代に、つぐみと同じ世代になっている。(笑) ...続きを見る

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2010/04/07 14:34
『きみの背中で僕は溺れる』 by 沢木まひろ
『きみの背中で僕は溺れる』 by 沢木まひろ 彼と彼らのこの物語を、単なるBL(ボーイズラブ)や恋愛モノ、一人の青年の成長物語として どうか片付けないで欲しい。 確かに主人公の祐司は男性しか愛せない性癖で、そのことを親にも大切な姉にすら打ち明けずにいる。 物語はその親友・透の別れ話に祐司が同性の恋人の「役」を演じるシーンから始まるが、透は本当に彼がそういう性癖であることを知らないという、なんともコミカルで微妙で、もしかしたら切ない展開を予想させる始まり方だ。 皮肉にも彼に思いを寄せていた女友達・香奈だけはその秘密を知るところと... ...続きを見る

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2010/03/30 09:28
『追想五断章』 by 米澤穂信
学資がなく休学の身の苦学生・芳光は住み込みバイト先の伯父が営む古書店の留守番中、叶黒白(かのうこくびゃく)という作家の短編5編を探して欲しいという依頼を受ける。依頼者は北里可南子、黒白の娘であり5編のリドルストーリーの結末のみを所持しているという。 報酬に釣られ黒白の旧友や掲載誌、関係者を追ううちに、彼女と母親たちの身に起きた22年前の事件「アントワープの銃声」へと辿り付く。 なぜ夫であり父である黒白はこのような本を書いたのか?そしてなぜそれを封印したのか? 事件の真相を訴える5つ... ...続きを見る

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2010/03/23 17:55
『プライド』 最終回 by一条ゆかり
とうとう終わってしまいました・・・一条先生の描く女の「プライド」。 ...続きを見る

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2010/03/16 10:45
『ボトルネック』 by 米澤穂信
非常に、非常に暗く、救いのない、痛ましい物語だった。 紹介欄を読むと死んだはずの姉が生きている別世界に飛んでしまった主人公の物語・・・これはパラレルワールドもの、そしてその世界で自分を見つめなおすようになる、いわゆる少年の成長物語かなと思って読み始めたのだが。 主人公はあらゆるものに冷め切って無関心を決め込んだ諦念タイプ。 正反対に好奇心旺盛で人好きのする姉の存在がなければ、この物語は進行せずにたちまち頓挫するであろう、そのくらい彼の行動には停滞と退歩はあっても進歩はない。 ...続きを見る

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2010/03/08 14:16
『キャンセルされた街の案内』 by 吉田修一
人の数だけ人生が在り出会いの数だけ物語が在り、生活の数だけ家が在り、そういうもので街は毎日更新される。 そこには老いも若きも、男も女も実に様々な人間が住んでおり、様々なドラマを繰り広げているのだが、実はその殆どは取るに足らない、ごく普通の出来事だ。 私はといえば、まあ、「若者」のうちにとりあえず入れてもらえるのだろうけれど、同じ若者とはいえ吉田修一の描く「若者」はいつもどこかつかみ所がなく、実に淡白で・・・彼らの紹介が実に難しい。 けれどそれが一層、リアルに感じられるのは実際の現実世界だっ... ...続きを見る

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2010/02/15 19:15
「幽霊屋敷」の文化史 (講談社現代新書)  by 加藤耕一
日本人にとってのお化け屋敷とはハレとケで断絶された異空間である。もちろん様々なタイプが出来ている今日、これをもって日本のお化け屋敷、という基準を定めるのはナンセンスだが、少なくとも私の幼少期のお化け屋敷といえばひとたびその建物の中に足を踏み入れれば墓地や牢獄、井戸などが在り、人魂が飛び交い「恨めしや〜」という白装束の幽霊がおどろおどろしく登場する、「屋敷」ではない別世界が広がっていた。つまりそれは怪談話の世界の再現、誰かの体験談の可視化である。 これに対して西洋の、ことさらヨーロッパの... ...続きを見る

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2010/02/09 09:11
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 』 by 辻村深月
私はなぜ、辻村の作品を読み続けるのだろう?読むたびに、そっと隠しておいた心をえぐられれ、丁寧にしまっておいた思いを暴かれ、傷ついてばかりいるというのに。さらにいえば、そうして傷ついた自分に酔いしいれている浅ましさを発見して、苦笑すらしてしまう。 著者は作品に、おそらく自分自身の様々な部分を吐き出した等身大の「彼女たち」を登場させている。そして、彼女と同年同月生まれである私にとっても、そんな「彼女たち」の姿は驚くほど自分自身に酷似しているから、目が離せない。時として悲痛な展開を見せる物語... ...続きを見る

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2010/02/04 12:45
『君に届け』 by 椎名 軽穂
早い者で君届も10巻・・・いや〜近年まれに見る純情かつ真っ直ぐな少女漫画! かといってリボン系のお子様的な要素はなく、劇的過ぎず、アマちゃん過ぎずな設定とノリ。 すこし現実的でいそうでいない友達、ライバル、クラスメイト、先生・・・ 少女漫画なのに乙女チックしていない、それでもやっぱり少女漫画だ〜と思わせる。 広く支持される理由はそんなとこにあるんじゃないかな、と思う。 ...続きを見る

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2010/02/01 12:36
『シアター』 by有川浩 (メディアワークス文庫)
久しぶりに読んだ有川作品だが今回は劇団モノ。 しかも人気はソコソコ在りながらも本人たちには自覚が無く、降って沸いたような300万という負債額に存亡の危機が迫っている「社会人」としては小学生並みの甘ちゃん劇団が、2年間で見事復活をとげるかどうか!?という青春映画のような、ある意味ベタでオキマリなストーリーだ。どうせまたうざいくらいの恋愛モノが入り混じった青春真っ只中、暑っ苦しい根性モノなんだろうな〜(もちろんいい意味で、だ) と思いきや、いやいや、、どうしてどうして。もっと単純に率直に、ライトノ... ...続きを見る

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2010/01/27 15:40
『SOSの猿』 by 伊坂幸太郎
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2010/01/18 09:53
『樹霊』 by 鳥飼否宇
まず最初に、本格ミステリとうたっているわりにはその必須要素である「探偵」役が後半まで出てこない。しかもさほど存在感があるでもなく、、ところどころに繰り返されるような「観察者」的な特徴も感じられない。印象的なのはむしろ、この事件に巻き込まれ語り手であり主視点者であるヒロイン猫田だ。彼女の現実味のある挙手挙動、言動は同じ女性としても共感できるし男性からすれば(おそらくは鬼木が惹かれたように)姉(アネ)さん的ながらも可愛らしい存在として好ましく写るに違いない。 ...続きを見る

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2010/01/11 12:34
『娚の一生』 by 西炯子
婚活がもてはやされる昨今だが、それでも恋愛下手な女の子や仕事が好きでそっちのけのキャリアウーマン、結婚に臆病になっている淑女は数多い。 多分私もそのどれかの一人。  だからこれを全て満たしている困ったさん・つぐみはもしかしたら、様々な場面・意味で 「リミット」を迎えつつある女性たちを代弁しているかもしれない。 ...続きを見る

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2010/01/05 12:23
『太陽の庭』 by 宮木あや子
最古の長編小説『源氏物語』にしても軍記ものである『平家物語』にしても、いや神話や民話、伝説に至るまで 人間はいつでも己の取り巻く現実を様々な言葉をつむいで「物語」に仕立ててきた。 それは幸せな時間、大切な人との会話、または悲痛な思いや別れなど自分の体験し得る物語だけではない。 時には自分の到底手の届かない富みや栄誉、地位名声を憧れと羨望の目をもって夢物語のように描き、 時にはそれらに嫉妬と憎悪の目をもってそれらを誹謗や中傷の的として世に暴露する。 ...続きを見る

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2009/12/22 13:25
『神々の捏造 イエスの弟をめぐる「世紀の事件」』 by ニナ・バーリー
日本人は宗教心が薄いと言われるが、それは民族として、国家として、この国がいかに平和的な意味で好条件がそろっているかということと同じ要因を持つと思う。 無論日本にも数々の宗教的弾圧や痛ましいほどの殉教者がいたことは歴史の教科書を読めば解ることだが、少なくとも他国と戦争を起すほどの宗教戦争を、日本という国は経験していない。「日本人である」という自意識だけで日本人になれ、さげずまれることも争うこともないこの平和な国では、たとえ古墳の一つ、古代遺跡物の一つにどれほどの意味があろうと、またなかろうと... ...続きを見る

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2009/12/19 12:34
『Another』 by 綾辻行人
本書を持って綾辻氏のホラーとミステリの融合が完成した、と見る人が多いだろうが、むしろどちらにも属さない新境地を開拓したと見るほうがしっくりくる。 本屋を覗いても書評のカテゴリなどをみてもたいていホラーとミステリは同じ棚か隣り合わせに配置されている。 ミステリー作家にしてホラー作家というのも多いしその逆もしかり。そもそもホラーとミステリ、ことに猟奇的な殺人事件やおどろおどろしい伝説の類が絡んでくるものとは仲が良い。事件解決を目的とするかどうかという点を除けば、基本的にその中身は謎と恐怖に翻... ...続きを見る

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2009/12/02 13:00
『トワイライト・ミュージアム』 by 初野晴
今まで読んできた初野晴の作品はどれもユニークな設定と暗く孤独な主人公たちと、シリアスな物語であったが、本書は少し趣が違う。 ストーリーを盛り上げる舞台には中世ヨーロッパで実際に行われた魔女裁判や公衆死刑という恐ろしい悲劇が設定されているし、主人公は身寄りのなくなった14歳の孤児、おまけにパートナーにもまた悲しい過去と実績が見え隠れする・・・と、楽しく楽観できる軽いファンタジーものではない。 ただ、不思議と重苦しく痛々しく後味の悪い物語でもないのだ。 それは本書が良くも悪くもライトノ... ...続きを見る

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2009/11/24 08:44
『造花の蜜』 by 連城 三紀彦
長編ながらひと時も退屈さを感じさせず、めくるめく意外な展開を見せる本作、ミステリーとしては見事というほかない。 題名の示す偽物・・・いや、偽者としての「造花」とその偽の蜜に群がる働き蜂たち。考えてみればミステリーとは、偽の情報に隠された事実と感情や状況に捻じ曲げられたいくつもの真実が交錯する中で、一つの結論を追求し続ける物語である。 「複雑な事情を抱えた」母子に降りかかった不可思議極まりない息子の誘拐事件の一部始終が描かれる前半と、その全てを一蹴してしまうほど大きな額の「身代金」が裏で動... ...続きを見る

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2009/11/16 12:57
『夏至南風』 by 長野まゆみ
物語全体に気だるい、蒸し返すような熱気と湿気を充満させた空気が覆っている。 夏至南風がその重苦しい空気をかき交ぜ果実は腐り、腐臭を放ちつつ少年たちを魅了する。 無花果を連想させる「黴びて腐った果実のような」形状の鞄を持ち歩く男は貨物列車に飛び乗り、少年たちを置いて去って行った。 会話という意思の疎通を閉ざしてしまった兄鈷藍と、彼についてまわる弟、彼らの叔母。彼らとは一線を画した美しさと雰囲気を漂わす少年、碧夏と鈷藍たちはこの夏ふとしたことから接触し、次第に互いを意識する。 ...続きを見る

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2009/11/11 12:01
『チェーン・ポイズン』 by 本多孝好
何の個性もとりえもない自分と意味乾燥な毎日、それに続くカラッポの未来しか残されていないと思い知った36歳OLが、ふと口にしたつぶやき 「「もう死にたい。」 それがこの物語の始まりである。 いや、始まり、というよりはチェーンメールのように後先へと続く輪の、ほんのひと鎖の始まりというべきだろう。 死にたいと願う絶望にひしがれた女の一言に、謎の男が一年の保留期間付きで安楽死の方法を仄めかす。 読者はここで、おそらくこの女が一年の間に様々な出会いや体験をして生きる希望を獲得し、生き残るのだろう?な... ...続きを見る

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2009/10/28 12:23
『枯骨の恋』幽BOOKS by 岡部えつ
キャリアウーマン、晩婚、アラフォー(around40)、婚活などという女性を巡る言葉が次々と生み出されては消費されている今日、「女」という存在があらゆる意味で強く逞しくなっている気がする。 かつては社会的弱者であり求める男を待つしか出来ない受身側であった女という生き物は「怪談」というカテゴリにおいて、来ぬ想い人を憎み、もてはやされる同性を妬み、己の無力さを恨む同情すべきヒロインであった。 それが社会的立場が(かつてよりは)向上し、心情的にも「草食男子」に反比例するように強くなり、平均年齢... ...続きを見る

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2009/10/23 08:43
『厭な小説』 by 京極夏彦
厭と嫌。どちらもイヤと読めるがそれぞれ「厭ましい(いとましい)」「嫌い(きらい)」とも読め、微妙なニュアンスの違いに過ぎないとおもわれがちだが、2つはあきらかに別物だ。 本書は題名からもわかるとおり、前者の「厭」である。そして後者の「嫌」が「厭」に比べてどれほどかわいいものか、全章を通して、それこそ厭というほど思い知らされるだろう。 ...続きを見る

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2009/10/17 17:55
『ホルモー六景』 by 万城目学
第一作『鴨川ホルモー』も映画も水にいきなり2作目から挑む私もたいがい無茶をしているが、この作品自体「理解」何ぞする必要がないのだから結果オーライというものだ。 もちろんけなしているわけではないし、理解する価値がないと行っているわけでもまったくない。 正直、面白い。何が面白いのかといわれれば、常識外れの設定とかなり変わったキャラたちと、彼らの生き生きした青春劇が あほらしさを満開にしていて、面白いのだ。 おそらくは森見登美彦の作品の愛読者と万城目愛読者はかなり被ると思われる。 両... ...続きを見る

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2009/10/09 17:04
『悲歌』 by 中山可穂
中山可穂という作家を語る上でレズビアンは欠かせない、などと思っていたら大間違いだ。本書は(多少同性愛的な要素があるにしても)その本質はただひたすらに愛である。性別も肉体も超えてなお余りある愛憎と、死と、再生・・・それらがそこここに現れる真っ赤な鮮血によってより一層劇的に描き出される。 ...続きを見る

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2009/10/05 12:44
『姫百合たちの放課後』 by 森奈津子 ハヤカワ文庫JA
はじめに言っておく。たとえBLが大好きな腐女子であろうとも、私はレズではない。SM愛好家でもそっちの趣味もあっちの趣味も官能小説さえ手に取ることは滅多にない。だからこんな作品を読む機会を得られたことは幸か不幸か奇跡に近い。なんといっても描かれているのはBL顔負けの女の子たちの同性愛モノ。言ってみればGL(ガールズラブ)だ。ノーマルな方には章が進むにつれて目も当てられないほど?過激なHシーンに突入するし、ハッキリ言って一定の年齢を満たしていないお子様には読ませない方が健全だ。もしこの女の園... ...続きを見る

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2009/09/28 12:56
『廃墟建築士』 三崎亜記
タイトルからして不思議なものを発している。廃墟を建築する人、その字面から想像するにゴミを進んで作り出す人、意味の無いもの必要とされないものをわざわざ作り出すという仕事を生業とする人が最初、浮かび上がった。 本書に収められた4編はどれも廃れて世間から見放されかけた、いわば廃棄物化直前の建物にまつわる守り人たちの熱い物語である。熱いといってもラブロマンスがあるでも人情仁義に溢れたものではない。 ただそれら建築物にはその存続を願う者がいなくなり、それらの存在を守る者がいなくなれば即取り壊さ... ...続きを見る

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2009/09/19 09:18
『再生』 by 石田衣良
まず最初に、この短編集は回復でも完治でもなく 「再生」だ。 突然様々な平和的日常を失い、大切な人のために傷つきボロボロになった彼等に起こる小さな奇跡が、やがて大きな未来に続く足がかりとなり、きっかけとなる・・・という実話をベースにした物語である。 だから、ご都合主義やオキマリの展開が苦手な方にはハッキリ言って物足りないかもしれない。けれど著者あとがきにあるように、これらの小さな奇跡は著者が実際に見聞きして取材した生の声。私たちにも起こりうる、いや、起せるかもしれない奇跡があるのだ。 登... ...続きを見る

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2009/09/14 15:50
『星守る犬』 by 村上たかし
・・・望んでも望んでも叶わないから、望み続けるー ただそれだけー人は皆生きてゆくかぎりー「星守る犬」だ。・・・ ...続きを見る

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2009/09/07 13:52
『ふちなしのかがみ』 by 辻村深月
子供の・・・いや、大人未満の心の様を如実に時として痛ましいほどリアルに書き出してきたミステリ作家・辻村がこの夏始めてホラーを手がけた。学校、学生、誰もが身近にある環境を舞台とし、誰もが知っているであろう学校の怪談話を土台に、辻村らしいミステリも散りばめられたなかなか好スタートのホラー短編集だ。 ...続きを見る

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2009/08/29 09:42
『隣之怪 病の間』  by 木原浩勝  (幽BOOKS)
全篇語りの怪談実話シリーズ第3弾。 多少の長短やジャンルのばらつきはあるものの、「小説」というフィクション・お話を読むことの多い私にとって、ノンフィクションや実話・体験談などを手に取ることは少ない。ましてや言い張るもの、信じるものにとってだけ「ノンフィクション」であるオカルト本や怪奇現象や体験談を扱った「実録」モノは人に進められでもしなければまず読むことはない。 そんなわけであまり気が進まずに手に取った本書だが、思いもよらぬオモシロさとコワサにいつの間にか引き込まれてしまった・・・そう、... ...続きを見る

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2009/08/24 08:47
『鬼の跫音』 by 道尾秀介
時には心理的な、時には民俗的な長編ミステリーで人気を集めてきた道尾氏の初の短編集である。 ミステリと言えばミステリかもしれない、ホラーといえばホラーかもしれない。 どの章も日常がズルズルと猟奇的な事件に発展し、正気を保っていた彼らはいつの間にか己の中の狂気に飲み込まれ、やがて作品全体が読者を恐怖で震撼させる。 ...続きを見る

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2009/08/15 23:23
『ムーンレディの記憶』 by E.L. カニグズバーグ
夏、フロリダ州のスクールに転校してきた少年アメディオは同スクールの少年ウィリアムと知り合う。彼の母は家財処分屋であり、アメディオとウィリアムは今回の仕事先、近所の大邸宅に一人で住む老女ゼンダーさんの引越しと家財処分を手伝うことになるのだが、このゼンダーさんがなかなかの変わり者。かつては財産も夫もオペラ歌手としての地位名声も持っていたアイーダ・リリー・タルは今や荒れた邸宅に住む世間ズレした孤独な老婆に過ぎず、近所の悪評を避けるため高齢者向共同住宅?に移り住むことになったのだ。 個性豊かな... ...続きを見る

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2009/08/08 21:07
『生き屏風』 by 田辺青蛙
日本ホラー小説大賞受賞作というからどんな恐ろしい作品かと思えば、ホラーのホの字も無いなんとものどかな作風である。 作風、だけではない。文章だけでもない。 時代は江戸かそこらだろうか?流れる時間の緩やかさ、妖たちの悠々自適な生き方、人間たちののんびりした立ち振る舞いと彼らの間に交わされる愛嬌ある会話。そして時折私たちをひきつけて止まない素朴で魅力的な料理の数々・・・ 『しゃばけ』シリーズのように笑いや事件があるわけでも、魅力溢れるキャラが登場するのでもない。夢のような桃源郷や地獄のよ... ...続きを見る

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2009/08/04 12:39
『悼む人』 by 天童荒太
悼む人と呼ばれる男がいる。彼は訪れ得る限りの日本全国の地を旅して廻り、全国不特定多数の「亡くなった場所」を訪れ、個人の縁者に「彼(彼女)が誰を愛し、誰に愛され、どう感謝されたか」をたずねて周るという。 名前は坂筑静人。彼が訪れる先々ではときに感謝され、歓迎され、時に偽善者とののしられ、拒絶され、しかし彼はただただ静かに流れる川のごとく静かに淡々と死者の生きていた証を心に刻み悼む旅を続ける。 彼はなぜこのような旅を続けるのか? 彼をただ死者を悼むだけの無謀な旅に駆り立てたのはなんだったのか... ...続きを見る

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2009/07/27 13:01
『夏の水の半漁人』 by 前田司郎
おそらくこれを読む人は「大人」だろう。何をもって大人と子供の間に線引きをするかはまあ、置いておいて。少なくとも11歳の誕生日を迎えた少年・魚彦、小学高学年程度の子供は普通手に取らないだろう。だから書いている著者は勿論、読む側である読者も大人のものである・・・が、しかし描かれている世界は、私たちがかつて子供の頃見ていた不思議と未知と不安と想像に溢れていた。 ...続きを見る

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2009/07/21 12:51
『神々の誕生〜易・五行と日本の神々』 by 吉野裕子
日本人は宗教心が薄いという。だからというわけではないが五行だの易だのというと「?」と首を傾げてしまう人が多いだろう。けれどちょっと言い方を変えて十二支とか節分だとか、お彼岸だの冬至だのと言えば合点がいく。 また子丑寅・・・などと書くと読めない理解できない人はいるかもしれないが声に出して「鼠牛虎・・・」などと書けばなんだ、干支のことか私は○年〜と話がスムースだ。日本で動物の名で言い習わされているこの干支が、実は中国からの輸入思想でありそもそもは植物、すなわち穀物の盛衰が当てはまっていたと... ...続きを見る

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2009/07/10 13:07
『学校で愛するということ』 by 中森明夫
冒頭で「僕」が語りかけてくるように、学校というのは誰もが必ず、あたり前のように通い青春時代を過ごす場所である。ご飯を食べるように日常的に、家族のように身近に、洋服のように楽しみだったり面倒くさかったり、得意だったり苦手だったり好きだったり嫌いだったり・・・。きっとそこに通った人の数だけ学校というイメージは存在し、人の数だけ出会いがあるのだ、当然「学校は○○するところ」と限定することは出来ない。 ただ本書を読んで、一つだけ解ったことがある。大人となって自立していく前の少年少女に学生という... ...続きを見る

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2009/07/06 12:59
『さよなら、そしてこんにちは』 by 荻原浩
人生、生きていればいいことも悪いことも半分半分、いやもしかしたら良いことなんて嫌なことのさらに半分もないのかもしれない。世の中には数えきれないほどの職業があり、一生縁がない職種がほとんどで、このせわしい世の中、自分のことで手一杯になっている私たちは、人それぞれに苦労があるように職種それぞれにも独特の苦労があるということを忘れがちだ。 どんな人だって喜怒哀楽をもち、どんな人生にも哀愁湛えるドラマがある。 これはそんな彼らの、もしかしたら私たち読者のうちの一人を描いた人生劇場、ほんのワン... ...続きを見る

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2009/06/30 12:34
『さよなら渓谷』 by 吉田修一
今、新しく裁判員制度が導入され「人を人が裁くことは出来るか?」という疑問が投げかけられている。それはつまり人に罰を与えることが出来るのか?罪を償わせることが出来るのか?・・・ひいては加害者が被害者に謝罪し償うことで罪は赦されるものなのか?ということである。 人は生きていれば多かれ少なかれ罪を犯す。時には人生を狂わすほどの犯罪も。 時にはその罪を隠し、忘れ、怯え、嘆き、怒る。人の数だけ罪が生まれその種類も重さも千差万別だろうが、しかしその罪に対して、償いと許しと忘れることと、憎み続けること... ...続きを見る

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2009/06/23 11:52
『ティモレオン―センチメンタル・ジャーニー』 by ダン・ローズ
センチメンタルジャーニー、感傷的な旅。確かにとても感傷的で抒情的で、切なく哀しいいくつかの人生が脇役として描かれているがそれらはけっして本書表題の名をもつ犬、ティモレオンのものではない。 少なくともどの物語も犬の、彼の目線から語られることはない。幸せになるも不幸になるもすべてそれらは彼の立ち寄った先で展開されていた人間たちのもの。美しい目をもつ雑種犬・ティモレオンは、最も愛した最良の飼い主コウクロフトに遠地に捨てられ、ひたすら彼のもとに戻ろうと旅路を急いでいただけであり、描かれるいくつ... ...続きを見る

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2009/06/16 12:13
『セレモニー黒真珠』 by 宮木あやこ
昨年アカデミー賞を受賞した映画『おくりびと』は死体を棺に納めるまでの支度をする納棺士を描いたニューマンドラマ。そして今ドラマでも現実でも話題になっているのが婚活。冠婚総裁とひとくくりにされてしまうこの正反対の人生における二つの一大イベントだが、ブームになりもてはやされるのは結婚だけである。それはそうだ、婚活しろとは言えても葬活・・・死ねとは言えない。(そんなことを言ったら自殺をしろ、安楽死をしろといっているようなもんだ。) ...続きを見る

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2009/05/29 15:00
『プシュケの涙』 by 柴村 仁 (電撃文庫) (文庫)
高2の夏休み、むせ返るような教室で榎戸川が何気なく眺めた窓を、一人の女子が通過した・・・。 彼女の名前は彼方(かなた)。学校で女子生徒が4階から飛び降り自殺し、唯一ソレを目撃した榎戸川と友人・旭の前に見知らぬ男子生徒・由良が現れ根掘り葉掘り事件の真相を問い詰める。 キレイな顔立ちのくせ「変人」の異名をとる由良は自殺のはずはないと主張し揺さぶりをかけてくるが、事の真相は明らかにするにはひどく残酷でそっけないものだった。 文化祭の準備でにぎわう学校。受験に交友関係にと鬱々とした日々を過... ...続きを見る

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2009/05/25 10:53
『ミノタウロス』 by 佐藤亜紀
ロシア文学、しかも大河ものとくるとどうしてもしり込みしがちな日本人。というのもその多くが翻訳であり、ロシア文学=『罪と罰』のように長ったらしく小難しく、陰鬱で生や死を扱った重たいもの、というイメージがあるからだ。 ...続きを見る

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2009/05/19 11:26
『紙魚家崩壊』 by 北村薫
タイトルのなんだかおどろおどろしい雰囲気とは裏腹に、中身はなんとも軽いタッチのこじゃれたミステリー短編集である。 軽い、といっても決してチンケな安っぽい作品というわけではない。 全体を通していえること、それはどれもどこかが「崩壊」しているということ。そう、このタイトルのように、表紙の家のようにありえない形でありえないものが現実にありえるギリギリのところで崩壊している。 ...続きを見る

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2009/05/15 13:02
『太陽の坐る場所』 by 辻村深月
偶然だけれど、私と著者とは同年当月、1980年2月生まれだ。本書を手に取ったのも28歳、著者とも登場する「彼女たち」とも同じ年だった。だからというわけではないけれど、とてもリアルタイムに、親近感を持って・・・いや、生々しく彼女たちの痛々しさが感じられる。 出席番号22.1.27.2.17.の女子と「太陽」と、28歳となって同窓会を迎えている彼女たちと、彼女たちを取り巻く男たちの思いと過去とが交錯して物語は進行する。各章ごとに割り当てられた出席番号の「彼女」の視点から語られる物語は同じ物... ...続きを見る

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2009/05/08 13:40
『1/2の神話』 by 初野晴
「彼と経験した、受難と、智恵の戦いと、自己犠牲の物語・・・」 と、ヒロインが序章を締めくくってこの物語は始まる。つまり読者はヒロイン・マドカと彼女のナイト・サファイア、いうなればお姫様と王子様が結ばれてハッピーエンド・・・にはならないという悲劇を最初に提示される。これは残酷だ。 さらにいえば、受難、智恵、自己犠牲、これらを切り抜け辛酸を舐め、どうにかしてようやく生きているマイノリティ(少数派)が社会的弱者としてこの格差社会には確かに存在し、彼らの耐え切れぬほどの不満や苦悩は時に以上犯罪という... ...続きを見る

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2009/04/28 12:57
『Jの総て』 by 中村明日美子
これは「J」という一人の人間を描いた物語、まさしく彼、そして彼女の総てを描いた物語だ。 男として生きるにはあまりに美しく、女としてはあまりに過酷な悲劇をはいずるようにして生きたJという人間の総て。それは幸せな一家に訪れた悲劇的事件に端を発する。 ...続きを見る

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2009/04/20 12:35
『茗荷谷の猫』 by 木内 昇
本郷、染井、巣鴨、茗荷谷・・・東京の下町を舞台に江戸時代から昭和まで100年余りの土地の記憶と言えばよいのだろうか。 そこに生まれた者、移り住んだ者、その生涯を全うした者・・・描かれる物語はどれもどこか物悲しく、不思議と奇妙な雰囲気と、ほんの少しのホラーが漂っているが、それは近くて遠い近世〜近現代という微妙な時代の雰囲気そのものであるように平成を生きる私には感じられる。 歴史の教科書や考古学、いわゆる「骨」になった物語ではないのだ。まだ腐り果てた肉がこびりつき、朧げに人の形を保った死... ...続きを見る

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2009/04/15 12:37
『カフェ・コッペリア』 by 菅浩江
人間とAI、いわゆる人口頭脳を搭載したロボットとの関係を、情感豊かに優しく、悲しく、切なく綴った物語を数多く生み出してきたSF作家、菅浩江による7つの短編集。 ...続きを見る

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2009/04/06 12:40
『ガーゴイル 転生する炎の愛』 by アンドリュー・デイビッドソン
あらすじ 現世を享楽的に生きる主人公が自動車事故に遭い、病院に運び込まれる。重度の火傷に絶望し、死を決意した男だったが、そこに中世ドイツで彼と恋人どうしだったと称する女が現われる。彼女、マリアーネ・エンゲルは男の快復に力を貸しながら、日ごと夜ごとに語る。異なる時代、異なる国に生まれ変わっては繰り返される男と女の壮絶な愛の物語を―。久遠の愛―それは不死鳥のように、火の試練を経て、より確かによみがえる。700年の歴史など、この愛の物語の前では色あせたタペストリーのようなもの。愛し合いながら... ...続きを見る

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2009/03/30 08:41
『大人のための怪奇掌篇』 by 倉橋由美子
1985年2月に新潮社から刊行された『倉橋由美子の怪奇掌篇』の改訂版が本書『大人のための怪奇掌篇』。 旧仮名づかいは新仮名づかいに改められ、語り口調も時代もシーンも私たちのそれとさほど変わらない。そのくせ描かれる物語はうそ臭く、妄想めいていてともすれば狂人の夢ではないかと思わせるような恐ろしさを含んでいて読者は目を離せなくなる。 ...続きを見る

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2009/03/19 12:15
『泥(こひ)ぞつもりて』 by 宮木あや子
清和天皇、陽成天皇(貞明)、宇多天皇という三代にわたる御世を縦糸に、そして彼らを取り巻く摂政、関白、女御更衣をはじめ数多の人間たちの歴史と想いを横糸に、律令制の崩れかけた平安王朝の天上人たちの繰り広げるドラマを描いた中篇集である。 時代物を描くにはやはり専門的な知識を使いこなすことが必定であり、愛憎豊かに人の恋を描くことに長けている宮木氏にとってその点はやはり未熟さを拭いきれない。どこが、というのではなく全体にまず現代じみているということ。どこかその辺にいる現代っ子の恋愛ドラマ、現代の昼ド... ...続きを見る

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2009/03/16 08:42
『犯罪小説家』 by 雫井脩介
恋愛小説といったら恋愛(ラブストーリー)を、歴史小説といったら歴史をテーマに扱った小説。 推理(ミステリー)小説といったらなんらかの事件とその解決までをを描くもの謎解きを描いた小説。 怪奇・ホラー小説は奇妙な、恐ろしいホラーな出来事を題材にしたものを指す。 ...続きを見る

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2009/03/12 09:03
『バクマン』 by 大場 つぐみ (著), 小畑 健 (イラスト)
漫画、アニメ大国であるこの日本において漫画家になりたいと願う少年少女は数多い。そしてそう夢を抱いた若い芽が、画力を磨きストーリーを練り周囲の反対を押し切って漫画家になるまでのサクセスストーリーを描いた作品は過去にもいくつかある。 簡単にあらすじを述べれば本書「バクマン」もその一環に収まってしまうかもしれない…が、決定的に違う点が一つある。 歴代の漫画道マンガが「ありそうな話」であればある程読者の心を捕え共感と希望を膨らませてくれるのに対し、この漫画はその逆から始まるのだ。 ...続きを見る

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2009/03/07 20:11
『Re-born はじまりの一歩』 アンソロジー(伊坂幸太郎他)
何か一つのテーマにそって数人の著作をより集めたもの、アンソロジー。 本書は題名の通り、「はじまりの一歩」につながる物語。 本書の著者は瀬尾まいこ、豊島ミホ、中島京子、平山瑞穂、福田栄一、宮下奈都、そして伊坂幸太郎の短編集で構成されていて、そのどれもが爽やかに軽妙に、短編らしい軽いノリで楽しむことが出来る出来である。 なによりこの顔ぶれ。非常に美味しい、お得な一冊であるとオススメしたい。 「はじまり」があるということは当然、終わりがあるということだ。それは人生と同じ、生まれたから... ...続きを見る

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2009/02/27 12:40
『萌えの死角』 by 今市子
言わずと知れたBL(ボーイズラブ)漫画家の大先生、今市子によるエッセイ漫画にのせた萌え解読本・・・いや、萌えた腐女子視点による文芸解説書というべきか。 今市子氏が代弁する肥えた腐女子の目に掛かればかの名作も大作も、名著も著名人もすべて世界はボーイズラブで埋め尽くされた美味しい世界に塗り替えられる! 「ベン・ハー」「白鳥の湖」「こころ」「蟹工船」・・・誰もが知る数々の名作にこんなに美味しいシーンが、話題が、裏話が合ったなんて!と、まさに目からウロコものである。 ここでは細かいネタバレはす... ...続きを見る

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2009/02/23 12:08
『帰らざる夏』 by 加賀乙彦
戦争で死んでいった人々の悲劇や壮絶な生、無残な死や貧困と苦痛を描いた作品は多い。 あの大戦前後を描いたものを戦争モノと呼ぶならば、私の戦争モノデビューは『はだしのゲン』であり、最近だと『出口のない海』映画でいえば『私は貝になりたい』といったところ。当然のことだけれど戦争はしてはならない、あってはならないことだ。 なぜなら人が死ぬから、人が悲しむから。単純明快なことだけれど果たしてそうだろうか?少なくとも当時を生きた彼らにとって死は崇高な着地点であり、国へ天皇へ命を捧げ奉るという最上級... ...続きを見る

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2009/02/16 09:29
腐女子に捧ぐ 『帰らざる夏』 by 加賀乙彦
著者には大変申し訳ない書評を一つ。これはあくまで脳みそ腐りきった腐女子の視点で見た感想文でございます。 人間葉動物だ。だから、極限状態に追い込まれるとなりふりかまわず本能にしたがって行動する。 特にそれが生死に関わることであればなおのこと、子孫を残すこと、生きること、ようするに「生」に執着し希求する本能を第一に、その欲にしたがって純粋に動くものだ。 歴史上、例えば戦国時代における明日もわからぬ戦地においてであるとか、そうした戦地に女っ気が全くない状態であるとか、女人禁制の寺社・修道... ...続きを見る

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2009/02/09 09:26
『東京バンドワゴン シー・ラブズ・ユー』 by 小路幸也
クリスマスから正月をまたぎ、せわしく動く世の中だがさらに輪をかけて賑やかに沸き立つのは堀田家構える東京の老舗古書店・「東京バンドワゴン」。 今回はその古書店に併設するカフェの名とその由来、そして苦い過去が明らかになる。その反面、結婚・出産というめでたきメンバー増加もありまさに盆と正月が一緒に来た(ちょっと違う?)大賑わいだ。 ...続きを見る

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2009/02/04 13:03
『モダンタイムス』 伊坂幸太郎
ああ、すごいとやはり思う。繰り返されるフレーズ、どこかで見たような(読んだような)掛け合い、耳に(目に)したことのある言葉とシーン。「あれ?さっきも確かこんなシーンが・・・」と思うようなデジャヴをところどころに感じ、何度も何度も同じようなフレーズやシーンが繰り返される。そして気づくのだ。ああ、この既視感、等身大のタイムリーな感覚こそが伊坂作品に共通する引き込みの魔力、臨揚感なのだと。 「どこかで・・・したことある表現」は作品の中に登場したモノであるにもかかわらず、いつしかリアルな己の体... ...続きを見る

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2009/01/30 09:16
『大統領たちのアメリカ : 指導者たちの現代史』 by 宮本倫好 (丸善ライブラリー)
“原爆投下決定”“東西冷戦”“キューバ危機”“ベトナム戦争”“ドル金兌換停止”“中東和平問題”“米ソ軍縮交渉”“湾岸戦争”など、トルーマンからクリントンにいたる歴代のアメリカ大統領たちは、どのような時代背景の中で、どのような課題に直面し、どのような決断を下してきたか。 本書では、世界の運命に直結する判断を求められることさえ珍しくなく、そのリーダーシップに全人類的英知がしばしば要請されたアメリカ大統領の姿をテーマに、現代史の流れを辿ってゆく。(新書マップ・風より) ...続きを見る

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2009/01/26 16:21
『草祭』 by 恒川光太郎
デヴュー作『夜市』以来その独特な雰囲気で異界をかいま見せる危い現実を描き続け、「恒川ワールド」とされる恒川光太郎氏の新作である。 『雷の〜』で少し肩透かしを食った気がしたものだが、今回の『草祭』は今までの2作以上に「怖い」要素が加わって、デビュー当時の恒川氏らしい(と私は思っている)世界が広がっている。 ...続きを見る

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2009/01/22 13:07
『東京バンドワゴン』 by 小路幸也
『サザエさん』が『男はつらいよ』風になって、彼らにミステリーを展開させたらこんな感じ・・・かもしれない。 明治から続く由緒正しき古本屋その名も『東京バンドワゴン』。そこには笑いあり涙ありのどたばた悲喜劇がくり広げられ、なんとも個性豊かな面子を揃えた大家族が店を切り盛りしている。 伝説のロックシンガーは愛(LOVE)を語り、他界した祖母は未だこの世で彼らを温かく見守り、子供たちと孫たちとその家族たちはサザエさん顔負けの賑やかな毎日を盛り立て・・・世代も感覚も性格も皆が皆、いい味を出していて... ...続きを見る

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2009/01/16 12:55
『ファミリーポートレイト』 by 桜庭一樹
あけましておめでとうございます・・・というのは喪中のため大きな声では言えないのですが、 2009年度、bk1で記念すべき?年明け第一回目の「bk1・今週のオススメ書評」にめでたく選ばれました♪ しばらくご無沙汰だったので嬉しいというかほっとしたというか(苦笑) でも私の愛する作家・桜庭氏の新刊の書評が取り上げられて、それは本当に嬉しいです。 ブログ用に書いたものを推敲かつ短くしたものをbk1様に投稿しているので多少ダブるところがあるかと思いますが 推敲前、読了直後の感想文だとと思っ... ...続きを見る

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2009/01/10 21:32
『さくら』 by 西加奈子
文章は解りやすくて読みやすい。会話しているように単純でひとなつっこいほどなじんでしまうちっとも気取らない文体だ。 少なくて単純な語彙、何気ない普通の家庭が大半を占める一冊の本。だけどこの中には沢山の心、喜びも悲しみも、切なさも苦しみも全てぎゅうぎゅうに詰まっている。そう、ぎゅうぎゅうに。 何事にも全力で真っ直ぐ体当たりして生きてきた彼ら兄妹と、温かく見守る父母と、いつだってその一家の幸せ象徴するように大安売りして振りまいていた一匹の犬・さくらの、(少し恥ずかしいけれど)愛にあふれてどうし... ...続きを見る

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2009/01/08 08:57
『群青』 by 宮木あや子
妖艶かつ哀切ない愛憎溢れた物語を女の視点から描き続けてきた宮木あや子氏だが、本作は女と男の視点が半々といったところだろうか。また限られた時間の中で収めなければならない映画の脚本が原点になっているせいかもしれない、目まぐるしくupテンポに話は進み、感情の動きを納得させるだけの余裕がなく、いつもの情緒豊かな宮木氏らしい作品とはいえない。 ...続きを見る

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2008/12/27 11:38
『完全恋愛』 by 牧薩次
他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ では他者にその存在さえ知られない恋は 完全恋愛と呼ばれるべきか? ...続きを見る

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2008/12/23 14:39
『予知夢』 by 東野圭吾
今やドラマにも映画にもなりすっかり有名になった物理学科助教授、探偵ガリレオ、湯川学。ガリレオというよりは本シリーズにおける役割としてシャーロックホームズと呼ぶ方がしっくりくる。そして証明するのは旧友の刑事、草薙の持ち込むオカルト的な事件、しかもその問題にもならないようなちょっとした不思議である。 ...続きを見る

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2008/12/19 13:12
『ロードムービー』 by 辻村深月
子供は大人の思っているほど子供ではない。 そんな言葉は今やありふれているし、もちろんそれは一理ある。いや、大いにあることだと思う。 ただ子供を一人の人間として扱うべきだとか、人権・人格の尊重だとか、そういう見方を「してあげられる理解のある大人」とやらがやたら増えていく中で、当の子供はそれについていっているだろうか?と読了後にしみじみ感じてしまった。 子供はいつだって背伸びをしたがる。大人の期待に応え、周りに褒められることに必死になる、自分の弱みを見せずに窮屈そうに平気を装う子供たち・・... ...続きを見る

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2008/12/12 13:53
『美女と竹林』 by 森見登美彦
こんなにヘンテコでおもしろくて奇抜な文章を書くのはどんな作家だろう? それが森見登美彦作品の第一印象だった。彼の生み出す子供たち(著作)を読んでは毎回奇妙奇天烈な展開とそのストーリーに呆れ、感嘆し、読めば読むほど親の顔が見てみたいと思っていたのだ。 そして本書にて、ついにその全貌・・・いや、片鱗か?が明かされた!かもしれない(笑) ...続きを見る

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2008/12/01 09:55
『荒野』 by桜庭一樹
日記でも何でも、こうして文章に自分の気持ちを一度書き起こして読み返すとき、奇妙な違和感をかんじることはないだろうか?これほど伝えたいことがあるのに、あんなに沢山の気持ちと色々な『私』が混在しているのに、言葉にするとなんとあっけない、たった数えるほどにしかならないのだと、少しがっかりしたような安心するような寂しいような気持ちになる。 きっと女という生き物そのものが、そうなのだと本書にて思い知る。 ...続きを見る

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2008/11/25 12:56
『静かな爆弾』 by 吉田修一
今、手を伸ばせばたいていのものも情報も手に入る便利かつ平和ボケした日本という島国で、私たちは色々なものをそぎ落として日常に埋もれている。それは感動だったり、アクションだったり、ドキドキだったり、悲しみ、辛さだったり・・・様々だ。 自分のことですら忘れがちなのだ、海を隔てた世界の出来事、いや県外、もしかしたらお隣の身近な他人の事情すら我関せずを決め込んで、当たり障りのない平凡な日常をそつなくこなすことに私たちは充足してしまっている。 所詮、他人事(ヒトゴト)なのだと知っている、思い込んでい... ...続きを見る

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2008/11/17 09:09
『メメント』 by 森達也
メメントモリとメメント森・・・何の駄洒落だ?と思いつつ手に取った森達也の新刊。 中身は「死」にまつわるエッセイ(随筆)集、日々生活の中で、仕事の中で顔を出す死について意識的に取り上げたいくつもの場面を羅列した感が強い。 森氏の飼ってきた犬たちの死が随所に登場し、タイなど海外への取材や映画祭でのふとした出来事、日常的な些細な事件、伊坂幸太郎氏とのメール・・・時も場所も選ばないコラム集のような構成だが、死はどこにでも存在し、遅かれ早かれ必ず訪れる不可避の事実。これでよいのかもしれない。 た... ...続きを見る

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2008/11/14 11:55
『ラン』 by 森絵都
フルマラソン42.195km。本書を読み終え閉じた私の前に、折も折、08年北京オリンピックの女子マラソンがTVの画面に繰り広げられていた。 故障により途中棄権した彼女の苦しい顔、悔しげな態度、彼女を支えるサポーターも目に涙を浮かべ、彼女の応援者、親族、誰もが悲痛な表情を浮かべている。 小中高とまともに5kmも完走したためしが無い私にとって40kmもの長距離をただひたすら走り続けるアスリートたちの精神力もその心も計り知れない世界である。 彼も彼女も。一体何に向かって、何のために走るのか... ...続きを見る

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2008/11/10 09:38
『非正規レジスタンス―IWGP8』 by 石田衣良
IWGP第八弾。すっかり定番化した石田氏の長期ヒット作だが、その中身は相変わらず・・・いや、本当に変わらずいい味出している。かっこいいとかおもしろいとか、小気味いいとかいくらでも言いようはあるけれど、これだけ長期にわたるシリーズモノでこれほど質の衰えないものも珍しい。 ...続きを見る

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2008/11/07 08:59
『別冊 図書館戦争U』 by 有川浩
いやもう、いまさら説明もあらすじもイラン、何も言うことはないでしょう。 私が一番好きなサブキャラ二人がメインですから〜!!  どっちも頑なで頑固で意地っ張りで、しかもそれを自覚してない(笑)  そのくせ淋しがりで、それでもやっぱり見栄っ張りだから無理に立ち回って平気な顔して、自分一人で背負い込んじゃう。 根っこのところは人一倍淋しがりな癖に、やたらそんな処世術を身に着けてるもんだから平気じゃないのに平気な顔をする。 ...続きを見る

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2008/10/31 09:07
『おそろし 三島屋変調百物語事始』 by 宮部みゆき
袋物屋として名の知れるようになった江戸は神田の三島屋。 主・伊兵衛と妻・お民のもとに姪に当たる17の娘・おちかが行儀見習いをかねた奉公に上がった。が、おちかには「人」というもの全てが恐ろしく、人を避け外界との交わりを拒み、そうさせるだけの暗く痛ましい過去に捕らわれていた。 ところが伊兵衛の計らいで「黒白の間」があてがわれ、訪れる客の不可思議な物語をきくはめになる。彼らの語る物語はまさに百物語、それも聞き手であるおちか自身が背負う過去と同じ、愛憎半ばする、あまりに愛するが故に犯してしまった... ...続きを見る

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2008/10/27 11:52
『幽談』 by 京極夏彦
これは単なる怪談話でも、京極氏にお馴染みの妖怪モノでも、ましてや思想や哲学じみた話でもない。 いや、そのどれもに当てはまるということなのか。 8つの恐ろしくも興味深い短編からなっているが、そのどれもがただ1つのこだわり、つまり此方と彼方、此岸と彼岸、生と死のどちらに「私」が属しているか、という恐ろしく単純で最も証明しがたいこの事象に終始する。 長編で知られる京極氏による短編集、新境地と思われがちだがきっとそれは文字の多さの違いでしかなく、一貫して行き着く先は「わけのわからないもの」への... ...続きを見る

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2008/10/20 09:42
『あなたの呼吸が止まるまで』 by 島本理生
赤字後援でも舞踏家一筋に生きた父と暮らす12歳の娘、朔。母親はそんな仕事=舞踏バカの父に呆れ果て娘を置いて家を出た母親の影を、朔はどこか幻想を追うように夢うつつに時折思い出す。 12歳と言えば第二次性徴期の始まった頃、小学生から中学生へ、男の子女の子から男子女子へ、 様々な心と体と環境の変化に自分自身のことで手一杯で、何につけても不安定な過渡期だ。 好きな男の子ができて、特に女子にはグループや女王様とその取り巻きが生まれ、それらどこにも属さない異分子はつまはじきにされて孤立する。 ... ...続きを見る

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2008/10/15 13:12
『婚礼、葬礼、その他』 by 津村 記久子
実は私は最初、冠婚葬祭に関する民族学モノの読み物かな、と思って手に取ったのだ。ところが読んでびっくり、学術的な ことは一切なく、書いてあるのは日常に程近い、誰もが経験するちょっとした非日常。大きく期待を裏切ってくれた。 しかし読んで後、後悔はしていない。 とかく技巧やトリック、文学的な善し悪しを評価の基準としてしまいがちな今日この頃だが、本作はそういったきらいが一切無い。 ...続きを見る

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2008/10/10 12:19
『いっちばん』 by 畠中恵
おなじみのしゃばけシリーズもとうとう第七弾。ラッキ-7いうことでこの度も元気な彼らがあっちらこっちら騒いでます 前作でjは幼馴染の親友や実の兄が傍を遠くはなれ自立していったり、いつくしんだ桜姫とのあっという間に過ぎ去った日々・・・など、別れというか、おいていかれる悲しみのような話題が多かっただけに今回はどうなることやらと心配していた読者は多いのではなかろうか? もしやこのまま兄やたちとも別れ次は最終回か!?などと私なんぞは予想していたのだけれども、うれしいことに期待を裏切っての続刊... ...続きを見る

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2008/10/07 10:09
『花がふってくる』 by 崎谷はるひ
今市子さんの美しい表紙につられて衝動買いした私がいうのもなんだが・・・表紙に負けず劣らずなかなか読ませてくれた。 描かれるのはどこまでもだらしなく子供っぽさとあどけなさが残る居候主人公・秋祐と、同い年で従兄弟でありながら正反対に大人びて自立している同居人・涼嗣。 子供の頃からひそかに恋焦がれ続けた涼嗣に結婚話があがるところからこのドラマは始まる。 ...続きを見る

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2008/09/29 15:27
『ブラック・ジャック・キッド』 by 久保寺 健彦
一人の特異な少年の、「普通」との葛藤と自分自身の成長を描いた物語・・・とかくとあまりにも端的過ぎるかもしれない。 が、『みなさん、さようなら』に引き続いてこの手の話が著者・久保寺氏の得意とするところなのだろう。 少年の頃のまっすぐで意固地で何かに異常なこだわりを見せる純粋さを忘れている人間は、多い。私も、貴方も、彼も彼女も。 この世界で人であるということは社会的共同体に属し常識と一定の規制とルールの中で、協調性を持って生きなければならない、と言うことである。 大人になると同時に、人と出... ...続きを見る

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2008/09/24 15:08
『閉鎖病棟』 by 帚木 蓬生
臭いものに蓋、という便利な言葉が日本には、ある。コレが比較的密閉されてきた歴史を持つ島国特有の知恵なのか、君子危きに近寄らず・・・という逃げ腰の民族性なのか、その辺りは論議するつもりは無いが、海の向こうの戦争も、地球の裏側で続く飢餓も、ブラウン管を通して(いや、今はネットか)見る映像に顔をしかめ、安全な此方側で、身内仲間、同意見の内々で好き勝手な口上を垂れるこの集団心理は、日本に限ったことではなく人間の「保身」と言う名の本能なのかもしれない。 異質なもの、制御できぬもの、理解不能なもの... ...続きを見る

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2008/09/16 17:16
『ヘルマフロディテの体温』 by 小島てるみ
ナポリという名は誰もが知る有名な地でありながら、その歴史も町並みも今そこに生きる人々さえも、観光案内にのっているうわべでしか私たちは知らない。陽気な街、活気のある観光地・・・。しかしどうだろう? 本書の舞台「ナポリ」は明らかに私たちの知るあのイタリアの有名な港町ナポリであるはずなのに、どこか異郷の地を匂わせ中世のファンタジックな雰囲気を醸し出している。 登場するのは性転換をして女として生きる道を選んだ男だった者たち、フェミニエロ。更に生まれながら半隠半陽雌であるヘルマアフロディテ。彼... ...続きを見る

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2008/09/08 08:43
『虚夢』 by 薬丸岳
虚夢・・・事実に合わぬ夢、実際には起こらないことの夢(岩波「広辞苑」) そもそも「夢」自体アンチリアルであり現実でも事実でもないが、夢にも色々とあるからややこしい。 1つは寝てみる夢、もう1つはまだ見ぬ未来に思いをはせる願望の夢。そしてもう1つ、起こった現在や過去に直面して「夢のようだ」とか「悪夢だ・・・」と嘆いたりする際に使う夢だ。これは正反対の意味合いを持ちながらも「まるで(悪)夢のようだ」という比喩的表現であることには変わりないだろう。 さて、寝てみる夢にも実際に起こりうる内容の... ...続きを見る

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2008/09/01 15:02
『コペルニクスの呼吸』 by 中村明日美子
これは堕落した一人の魂がやがて昇華されるまでを描いた救済の物語だろうか? それとも人は己でしかありえないのだという、孤独の叫びであろうか? いや、その両方か? ...続きを見る

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2008/08/26 09:20
『夜明けの街で』 by 東野圭吾
不倫の話・・・なんてのには今まで興味も無かったし読む必要も感じなかった。 本書の主人公・渡辺も、相手である女性・秋葉も、またほとんど多くの人間がそうに違いない・・・と願いたい(笑) が、本の些細な出来事、ちょっとしたきっかけで人の心は遊びだし、滑り出したらとまらない滑走路は何かにぶつかりクラッシュするまで加速する。 「出逢ってしまった」「本気だったら仕方ない」 そんな慰めの言葉を言い訳に彼はどんどん深みにはまっていく、そのあまりに幼稚で単純であっけない様は小説的には物足りないが、... ...続きを見る

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2008/08/25 09:43
『雨の塔』 by 宮木あや子
世間から隔絶された女学校に「捨てられたお嬢様」である4人の淡く切ない恋物語・・・などと書くのは野暮だろう。 確かに少女と言う存在そのものが、まだ確立された存在になりきれていない未成熟なモノというキャラである限り、本書に全体を通して流れる空気はどこか儚げで不安定で薄弱である。しかしここに渦巻いているものはそんなにかわいいものでは、けっしてない。 手に入らないものへの執着、手に入れてた者への嫉妬、手に入れたいという切望と手に入らぬ己のもどかしさ。 彼女らは何かに、誰かに出逢うたびに感化... ...続きを見る

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2008/08/18 08:57
『キャラクターズ』 by 東浩紀&桜坂洋
この書評は書き難い。しかも書きおいておいた書評のメモを捨ててしまったから読み返す気・・・というか精神力も残っていないのでくそ真面目に長い書評は他の読者に任せることにした(笑) ...続きを見る

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2008/08/12 10:45
『償い』 by 矢口敦子
私は女流作家を卑下するつもりもないし、男性による仕事が女性に勝るとも思っていないし男女による差別などもってのほかだと思っているから、次の言葉を勘違いしないで聴いてほしい。 矢口敦子という作家の作品は、良くも悪くも女流作家らしい文体と構造で成り立っている。 女流作家らしい、というのはあくまでも世間一般に考えられやすいイメージを仮に当てて言わせてもらう。 つまり、情緒・主観などと理性・客観の比率において男性のそれよりも女性のほうが前者に重きを置きすぎる傾向がある、ということだ。 恋愛... ...続きを見る

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2008/08/05 08:21
『寄留者』 by 岸田剛
「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢である」 星の王子様でおなじみサン=テグジュペリの名文だからご存知の方も多いだろう。(『人間の土地』より) 人間にとって最も大きな出会いの一つは紛れもなく生涯の伴侶となる異性、つまり妻・夫とよぶ人物である。 その伴侶とともに人生の半分以上をすごし、おそらく多くの人間はどちらかがどちらかを看取り、どちらかは子供達に看取られその幕を閉じる・・・つまりは家族の中に生まれ、家族の中に死にゆくのがごく普通である。いや、あったはずだ。 というのは本書... ...続きを見る

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2008/07/28 09:38
『遊郭のはなし』 by長島槇子
最近の花魁ブームには目を見張るものがある。 メディア的には映画『さくらん』のヒットで大ブレークしたかに見えるこの花魁ブームだが、活字界ではもう少し前からひしひしとこの波は高くなってきていたかと思う。 直木賞受賞作である松井今朝子『吉原手引草』はいうまでもないが、宮木あや子がデビュー作にしてなかなかのヒットを飛ばした『花宵道中』も見逃せない。 ...続きを見る

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2008/07/24 08:39
『ベッドタイムアイズ』 by 山田詠美
私はこれほどいともたやすく恋に落ち、愛におぼれ、それが全てとなった物語を知らない。 たった一瞬交わされたアイズ(視線)で始まりながら、あっという間に先の見えない深海・・・いや泥沼へと溺れるように深みにはまりゆく二人の愛は、切ないとか悲しいとかやるせないとか、そんな言葉では言い表せない。狂気と呼ぶには美しく、純粋と呼ぶにはあまりにも混ざり合ってしまった二つの魂が、私には狂おしくも妬ましいほどのマーブル模様に見えるのだ。 ...続きを見る

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2008/07/14 08:44
『鬼神の狂乱』 by 坂東眞砂子
人が狂うということと、鬼が、神が狂うと言うことはどのようなことなのだろうか。 人としてのソレは一過性の症状であり個人的な問題として判断されるが、神が狂うとなると話が違ってくる。 集団による狂乱は時に暴動と呼ばれ世直しと呼ばれ、歴史的にその規模によって一揆とされたり革命と位置づけられたりするが、突如勃発した予測不能の・・・本書のような狂乱は神や鬼のせいにされたりもする。 ...続きを見る

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2008/07/08 13:04
『流星の絆』 by 東野圭吾
東野作品にはいつも思うのだが、ミステリーのカテゴリにおいてある本でも、決してミステリーと思って読んでは失望する。 失望とまで言ったら失礼だろうが、格別練ってある仕掛けがあるわけでも、猟奇的な殺人や奇抜な観点があるわけでもない。いわゆる「驚くべき」と言う展開ではなく、読者が多分こうなるであろうと予想するいくつかの結末のひとつに辿り着く。 しかしだからこそどこか懐かしく、わかりやすく、共感してしまいやすいのかもしれない・・・作中の人物に真正の悪人はおらず、誰も彼もがやむをえない事情を抱え... ...続きを見る

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2008/06/30 16:15
『ロマンティック・ストーリーズ』 by 今市子・アイザックアシモフ他(アンソロ)
ロマンティック・ストーリーズ (Little Selectionsあなたのための小さな物語) ...続きを見る

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2008/06/26 10:50
『赤×ピンク (ファミ通文庫)』 by 桜庭一樹
桜庭一樹は少女の代弁者である、というのがどこか定着している。けして少女だけを扱ってきたわけでもなく、本策も登場するのはgirlというよりはlady・・・恋愛も友情も肉親も、下層から上層まで幅広く舞台に構える桜庭作品、それでもなお少女の視点が失われないのは、女そのものが純粋に危うく揺れる少女という幻想を持ち続ける生き物だからかもしれない。 少女は憧れ焦がれる生きた結晶だ。 簡単に壊れ容易く揺れ動き、すんなり憧れた色に染まってしまう、大人に憧れつつ全力で拒否する矛盾そのもの。 それでも... ...続きを見る

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2008/06/23 09:41
『ラットマン』 by 道尾秀介
事実はひとつだが、人の数だけ真実は存在する。ミステリ、ことに法廷モノではお決まりの格言になっているこの言葉が本作品では改めて思い知らされた。 オプティカルイリュージョン、という美術用語をご存知だろうか。(見方によっては老婆にも防止をかぶった婦人にも見えるあの代表的な絵を思い浮かべる人は多いかと思う。) 人が「見る」ということは、目から入ってきたモノを脳で感知し時に都合のよい情報として処理されたものとなる。自己防衛、保身、バランス保持・・・脳は我が身を「あってはならないものから」守るべく... ...続きを見る

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2008/06/18 14:28
『みなさん、さようなら』 by 久保寺健彦
「ひきこもり」という病気がある。いまさら説明するまでも無い、その病気は知っている、そう思っている人がほとんどだろう。 病名を与えて可愛そうと哀れむことも非社会的と非難することも、外側にいる多数派からすれば簡単だ。 外の世界からいわゆる「一般常識」の生活価値基準でもって彼らを見たとき、彼ら「ひきこもり」は狭い閉塞社会の中に生きる井の中の蛙とされる。未だ未開の地に住む少数民族を物珍しい生き物を見るような目で見、どこかあざけり哀れむ。 人は前人未踏の地と知に興味を持って踏み込むことで進化し、... ...続きを見る

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2008/06/13 12:44
『Every Breath』 by 瀬名秀明
永遠の命、永久の世界、終わりの無い物語・・・私たち有限の世界に生きる人間がどれほど進化しようと文明化しようと唯一どうにもならないのが時間的制限、リミットである。 不老長寿に不老不死・・・永遠というものに憧れ永遠の愛を誓う物語が数多く生まれたが、それらは常にどこか夢物語という現実が付きまとう。どれほどのハッピーエンドでも読者が有限の世界の住人である限り、時空的意味では「彼ら」の永遠の愛は理想と憧れの産物であると知っているからだ。だからこそ人は死をもって有限の内の永遠を証明し、死によって始... ...続きを見る

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2008/06/09 23:45
『PAPUWA〜最終回』 by 柴田亜美
『南国少年パプワくん』が始まったのは私がまだ中学の頃。 まだドラクエ4コマ漫画の画風が健在な初期の柴田亜美の「パプワくん」。ひたすら笑えて少しシュールで型破りの面白さとえぐいほどの切捨て感がたまらない、とにかく他にはない笑いを与えてくれたすごい漫画だった。 イトウ君にタンゴ君をはじめとするウネウネした不気味でキュート(笑)なナマモノたち。 お約束の戦闘モノで因縁やら地球全体のことやらにまで最後にはたどり着くとんでもない展開。 一言で言えば、言葉で説明できない舞台であり展開で、「ど... ...続きを見る

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2008/05/31 11:23
『月の扉』 by 石持浅海
登校拒否など問題を抱えた子供達を預かり数日キャンプで共に過ごすだけで、学校に・・・社会に戻って行けるだけの強さを身につけさせることが出来る、カリスマ的存在、「師匠」と呼ばれる男がいた。 彼の名は石嶺。ごく普通のおじさんであり、子供達を矯正するでも、金を巻き上げるでもなく、宗教団体ですらない無欲な彼は、「その日」に月への扉を開けあちらの世界へ『飛ぶ』・・・のだという。 しかし直前、師匠は不当逮捕され彼を崇拝するもとキャンプ参加者達は意外な行動をとる。 ハイジャックでもって人質をとり、... ...続きを見る

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2008/05/27 13:49
『5年3組リョウタ組』 by 石田衣良
5年3組。事実5年3組だった私にとって、懐かしい響きだが、不思議と浮かぶのは友達の顔、親姉妹の若かりし頃、教室に校庭に泣いたり笑ったりの他愛もないことばかりで、「先生」という存在がすっぽり抜け落ちている。 薄情と思われるかもしれないが、どうにか顔と名前は思い出せるものの、ぶん殴られた思い出がひとつ(それもどうかと思うが;;)、それのみで楽しかったことも悲しかったことも・・・ほとんど、ない。 ...続きを見る

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2008/05/23 09:05
『深泥丘奇談』 by 綾辻行人
祖父江慎の装丁がすばらしくそれだけでも買った価値がある、といったら著者に失礼だろか。しかしそれほど面白く趣向に凝った装丁であり、著者の醸し出す不可思議でビミョーにずれた、ドロリとする世界を装丁が補完して余りある。 いつの間にか入り込んでしまった「らしい」、どこからどこまでが現実なのかわからなくなるゆらゆらとした世界が主人公の前に広がる。ミステリー作家である綾辻氏自身を投影させているのは言うまでも無いが、京極氏の人気振りをチラと劇中劇のように登場させるなどファンサービスもあり、そんな遊び心す... ...続きを見る

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2008/05/20 10:50
『白蝶花』 by 宮木あや子
デビュー作『花宵道中』で見事に花魁の妖艶かつ哀しき人生を描いた宮木あや子。宮木氏が今回描いたのは太平洋戦争を挟んで生き抜いた女たちの半生である。 ...続きを見る

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2008/05/16 10:31
『鬼のすべて』 by 鯨統一郎
『邪馬台国はどこですか?』で有名になった鯨氏・・・彼は歴史的ミステリー作家として類まれなる成功を収めていることは周知のとおり。 頭の固い学者が何人そろっても思いも付かないような、奇天烈な発想、珍妙なな着眼点、斬新な切り口。 鯨氏の手にかかれば人類学であろうが民俗学であろうが歴史学であろうが、あらゆる文化にみたこともない「色」がつく。 だから今回もかなり期待して読み始めた。なにしろ私の好きな『鬼』がテーマだ。民俗学の大御所ではないか!鬼のすべてをたったこれだけの文章で、しかもミステリーとい... ...続きを見る

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2008/05/12 10:45
『書物狩人』 by 赤城毅
帯に合った言葉はあおりでもなくデフォルメでもなく、真実だった。 古本者が生まれ変わるとしたら、誰もが書物狩人(ルシャスール)と答えるに違いない。 そしてこの題名に惹かれて本書を手に取ったものの多くはかなりの本の虫であると思う。 もちろん私もご多分に漏れず、だが。 ...続きを見る

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2008/05/06 13:02
『別冊 図書館戦争1』 by 有川浩
待ちに待っていた図書館戦争シリーズ・恋愛編(笑) 恋愛変と書きたくなるくらい色恋沙汰が似合わない、山猿女と熊男のバカップル・・・どんなにぎこちなくなっているやら、と心配していたが蓋を開けてみたらとんでもないことになっていた。 何がとんでもないって、もう、甘アマあま〜い恋人同士をしっかり暴露しているんだから! ...続きを見る

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2008/05/02 13:12
『失われた愛を求めて―吉井和哉自伝』 by 吉井和也
こんな本を読んでいるならさぞイエモン(イエローモンキー)に詳しいロック好きなんだろう、と思われるかもしれないが、実は殆ど知らない(笑)なにしろ曲は聴いたことはあっても、多分それがイエモンの歌だとか、吉井和哉の曲だとか認識して聞いたことは一度も無いからだ。 ロックの分野に好きなバンドが少ない私だが、まあ、縁あってこの本を読むことになった。 ...続きを見る

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2008/04/29 21:27
『死刑-人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』 by 森達也 (1)
日本人というのは・・・というまとめ方をするのを、私は好きではない。だが人間は集団生活を営むり社会的生物である以上、日本という国・社会の中で日本という特徴に多大な影響を受け「日本人」が形成されているのは否めない。だからいわゆる日本人の大多数に当てはまる平均的な人間、という意味で便宜的に「日本人というのは」で始まることを許されたい。 ...続きを見る

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2008/04/21 12:19
『迷宮のファンタンゴ』 by 海野碧
前作『水上のパッサカリア』の続編らしいが、こちらから読んだ私でもすんなり読めた。 『水上の〜』が賞もとっているし評価も高いらしかったので期待していたのだが、少し期待はずれか。 ...続きを見る

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2008/04/16 12:40
『アイの物語』 by 山本弘
唐突に始まる「ロボットに支配された」世界。人間の世紀末直前、つまり読者である私が今いる人類の本・・・物語に興味をもつ少年。 被支配者が歴史の深層を知ろうと試みる際、そうしたものはたいていの物語では異端者・反社会適応者として祭り上げられ、制裁を与えられる。 この場合、支配者=ロボットが被支配者=人間をそうするのが本当のところだが・・・このロボット、アイビスが語りだす物語は人間にとってまやかしでもなく、不都合のあるものでもなかった。ただただ真実・・・否、正しい物語だ。 彼女の語る6つの真実... ...続きを見る

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2008/04/11 12:46
『夜を守る』 by 石田衣良
『IWGP』でおなじみの作者、石田氏が描く物語は東京への愛情があふれている。 ご自身がインタビューなどでも答えているように、著者は都会生まれであり、都会がふるさと、の人である。 「東京には空がない」という名詩を連想する今日の東京だが、石田氏が今回描いたのは東京の夜。 空なんぞあろうとなかろうと関係ない。そこにあるのは人と人との出会いと別れ、事件の起こりと展開と終結、そしてつながりだ。 なんのことはないごくフツーの都内在住の青年(?)3人に一人のいわゆる障害保持者が加わって、4人のガー... ...続きを見る

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2008/04/05 17:57
『サイゴン・タンゴ・カフェ』 by 中山可穂
世間での中山可穂の評価というのは、レズビアンであることを公言し、そうした内容の激しい愛憎半ばする物語を描く、鮮烈かつ稀代の作家である・・・というところだろう。 その評価は間違ってはいないのだろうし、売れている人気作家である(と私は思っている)点を除けば、本編の表題作に登場するレズビアン作家・穂積とおそらく酷似している、少なくとも自分を多分に投影していることは想像に難くない。 前作『ケッヘル』で女同士の激しい愛憎の物語から一転した・・・まぁ言ってみれば極めてフツーの読者向けの物語を紡ぎ... ...続きを見る

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2008/04/01 12:53
『凍える島』 by 近藤史恵
趣向に凝った作品、謎解きが難しいミステリー、血沸き肉踊るようなハードボイルド・・・ ふつう、作品にはその著者の得意とする分野だったり手法だったりがウリで出される。 この作品に関して言えば、アガサクリスティーの名著、『そして誰もいなくなった』 を下敷きにしているのは誰の目にも明らかである。 だったらやはり密室殺人、孤島殺人といったお決まりのパターンにのっとって、 殺人ミステリーを王道を行くのかとおもいきや、そうではなかった。 ...続きを見る

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2008/03/27 16:58
『名残り火〜てのひらの闇U』 by 藤原伊織
改めて、日本におけるハードボイルドかつミステリー界は掛け替えのない重鎮を失ったのだと思い知らされる。ココ1年読んできた現行作家によるミステリーがつまらないわけではない。若い作家の新しい作品を読み、時には涙し時には笑い、様々な才能溢れる作品を読み、彼ら素晴らしい新しい世代に期待しないわけがない。  しかし。 故・藤原氏は、ちがうのだ。 なんという美しい文体だろう。なんと見事な文体、綿密な素材、魅力的な男達、そして全体に突き抜けるような一筋の意思。 改めて感服させられる。 ...続きを見る

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2008/03/08 01:38
一人暮らし&書評の鉄人列伝UP!
というわけで、一人暮らしをはじめました。 いやもう、東京の物価の高いこと、安売りの無いこと・・・ しかも下町・・・何より悲しいのは本屋も古本屋も無いこと。 あるはあっても小さいし、遠い。 これからはネットで買うことが殆どだろうなぁ・・・と思ったら 会社があるから郵便も難しい・・・(苦) ...続きを見る

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2008/03/02 21:34
『有頂天家族』 by 森見登美彦
時は今舞台は京都、活躍するは落ちこぼれ狸四兄弟にそれを取り巻く性悪狸に鴉天狗に人間に・・・。鴉天狗の強力な力と美貌をもった半人間・弁天は唯我独尊縦横無尽に三男狸・矢三郎とかつての大天狗にして師である赤玉先生を翻弄し、年末狸鍋を開催して狸界を脅かす。 理想ばかり追う堅物の長男、父の死を境にすべて投げやりになり蛙に化けたきり戻れなくなった二男、どうにもバカな立ち回りばかりする三男、臆病で何にも出来ない四男。 彼ら狸四兄弟を取り巻く問題は、色恋沙汰であり、一族の権力争いであり、喧嘩ごとであり・・・... ...続きを見る

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2008/02/24 20:00
『L change the WorLd』 by M
映画『デスノート』を素直に評価できる人には十分楽しめるのではないだろうか。 原作とは違い半分オリジナルストーリーで美味しいトコ取りで?短くまとめたあの映画「デスノート」。 原作を無理矢理縮めてうすっぺらい作品になるよりはよほどよく出来た映画だ、と私は評価している。 その映画のラストの後、Lがキラを滅ぼし自らもあと23日でデスノートにより死ぬ、それまでのもう一つの事件と解決がこの作品の縦糸。 そして横糸となるのは、その史上最高の唯一無二の名探偵として孤高の人生を歩んできた「L」の孤独の... ...続きを見る

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2008/02/20 00:21
『阪急電車』 by 有川浩
『図書館戦争』シリーズが完結したと思ったら今度はベタなラブラブものっすかっ!? と叫びたくなるくらいベタなストーリーと登場人物たちが沢山登場する本書。しかし不思議と使いまわされたような感はなくどれもこれも面白い。なにしろこんなに速く読み終えちゃってもったいない!と思ったほどだ。 もともと私は読むのは早い方だが、それにしても(それこそ特急で)読んでしまった・・・それは話が面白く描かれているものが解りやすく読みやすい。加えて「どうせ最後はこうなるんでしょ?」と途中から予想がついてしまい、... ...続きを見る

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2008/02/15 02:08
『L change the world』を読むにあたって・・・デスノートと死神
どうにも昨今、死神ブームだ。いわゆる大鎌を持って黒装束に包んだ骸骨が忍び寄る・・・といったありふれたイメージはどこにも無く、変わりに奇抜だったり人間じみていたり「良い奴」であったりするからもうなんでもあり。  病気、寿命、戦争、テロ、飢え・・・かつて突然いやおう無く絶命する機会がいくらでもあった人間にとってその絶対的な死の狩人は「神」というだけの地位と畏怖を持って怖れられていたはずである。 たとえそれがファンタジーに過ぎないとは知っていたにしても、彼らはそれを神と呼び、人間とは隔絶したも... ...続きを見る

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2008/02/11 02:11
『東京奇譚集』 by 村上春樹
東京に住む「普通」の人間達の、普通でないものに出くわしてしまったちょっと不思議な短編集。 最初の村上氏自身の体験談でもある「偶然の旅人」にも述べられている・・・ 「偶然の一致と言うのは実はとてもありふれた現象なんじゃないだろうか。でもその大半は僕らの目に留まることなくそのまま見過ごされてしまう。しかし僕らの方に強く求める気持ちがあれば、僕らの視界の中に一つのメッセージとして浮かんでくる」・・・ この文に、この五つの物語すべてが集約されている気がする。つまりどれも偶然だったり突然だったり... ...続きを見る

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2008/02/06 00:27
『ラットレース』 by 方波見大志
青春ファンタジーとでもいうのだろうか?出てくるのは自称妖精の40代禿親父、高校生の主人公、とその憧れのクールビューティーな先輩?片里奈。彼女の部屋の床から半透明の禿親父が生えてきたことから事件は始まる・・・なんともユニークというか、人を食った始まり方だが印象は強烈。 こんな不可思議なことがあってどうしてこんなに淡々と現実視してるんだ!?って思うだろうが、それはこの話の種明かしに繋がるので最後には納得がいくだろう。 ...続きを見る

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2008/02/05 00:02
『月の子』 by 石月正広
飢え、貧困、口減らし、間引き、夜這い、人身御供・・・かつては暗黙のうち当たり前のこととして行われていたココに描かれた史実を、現代を生きる私達はあまりに知らない。 言葉やその意味を知識として得ることは出来る。さも気の毒そうに同情することも、愚かしいと嘆くことも、眉をひそめて非難することも簡単だ。 多くの作品が残酷物語さながらにドラマチックな展開をすべく、「現代人の感性で解釈した」メロドラマに仕あげられる。つまり今現在の日本人の感情尺度で事件を捉えるため、「実際に私の身にこのようなことが起こ... ...続きを見る

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2008/02/01 01:04
『秋の牢獄』 by 恒川光太郎
何度本屋でこの本の表紙を見かけても、「私の牢獄」に見えてしまう。まだ読んでもいないうちからひどい誤解だった・・・といいたいところだが、あながち間違いでもない、と思う。 3編からなっており主人公も時も場所もまったく違う。なのにどれも「とらわれたもの」達の物語であるということに変わりは無い。 ...続きを見る

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2008/01/25 00:29
『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』 by 森達也
森達也といえばオウムでおなじみ(笑)の「A」。 彼の選ぶ題材、取り上げる現象、そしてその作品からして、さぞや念入りな調査と詳細な裏づけをとり、物事を判断し、物事の深層を追及する人物なのだろう・・・と思っていた。 しかし、そんな印象を良い意味でも悪い意味でも払拭してくれる作品が、本書である。 ...続きを見る

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2008/01/25 00:25
『図書館革命』 by 有川浩
とうとうこの図書館シリーズも最終巻。長かった・・・があっという間だった。 (と同時に、書くだけ書いてUPするのがかなりかなり遅くなってしまった・・・) 「サスケ」をやらせても絶対新記録を出すであろうような闘う図書館隊員たち。 彼らの突っ走りっぷりとラブロマンス(笑)と、戦闘シーンと逃亡と・・・ちょっとした精神的人権問題もはいっている、そして何より面白どころ満載のすべての出来事が一人の猿女・・・もとい、図書隊員・郁のまっすぐな暴走に振り回されていく。 ドキドキワクワク・・・などという子... ...続きを見る

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2008/01/20 23:38
『新釈 走れメロス 他四篇』 by 森見登美彦
かつてこれほど名作と謳われる作品を罪深いほどに愛し愚弄し生まれ変わらせた作家がいただろうか?新解釈なんて生易しいものではない、「メロス」の言葉をかりればまさに ...続きを見る

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2008/01/16 20:31
『ゴールデン・スランバー』 by 伊坂幸太郎
魔王の再来だ。・・・って書くとなんかの危ない小説化ファンタジーかって思われてしまう;; 小説『魔王』を初めて読んだ時、伊坂幸太郎はこういう政治的なものも書くんだな、意外。って思ったものだ。 それまではあまり政治色の強いものも、反社会的なもの?も書かれていなかった氏の作品群には、ちょっと変わった人間や、世界や能力の持ち主達は現れこそすれ、どこか架想の世界じみていたりコメディだったりして「遊び」があった。笑いがあった。 が、『魔王』で一気に反社会的とも言えるような(無論そういうつもりのさ... ...続きを見る

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2008/01/12 00:04
『ちんぷんかん』 by 畠中恵
このシリーズもいよいよ大詰めって感じだ。きっと次回は最終回・・・そんな気がする終わり方。 病弱ゆえに大事に過保護に育てられた、回船問屋の若旦那、一太郎。彼は大妖怪である祖母の血を引いているため妖を見、話すことだけはできるが何の力も無い非力な「人間」だ。個性豊かな鳴家や小鬼、やたら甘やかす保護者役の妖怪、兄やたち。彼らのユニークな助けを借りて、平和な江戸で起こるちょっとした事件を解決して成長していく一太郎の微笑ましいシリーズ。 ...続きを見る

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2008/01/06 00:43
『しゃべれどもしゃべれども』 by 佐藤 多佳子
口から生まれた女の子だよ、お前は。  そう親から何度となくあきられた私がこの本に共感したのはわけがある。 ...続きを見る

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2008/01/01 08:20
『ソロモンの犬』 by 道尾秀介
最初は京極氏のモノマネか?と思って読んでいた著者だが、回を重ねるごとに確実に独自のフィールドを築いているなと思う。 もしかしたら著者自身は民俗モノをやりたいのかもしれないが、(たしかにそれはそれで良く出来ているものがおおいのだが)こうした現代モノの、若者が主人公となるミステリーがあっていると感じる。 それは著者自身がまだ年齢的に若いからということもある。だからこそ、大人になりきってしまわないうちに若々しく青臭く、どこか青春めいたものを今のうちに書き綴っておいて欲しいというのが私のひそ... ...続きを見る

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2007/12/28 01:13
『水の中の犬』 by 木内一裕
長い人生諦めが肝心だ。 って言ったのはどこのドイツだ!? この作品を読んだらそんなことはいえなくなるはず。 ...続きを見る

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2007/12/24 02:26
『ブラック・ペアン』 by 海堂尊
最近医療ミステリーに凝っている。 往往にして金の亡者や地位や名誉に普請して医者本来の姿を忘れたお偉方が「悪役」となったり、日本の医療システムの不出来を問題視したり嘆いたりする暴露本が多いこの分野。 どうしたって内容は暗くなるし、その多くは被害者・・・つまり医療ミスやや隠蔽、泣き寝入りする見捨てられた弱者がことの発端となって、時には訴訟すら起こして悲劇のドラマを繰り広げる。 ちょうど『白い巨塔』や『医龍』『ブラックジャックによろしく』のように、だ。 ところが本書にはそれが無い。 舞台は有名... ...続きを見る

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2007/12/21 03:02
『月に吠えろ!―萩原朔太郎の事件簿』 by 鯨統一郎
萩原朔太郎と室生犀星がホームズとワトソン君として探偵ごっこを繰り広げるもしもシリーズのような短編集。いつもながら鯨氏の自由奔放な発想とその展開には驚かされる。 著者の手にかかれば歴史的事実もへったくれもない。 捻じ曲げることなく合理的に、しかしとんでもない回り道を経て新解釈・・・というかパラレルワールドを楽しませてくれる。デビュー作『邪馬台国はどこですか?』からほぼ一貫して言えることは、著者の作品はどれ一つとして歴史をひん曲げるものが無い、ということだ。 つまり式と答えはあっているのに... ...続きを見る

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2007/12/18 00:25
『もののたはむれ』 by 松浦寿輝
この一冊に、少し昔の東京の、なんということはないほんのひと時をたはむれる如く切り取られている。なんの事件がおきるわけでもないただ平凡に過ぎ行く日々の中でほんのひと時、ほんのひとかけら、異質なもの・出来事が紛れ込む。 それは若かりし頃の昔日への思いが思い起こさせる光であったり、突然途絶えてしまういきつての喪失であったり、ようやく動き出した時間の鼓動であったり・・・ それらはきっと、本人にしか見えぬもの感じられぬものであるに違いない、いや、本人にすらそれを認識できていないのかもしれない。... ...続きを見る

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2007/12/13 01:24
『風の歌、星の口笛』 by 村崎 友
この物語はSFでありミステリーでありラブストーリーである。 そして主人公達が掛け替えのないものを失っていく・・・いや、ちがう。 掛け替えのない大切なモノを失ってしまっていたことに気がついていく物語、といった方が正しい。 場所も時間もズレた3つの物語が平行して語られ、読み手としては当然どこかで繋がるだろうと予想はするものの、その「順序」がなかなかつかめないところにミステリー要素がある。 ...続きを見る

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2007/12/08 01:23
『パレード』 by 吉田修一
これほどリアルな若者を描いた小説を、私は知らない。18歳から28歳までの男3人と女2人の2LDK共同生活者たちがそれぞれ一章ずつ、自分とそこにいる彼らを冷静に見つめ告白していく構成をとっている。年表化何かにまとめてみれば一目でわかってしまうようなほんの1年にも満たないこのアパートでの日々。友達とも恋人とも、ただの同居人とも家族とも言い切れないあいまいな関係で彼らはそれぞれの人生をもって生きている。 ...続きを見る

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2007/12/04 01:39
『戦う司書と恋する爆弾』 by 山形石雄
ちょっと詳しい人なら「残留思念」なんてコトバを聞いたことがあるだろう。 その名の通り、人の強い思いがその場その物に残り留まることだ。そして多くSFやオカルト・ホラーやファンタジーの世界では、その思念の主がその場に居らずともメッセージを伝達できるための手段であったり、怨みつらみを強く抱きつつその場で死んだ主のダイイングメッセージであったりとその場その時にあわせて作中で使い分けられていく。 またいっぽう「記憶のカケラ」なんてロマンチック?な言い方もする。そもそも記憶なんていうのは形にすること... ...続きを見る

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2007/11/29 02:09
『世界の涯まで犬たちと』 byアーサー・ブラッドフォード 小川 隆 (翻訳)
正直言うと、書評なんてものをこの本に対してどう書いたものか、と悩んでしまった。 構成やストーリーや雰囲気は日本の作家・長野まゆみと似ていて幻想的というか、少し非現実的というか、寝耳に水的な短編小説群なのだが、長野の描写されたような美しく細やかな演出は無く、唐突に始まり唐突に終わるので余韻を味わうヒマすらない。 それでもこの短い作品たちが好ましいと感じられるのは、彼らが必死に日常を守ろうとし、その中で懸命に生きていることが何とはなしに伝わってくるからであろう。 それがどうした?といい... ...続きを見る

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2007/11/24 00:17
『賢治文学「呪い」の構造』 by 山下聖美
近頃私の中では宮沢賢治が熱い。今さら?とお思いだろうが世間でもてはやされている物には抵抗を覚える天邪鬼なこの性格が、幸か不幸か宮沢賢治を遠ざけていた。最近読んだ『隕石誘拐』by鯨統一郎と『銀河鉄道の夜』のアニメ映画を詳細に分析したBSアニメ夜話が私の宮賢ブーム到来の火付け役となった。 あまり作品と著者が結びつかない物覚えの悪い私にとって、宮賢作品は殆ど読んでいないはずだった。なにせ風邪の又三郎も未読。『セロ弾きのゴーシュ』『注文の多い料理店』『ヨダカの星』『永訣の朝』くらいだと思っていた・... ...続きを見る

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2007/11/19 00:38
『私の男』 by 桜庭一樹
世の中にはどうにもならないことが、ある。才能とか、体格とか、男だとか女だとかそんなことではない、決して変えることができないこと。<過去>である。 そしてこの世に生を受けて最初に<過去>となるのは「誰某のモトに生まれついた」という事実。 そうして生まれついた親はたいてい無償の愛を子に注ぎ、子は無条件に共存し続ける存在=親を得る。しかし本書のように幼くして突然事故で家族を無くす娘や、海に呑まれて父を失いその身代わりのように異常なほど厳格な教育を母に受け「母親」を失ってしまう青年がまれにいる。... ...続きを見る

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2007/11/15 21:13
『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』
実は私は「こち亀」をまともに読んだことがない。私がジャンプを毎週読んでいたのは中学生〜高校生初期、その頃の女子って言うのはたいてビジュアルから入る。あの時代は幽遊白書やスラムダンクで賑わっていたジャンプ最盛期、ドラゴンボールはまた別格として、こち亀のようなカッコよくない主人公の活躍するバカっぽいお笑い漫画には興味が無かったのである。 勿論そういった感想は、今は、無い。 男は顔(外見)じゃない、心(中身)だ。 そんな当たり前のことが骨身にしみ出してきたのも最近のこと。読む本の量も漫画と同じ... ...続きを見る

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2007/11/12 20:34
「カットアウト」・・・『パズル崩壊』 よりby 法月綸太郎
まだアクションペイントなどのモダンアートの評価が希薄であったかつての日本画壇に、若き日の篠田と桐生はいた。巨匠ポロックにかぶき、共にしのぎを削りあい、賞賛もするライバルであり親友でもあった彼らに一人の愛する女性・聡子を加えた「NY帰りの三銃士」・・・そうした彼ら新進気鋭の若者たちの関係が破滅する時とはどんな時だろう? そう、たいていは三角関係のもつれか才能の有無もしくはその差による裏切りや乖離である。 けれど、この物語はそんな安っぽい三文オペラではない。確かに最初の綻びは篠田のフライングで... ...続きを見る

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2007/11/07 20:57
『百物語の怪談史』 by 東雅夫
百物語・・・真夏の暑い夜、涼をとるため肝試しや怪談話をするというのは今も昔も同じこと。暑くなれば涼をとり、平淡な日常<ケ>が続けばマイナスの<ハレ>を求めて、そうして百物語会は開かれる。 ホラー映画や猟奇小説といった類がいつの時代にも人気を維持し、常に新しい更なる・・・より一層の恐怖を人間はもとめ、特に文学や演劇、美術といった芸術においては特に顕著である。人は何に恐怖し、なぜ恐怖し、何がその恐ろしさに拍車をかけるのか? 百物語について言えばそれほど「恐ろしさ」が倍増していくという感じ... ...続きを見る

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2007/11/04 00:32
『パズル崩壊―WHODUNIT SURVIVAL』 by 法月綸太郎
私は著者の作品を今まで1作品『生首にきいてみろ』しか読んだことが無い。だから聞いた話やあとがき・解説などから推察するところも多いのだが、この作品は著者自身のライフワークである「ミステリー作家」の投影であり、読者への訴えであり、はまらなかった・・・「崩壊したパズル」の確認であるのはあきらかであろう。 著者の本格推理小説の多くは、著者自身と同名の探偵役:法月綸太郎を主人公にしている。 しかし本書の1、2話目「重ねてふたつ」「懐中電灯」では葛城という刑事がその役を務め、しかしながら軽く浅く、面... ...続きを見る

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2007/10/31 01:03
『破裂』 by 久坂部羊
少子高齢化社会のこの日本で連日ニュースになっているのは年金問題と介護問題であり、いずれも社会・文明の名のもと不自然に進化した生態をもつ人間の宿命である。 一部例外を除き多くの国家が福祉問題に頭を抱え、この日本では「若肉老食」と揶揄されるほどに高齢化社会という重石がのしかかっている。この現状に年金や福祉のありようを政治に問質す世論は多いが誰も「高齢化社会をなくそう」というものはない。それは何故か?それは即ち寿命を縮める・・・本書の佐久間の言を借りれば老人は「PPP=ピンピンポックリ」死ぬこと... ...続きを見る

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2007/10/27 22:03
『無痛』 by 久坂部羊
患者を『観る』ことで症状ひいては助かるか否かまで解る天才的医師が2人。為頼は町医者で先が見えてしまう己の能力を最悪の医者と言い、白石は大病院のtopで最大限に利用し現在の医療に風穴を開けようとしていた。医療の資本主義化を促そうとする白石と、その下に控える先天的無痛症=「痛み」の概念を持たずその上、犯因症(生まれながら犯罪の可能性を持った性)をも持つ男イバラ。モト夫の病的ストーカーとそれに悩まされる臨床医・菜見子。そして彼女の精神障害児童施設の患者である境界型人格障害の少女が、一家惨殺事件... ...続きを見る

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2007/10/24 00:38
『QED~flumen~九段坂の春』 by 高田崇史
九段坂の春 北鎌倉の夏 浅草寺の秋 那智瀧の冬 と春夏秋冬に章が分かれており、各章が独立しているようで薄く広く繋がっているオムニバス形式?のシリーズ番外編。 といっても本編を殆ど読んだことがない私にとって、『毒草師』に登場した御名形くらいしか知らないのだが。そんな初読みの私でも十分楽しめる作品だった。 すべての章を通じていえるのは恋とその破局とだ。 ...続きを見る

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2007/10/20 00:36
『隕石誘拐―宮沢賢治の迷宮』 by 鯨統一郎
鯨さんって、初期はこんなにミステリーが下手だったんだ・・・って思うような展開と謎賭けっぷりだったけれど、それでも面白いと思うのは鯨氏のユーモアのセンスと着眼点、そして研究熱心な姿勢の賜物だろう。 ...続きを見る

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2007/10/16 01:43
『ダーティ・ワーク』 by 絲山秋子
私は短編集、特にオムニバスのような作品が好きだ。いくつもの人間が登場し、それぞれの人間がそれぞれの章で主人公(核)となり、彼らの目・立場から見た一つの時間が一冊の本の中で共有される。 ちょうどそれはこの世の中の構成の縮図だ。人の数だけ物語りは生まれ消えてをくり返し、そうしてこの世界は人口に比例して膨張したり縮小したりしているのだから。 ...続きを見る

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2007/10/13 10:48
『T.R.Y.』 by 井上尚登
外国、とくに中国や韓国にあって日本にないもの、それは革命であり移民の軋轢であり植民地化(被征服)されたという屈辱的歴史である。  明治維新のような「改革」はあっても「ひっくりかえる」ことはなく、第二次世界大戦の敗戦でアメリカにより「保護国」とされその支配下に置かれたわずか短い歴史はあってもその中に虐殺があったわけではない。日本人人種自体が移民との混血人種であっても、明らかに姿かたちが違う異質さを持った異邦人がこの国の1割の上を行ったことすら一度もない。 ...続きを見る

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2007/10/10 00:13
『妖怪の理妖怪の檻』 by 京極夏彦
いつも思うことなのだが、京極氏は生きた妖怪を観察し共に戯れる作家だ。 京極氏は作家であって学者ではない、だから好きなように(とはいえ学者ばりに丹念な材料と調理法を併せ持っているのだが)思うところを豊かに著している。民俗学者ではこうはいくまい。学者はその対象を調査しデータを統計するために、研究対象の「動かぬ死体」を解剖するのが不可欠だ。学問は動かぬ証拠を寄せ集め、動かぬ結論・解答を求め続けるモノだからである。 しかし京極氏をはじめ作家・物書きはどうか。彼らの書き著す対象はいつでも「今、生き... ...続きを見る

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2007/10/06 21:28
『猫鳴り』 by 沼田まほかる
我が家にはペットが絶えたことが無い。今までに飼ったことがあるのは犬が2匹とインコが2匹、兎が3匹と・・・ウーパールーパーが一匹(笑)グッピーや金魚やメダカや蚕・・・勿論同時期に買っていたことは殆ど無くいわゆるとっかえひっかえだったのだが、猫は常に私の家にいた。だから猫というものがどんなものなのか、人よりはわかっているつもりだ。 本書に登場する猫「モン」は やっと授かった子供を死産してしまった夫婦の間にある日ひょっこり現れて、捨てても捨てても戻って来、とうとういついてしまった仔猫である。... ...続きを見る

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2007/10/03 00:23
『晩夏に捧ぐ』 by 大崎梢
『配達あかずきん』で一気に人気を飛ばし、とうとう2巻・・・シリーズ化することになった、いや、なっていたとは知らなかった。 古本屋で見つけて思わず衝動買いしてしまったが、なんとも微妙な読了・感想を持った。 相変わらずミステリーとしては物凄い仕掛けがあるわけでもなく、推理させるものでも意表をつくものでもなく、正直あまり「優秀な」作品ではなかった。佳作、といったところか。 この人は短編やショートで一話完結シリーズモノを書いていたほうがいいのではないか? あれだけ『配達あかずきん』が面白... ...続きを見る

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2007/09/29 01:09
『ゴシックハート』 by 高原英理
ゴスロリ、ロリータ、エログロナンセンス、そのあたりを一緒くたにして退ける人間が残念ながら多い昨今。これほど懸命にゴシック万歳を客観的かつ主観的に、噛み砕いて唱えた人はいないのではなかろうか。無論こうした分野の専門家による「研究所」や「論文」は別である。彼らは文化や精神論、ひいては宗教や哲学に結びつけてひたすら対象を微分積分、分析し、それがいかに世界に蔓延したか、どのような影響を及ぼしたかを声高に「発表」するのみである。 もちろんそうした論議や地道な研究とその成果が無駄であるとは思わない。そ... ...続きを見る

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2007/09/26 00:43
『宣戦布告』 by 麻生幾
まず思ったこと。日本人というのは自虐的なことほど雄弁に語る。隣の国でもその又隣の大陸でも愛国心に燃え民族自決を訴え、自国民の自国における同胞と国のための戦争や革命を経験している。それはヨーロッパにおいてもしかり。アメリカにおいてすら(語弊があるかもしれないが)奴隷達の地位獲得・・・シビルウォーという歴史がある。 日本には革命も植民地化したことも、無い。戦後アメリカの保護に入ったにしても、けしてアメリカ人が人口の比率を脅かすにすら至らなかったのだから。 ...続きを見る

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2007/09/23 01:12
『水の時間』 by 初野晴
臓器移植の問題を取り上げた作品は多い。記憶に新しいもので『新ブラックジャックによろしく』 by斉藤秀峰、こちらでは医者の卵の主人公と、彼の医者仲間?であり肝臓を患っている女性の移植問題をあつかっている。(肝臓の移植を切望している章の主人公が、田舎の両親に頼れない事情など、面白いくらいに酷似しているのは偶然だろうか・・・まあ、言うまい) 臓器提供・移植問題。日本という平和で優秀(な医者と設備)で生活基準も安定しているこの国で、どうにも出来ない病気がいまだある。新薬の投入、臓器移植、新設... ...続きを見る

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2007/09/18 22:15
『パライゾの寺』 by 坂東眞砂子
土佐を舞台に明治維新から太平洋戦争直後までの、「歴史に名を残すことのない者たち」の物語。その中の表題作『パライゾの寺』のみを読む機会があったので実はこの本の1/7書評だったりする(笑) いずれすべて読んでみたいと思わせる作品集であることは間違いない。 ...続きを見る

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2007/09/11 11:07
『家族の言い訳』 by 森浩美
JPOPの作詞家が書いた家族の感動短編小説、と紹介されて正直最初はあまり期待していなかった。「どうせ今時のお涙頂戴っぽい軽いノリで歌詞みたいに短い「短編」なんだろ?」くらいにしか思っていなかったのだ。 ここに私は前言撤回する。私の涙と家族にかけて。 ...続きを見る

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2007/09/08 00:54
『漆黒の王子』 by 初野晴
読み返す、ということを嫌うこの私が何度も読み返し反芻しようやく消化することが出来た。 私の理解力がないだけといってしまえばそれまでだが、何よりそれだけの魅力と謎と壮絶な悲しみと痛みに溢れているのだ。 今日連日のようにニュースで流れる暴力、イジメ、不法投棄処理・・・今に始まったことじゃない。人間の社会はいつだって弱者と強者から成り立っていて、この世界は絶対多数決の常識に縛られ、そこに住む私達はその法則に裁かれている。 そうして人間社会だけで一つの独立した世界を確立し一見均衡を保っているか... ...続きを見る

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2007/09/05 21:49
『「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)』 by 岡田斗司夫
私を含めて、日本人というのは非常に順応性に秀でたどっちつかずのあいまいな民族である。 長いものにまかれろ、郷に入っては郷に従え。 毎年8月中旬=終戦記念日前後になると決まって原爆の悲惨さが「忘れてはならないこと」として語られ、その前後には必ずといっていいほど反戦映画や被爆者や遺族のドキュメンタリーがTV欄を占める。たしかにその事実に涙を流し感動をし心を痛める日本人であるのに、次の日、今話題のハリウッド映画が放送されれば何事も無かったかのようにその娯楽へ埋没する。革命も民族独立運動も必要な... ...続きを見る

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2007/09/02 22:05
『神野悪五郎只今退散仕る』 by 高原英理
数年間、平田篤胤が静かなブームになった。荒俣宏の『平田篤胤が解く稲生物怪録』東雅之『稲生モノノケ大全』などその例で、2003年辺りは妖怪ブームだったといっても過言ではない。 稲生物怪録。豪傑少年・稲生平太郎が1ヶ月に渡る妖怪らの挑戦に物怖じせず打ち勝つという英雄譚だ。当時の妖怪の姿・認識を知る上での貴重な資料ともなっている。 ...続きを見る

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2007/08/30 18:16
『精霊の守り人』 by 上橋菜穂子
深夜アニメやその予告放送を何度かチラチラ観た時から気になっていた作品だった。 主人公の女用心棒バルサは、その容姿・強さ共に十二国記の陽子を思い起こさせたし、国の継承問題などが絡んだ上、ファンタジー=謎と不思議をたんまり含んだ空想世界のお話であるということが私の興味をそそった。 その上数人から勧められたとあっては読まぬわけにもいかない・・・で、文庫化したものから読む事にした。で,まず一作目『精霊の守り人』 ...続きを見る

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2007/08/25 01:16
『首挽村の殺人』 by 大村 友貴美
いかにも横溝っぽい陰惨な雰囲気漂う題名だが、名前負けすることなく中身が見事受賞を決めただけあってなかなか面白い。 舞台は岩手すなわち民話や昔話が色濃く残る地。しかも冬の間は雪山により「外部」との行き来が断絶する鄙びた鷲尻村で一人又一人と村人が死んでいく。 医者を切望する「地方」であるこの村に東京から一人の医者(杉)が赴任し、彼が死ぬことから事件は始まった。殺人とも自殺とも熊による殺戮ともとれる死体が次々と上がり、やがて杉の後任・滝本とその妹であり杉の元婚約者・瑠華が現れ、事件の真相を探っ... ...続きを見る

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2007/08/22 00:17
『ミステリーズ!』 by 山口雅也
いや〜、面白かった。のめりこむほどではなかったが、短編だから読みやすい。しかし短編のくせに妙に頭を悩ませるものもあり、軽いものもあり、ここまで本格的にミステリーが集合していると見事というか、読み応えあるというか、お得というか、しかし疲れた(笑) 言葉がまとまらない・・・なにせ短編集。面白いものもあればつまらないものもある。 ミステリーを読みなれている者であれば新鮮さは無いかもしれない。 「密室症候群」や「禍なるかな、今笑う死者よ」など最初からわりと展開がわかりやすいし、わけのわからない... ...続きを見る

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2007/08/17 02:28
『江戸の妖怪事件簿』 by 田中聡
江戸時代の妖怪事例を紹介する本かと思いきや、とんでもない。 紹介は前半に留まり後半に行くにしたがって妖怪>死者>神>マガイモノとスポットを変え話題を変え、それらがどう我々日本人に解釈さえ共に歩んできたのかがまことに解りやすく分析され解説されている。 「江戸の」妖怪事件簿と題しているこの中に紹介された数々の妖怪は、今やその殆どが科学により証明できないという理由で「迷信」というくずかごに捨てられているように思う。 そもそも妖怪は人知を超えて理解できぬものに与えた名前であり、人々が安心するた... ...続きを見る

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2007/08/14 00:18
『配達あかずきん〜成風堂書店事件メモ〜』 by 大崎梢
「書店の謎は書店人が解かなきゃ!」初の本格書店ミステリ ・・・と帯に銘打ってある。「書店ミステリ」ってなんだよ!?とつっこみつつ手に取った本だけど、読んでみて納得。たしかにこれは書店ミステリだ(笑) 舞台もカラクリもホームズ役も犯人・依頼人も、みんなこの本屋さんで出会い事件が起こっている。しかもその事件の鍵を握るのも本。短編集となっている一話読みきりのミステリー群だがどれも一貫して本にまつわる・・・いや、本を愛する人間が巻き起こす事件たちなのだ。 ...続きを見る

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2007/08/11 10:51
『あなたと、どこかへ。 eight short stories』 by 8人のオムニバス
これだけ著名な短編の名手が集まったオムニバス、何て豪華な短編集♪ 本を読む人ならきっと、男女を問わず誰かしらお好きな作家がこの中にいるであろう。 私は石田衣良と吉田修一、角田光代が好きだ。石田氏に関して言えば全作品を読んできている。だから当然これも読み逃すまいと手に取ったわけだ。 ...続きを見る

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2007/08/08 23:52
『夏の光』 by 田村優之
20年前高校3年の夏、親友と恋人との三角関係に傷を負わされた男が師乳と再会し、誤解が解けて再生するまでの物語・・・というと非常に単純でどこにでもある青春モノに思われるかもしれない。 確かにこの『夏の光』はストーリーとしても構成としてもキャラの割り当てとしても単純だしわかりやすい。しかし、否だからこそ後半にあかされる真実と親友との和解は感動をダイレクトに与えてくれる。20年来氷り続けた過去が解けた時、氷はそのまま読者の涙となるだろう。 ...続きを見る

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2007/08/04 18:47
『145gの孤独』 by 伊岡瞬
これはミステリーだ。なんてったって第25回横溝正史ミステリ大賞受賞第一作なのだから。 何がミステリ=謎かって、本当の謎は最終章になってようやく謎があることが判明するのだからひねったもんである。 まず真っ先に思いついたのは三浦しをん『まほろば駅前〜』ととても似ている展開だということ。便利屋を始めた主人公が依頼主との出会いの中でいらぬおせっかいにまで首を回し、涙あり笑いありの解決をみるという数篇の物語。 しかし違っているのは主人公である倉沢自身がミステリーであるということだ。 主人公... ...続きを見る

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2007/08/04 11:34
『私が語りはじめた彼は』 by 三浦しをん
三浦さんの中で始めて真面目な小説を読んだ(笑) 今までエッセイや読書録?や奮闘記系の本ばかりだったので。それにしても上手い! 何が上手いかって、(同じことを人が変わり場所が変わり事態が変わりはしても)同じことを作中でくり返しているのに、一つ一つが面白く、しかもさら〜っと読ませるので飽きさせないのだ。 例えば「まほろば町〜」。主人公と相棒とでこなす便利屋の一話完結モノとして、何編かの読みきりとしても面白く読めるが、全体を通してちゃんと流れがありストーリーがある。 今回の『私が語りはじ... ...続きを見る

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2007/07/30 18:06
『とりつくしま』 by 東直子
無人島に住むことになったあなたはたった一つだけ大切なものを持っていけます。何にしますか? そんな心理テスト?クイズをされたことがあるだろう。わたしにとって絶対に手放せない命の次に大切なものは何だろう?くだらないクイズだけど物凄く悩んでしまう究極のチョイス。 この『とりつくしま』はかの有名な『スカイハイ』を思わせる、少しホラーで少し温かい短編集だ。 そしてここにも究極のチョイスが待っている。 ・死んだことに不満がある死者が無生物に一度だけとり憑くことが出来る。 ・その対象が半分以上消... ...続きを見る

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2007/07/28 23:47
『白骨の語り部』 by 鯨統一郎
なかなか評価が分かれているこの作品、Amazonでも5つ星の人もいればなかったことにして欲しいとまで言って星1つの人もいる・・・まあ、好みがあるからしょうがないけれど。 なぜこんなに評価が分かれてしまったかといえば、期待のしすぎと、ミステリの読み慣れすぎ という点にあるのではないか? ...続きを見る

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2007/07/26 00:49
『九つの殺人メルヘン』 by 鯨統一郎
今さらながら、私が最初に読んだ鯨作品はこの『九つの殺人メルヘン』の続編?である。 コッチから読むべきだった・・・と後悔先にたたず。 しかしまあ、いい。どっちらから読んだって、どの章から読んだって不都合内容に出来ているんだから。それこそ一話完結の醍醐味というものだろう。 そして鯨さんはその醍醐味を十分に味あわせてくれるお約束の作者なのだ。 先日読んだ長編『タイムスリップ釈迦如来』、あれはどうにもおもしろい!と叫べなかった。 面白いは面白いけど軽く楽しく読めるオチャラケ本だ。ちょっ... ...続きを見る

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2007/07/22 00:50
牛泥棒 (Holly NOVELS) by 木原音瀬
『箱の中』『檻の外』で魅了されてしまった・・・ので、こちらも買ってみたのだが、どうにも想像してたのと違う。なんかもう、いかにもBLって感じだ。いや、勿論それは当たり前なんだけど。 『箱の中』『檻の外』では男同士がどうとかそういうことでかなりか〜な〜り〜スッタモンダしていたし、それが世間の実情だ。いわゆるBL的な要素以上に、人間同士の強さや弱さ、人間関係の脆弱さや強靭さ・・・そういった深い心情が肝心なところに流れている作品を書いている、BLというよりは人間対人間という二つの魂の出会いを描いて... ...続きを見る

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2007/07/21 00:55
『タイムスリップ釈迦如来』 by 鯨統一郎
くだらないけど肩の力を抜いて腹から笑える本・・・というと鯨さんの作品を思い浮かべる。 ご都合主義だし細部の設定は思い切り無視してるし、何かためになることがあるかというと無駄な知識を(知らない人が読んだら)間違って吸収する可能性大のとんでも本。 こう書くと失礼極まりないが、お間違いの無いように言っておく。 あくまで私は鯨さんの作品が好きだし、褒めているのである。(どこがだ?) ...続きを見る

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2007/07/17 18:49
bk1・書評の鉄人にならせていただきました!
私の毎度お世話になっておりますインターネット本屋さん「bk1」様で この度めでたく「書評の鉄人」に選出していただきました。 本当に恐縮で、私なんぞの稚拙な文章が・・・と戸惑うばかりですが 心の広い方々、ぜひbk1にお越しの際は 私の書評に1票を!(笑) ...続きを見る

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2007/07/15 21:43
『KAPPA』 by 柴田哲孝
「ハードボイルドでありながら悪人がひとりも登場しない。不思議な小説だ」 という帯に惹かれて買ったのにはわけがある。 先日読んだ『悪人』(by吉田修一)が非常に私の好みに適った作品であり、素晴らしい作品だったからだ。しかも続いて「心に傷を持つ男達が事件の真相に迫る感動の物語」とある。 『悪人』も結果的には(一人のバカ息子を除いて)悪人はいない。「悪人」に徹することで愛する人を突き放し守りぬいた、いわば悪からの逃避行の物語だった。 しかしこちらには「悪人」が誰一人いないという。じゃあ、犯... ...続きを見る

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2007/07/15 00:32
レリック・オブ・ドラゴン―世界樹の水晶 by 真瀬もと
とうとう最終巻を読み終えてしまった・・・シリーズモノを読むときいつも感じること、それは「終わらないで〜!」と「ラストが早く知りたい!」という相反する、しかし沸き立ち止まれぬ思いだ。 一応このお話はファンタジーなんだろう、区分としては。違和感があったり子供っぽさがあったりいかにもご都合主義があったり・・・がこの手の話には多いが、真瀬さんの作品にはそれが無い。変に説明しようとしていないところが良い。これがミステリーならこれはこうで、あれはああだからこうなって・・・と色々説明して合理的根拠やら何... ...続きを見る

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2007/07/13 21:04
『レリック・オブ・ドラゴン〜イスカウトの相続人』 by 真瀬もと
さてさて『レリック〜』の第2巻♪まさか私がこの年でこの手のノベルズにはまるとは思ってなかったのでいささかこっぱずかしい。 『ロードオブザリング』にも『ナルニア国物語』にも『ハリポタ』にも、原作はともかく映画にはまるっきりはまれなかった私が 今さらファンタジー系に手を出すわけが無い、と思っていたのに。 でもおもしろいんだから仕方ない。 小難しいファンタジーを読むより、キャラと心情と展開と、垣間見せる挿絵のビジュアル♪に萌えることができるのだから、理屈ぬきでいいのだ。 ...続きを見る

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2007/07/11 11:34
『レリック・オブ・ドラゴン〜誓約の紋様』 by 真瀬もと
美貌の紳士に妖艶なバンパイヤ(勿論美女)、翳のある主人とその彼を兄のように慕うカワイイボーイ(失礼?)・・・これだけでなんだかにんまりしてしまう人物相関図が描けよう。 18年前に交わされた「約束」に物語りは端を発し、ロンドンを舞台に起こる連続殺人の真相を探る彼らに約束の契機がせまりつつある。 古き女吸血鬼の悲話伝説、封印するために捧げられてきた「子羊」たちの血。それを見守るものと犯す者。中世のロマンと20世紀初頭の英国とがなんとも絶妙に混在していてロマンチックなのだ!(ロマンなんてコトバ... ...続きを見る

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2007/07/10 00:45
『吉原手引草』 by 松井今朝子 週刊ブックレビューより
以前読んであったのを昨日ブログにUPした・・・と思ったら、 今朝(7/9)放送した週刊ブックレビューにゲストで松井今朝子さんが登場しているではないか!なんたる偶然! 週刊ブックレビュー> http://www.nhk.or.jp/book/review/index.html こ、こんなに清楚できれいなおばさまが書いてらしたのか・・・う〜ん、予想外(笑) ...続きを見る

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2007/07/08 10:15
『吉原手引草』 by 松井今朝子
『花宵道中』ですっかり花魁を主題にとった作品に目がなくなってしまった。 先日読んだ『花宵道中』が花魁たちの悲劇、歓び、嬉し悲しを主観的に描いたものであるなら、今回読んだこの『吉原手引草』はまったくその逆、花魁をめぐる様々な取り巻き・・・吉原に生きる「その他大勢」の関係者が客観的に見て感じたことを語っていく形だ。 ...続きを見る

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2007/07/08 00:43
『まほろ駅前多田便利軒』 by 三浦しをん
こんな面白いものを書く人の作品を今まで読んだことが無かったことを本気で悔いた。 キャラ・設定・事件・長さ・構成・・・どれをとっても○。まあ、芥川賞系のモノから見れば軽いノリだし、一話完結の漫画のような雰囲気だし、胡散臭いし(笑)、ご都合主義ではある。 至極真面目な方にはくだらん、と捨てられてしまうかもしれない・・・が、それでも涙したくなるほど良いストーリーなのだ。 ...続きを見る

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2007/07/03 21:37
『向日葵の咲かない夏』 by 道尾秀介
人間が物事を見て感じて「認識」する際、最初の立ち位置が間違っていると視点がズレる。 ミステリーではこの読者の認識を完全に騙してスタートする作品と、話を進めるにしたがって段々と混乱させていく作品とがある。道尾の作品は明らかに前者が多い。 そもそも自分が認識しているこの世界は本当に存在しているのか?彼は本当に「彼」なのか?私は本当にここに存在しているのか?そういう基本的な、最も根本的な認識・・・つまり何を始めるにも必ず必要となるベースの部分、共通の情報、基準点・・・そういうものがずっとあやふ... ...続きを見る

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2007/06/29 10:34
『片眼の猿』 by 道尾秀介
道尾氏の作品は、今までシリーズの方を読んでいたので単発ミステリーは今回が初めて。 いやいやなかなか面白かった。わりとありがちな展開ではあるしわかりやすかった部分もかなりあったけれども、根本的な部分で見事に騙された〜っという感じだ。 根本的というか、そもそもの設定自体が最後の最後になってやっとハッキリする。 狙ってかどうか知らないが、私は最後まで主人公・俺(三梨)は超人的な聴覚を持っている&恋人の目は千里眼、というファンタジックな設定なのかと思っていたのだ。 ちょうど伊坂幸太郎の『陽気... ...続きを見る

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2007/06/26 11:37
『浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話』 by 鯨統一郎
いや〜笑った哂った!800円でこんなに楽しませてくれる本は初めてだ。 なにしろトリビアと、エンタメと、ミステリーの3拍子が揃っていてしかも800円(シツコイ;;) ノリはボケ突っ込みの漫才、一話完結短編集だからどこから読んでもOKだし、片道20分の電車通勤で一本読めるお手軽さ♪(ただし実際に読んでみると笑えて笑えて噴出す危険があるのであまりオススメは出来ない。)笑いを抑えることが出来る強固な腹筋の持ち主にはぜひオススメしたい。私は1回で挫折した。 ...続きを見る

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2007/06/24 07:32
『悪人』 by 吉田修一
事件が一つ起こったということは、悲劇が一つあったということは、被害者がいて加害者がいて、勝つものがいて負けるものがいる、ということだ。 笑うものと泣くものと、楽しむものと寂しいものと。生きるものと死ぬものと。 世界は対立する表裏一体の存在があって初めてつりあいよく運営している、そう考えると、自分は一体どっち側なんだ?という疑問がわいてくる。 どっち側であるにせよ、被害者・加害者・傍観者・関係者・・・一つの事件が起きた時そこから波紋のように広がる人間関係は果てしない。そしてその波紋の先に... ...続きを見る

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2007/06/22 18:25
『弱法師』 by 中山可穂
とうの昔に読んでいた作品だが縁あって再読。やはり中山氏の作品は痛い、強い、熱い。 登場人物の放つ言葉は、こちらがこっ恥ずかしくなるくらいまっすぐの直球であり・・・まっすぐであるがゆえに脆く折れやすい危うさを含んでいる。こぎ続けなければ倒れてしまう自転車のように、ひたすら加速していく物語を、中山氏はいつもつむいでいるように思う。 それは中山氏自らも公言するレズビアンという違和感=世界からの疎外感が、彼らに安穏とした生き方を許さないというスティグマを刻んでいるからかもしれない。 ともあれ、... ...続きを見る

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2007/06/19 00:53
『シャドウ』 by 道尾秀介
精神異常の病人による犯罪というのはいつの時代も大きな関心を引く。 それは精神異常という「病気もち」は犯罪者として処罰されずに済んでしまうという現実があるからだ。 簡単に、単純に極論を言ってしまえば悪意がなければ殺しても罪に問われない。 もしくは刑罰を科した所でどうせそれを正しく全うすることが出来ない。 ともいえる。 犯罪を犯し捕まった途端に精神病になって刑罰を逃げおおせようとするものも多いのは当たり前だし、ニュースで「精神病の疑いがある」という言葉が出てくるたびに(少なくとも私の家族... ...続きを見る

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2007/06/17 17:59
『愛でしか作ってません』 by 後藤田ゆ花
今や言わずと知れた最大の消費祭りコミケ。何を消費するかって、お金、時間、体力、精神力、そして愛と妄想とを大量消費する愛でしか作られていない・・・いや、作りえない最大イベントである。 漫画、しかも一般に手に入るような健全なものではなくあんなことやこんなこと(笑)を男同士で(男性側からすれば女性同士のものになるのだろうけれど)乳繰り合っている漫画、同人誌が渦を巻いているマーケットがコミケだ。そしてその男同士の恋愛モノをBL(ボーイズラブ)という。 一般に手に入らない・・・といったがその垣根は... ...続きを見る

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2007/06/14 11:44
『シャトゥーン −ヒグマの森』 by 増田俊成
ヒッチコック映画『鳥』をご存知の方は多いだろう。ジョーズもサメの代名詞となっているほど有名だ。人間はどんなに文明化しても高度成長しても、いわゆる原始的=自然界に近い「動物」 から遠ざかったとしても、自然の猛威に対する潜在的な恐怖は消えない。 『シャトゥーン』すなわち「穴持たず」の飢えているヒグマ・・・ようするに冬眠に失敗した腹を空かせて凶暴化した最大級の熊だ。 しかも仔連れで手負いと来ている。北海道の原生林・天塩研究林北ノ沢小屋で年末を過ごそうと集まった4人の男女と女の子・・・そして途... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/06/14 11:12
『骸の爪』 by 道尾秀介
失礼ながら京極堂のコピーかとも思われたあのシリーズの2本目。 間違いの無いように言っておくと、京極堂のコピーと言うのは何も批難中傷の意味だけではない。少なくとも私にとっては。 構想や登場人物、その役割分担において似ている、というだけのことでその設定においては悪く言えば真似、良く言えば良き手本を得たはじめの一歩である。 そして私にとってのこの場合、後者である。 道尾氏にいたっては確かに一本目『背の眼』があまりに京極堂と似通っていたためその点は残念にも思えたが、次回作を期待させる面白さを持っ... ...続きを見る

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2007/06/11 19:17
『空の境界』 by 奈須きのこ
2年の昏睡から目覚めた両儀式は、後遺症としてあらゆるものの死を視る眼を授かった。 そして同時に、二重人格である殺人の快楽しか知らない両儀「識」を失ってしまった。 ナイフだけでそのあらゆるモノを『殺す』式に死と生の境界をさまようモノたちがひきつけられるように集まってくる。 彼女に唯一「普通」に接してくる黒桐幹也、魔法使いから外れた魔術師の蒼崎橙子、実の妹でありながら横恋慕する黒桐の妹。様々なキャラが登場し各々に鬱積したものをぶつけ合い物語りは展開する。 ...続きを見る

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2007/06/09 18:10
『大日本天狗党絵詞』 by 黒田硫黄
たまには漫画書評。 ・・・実際には小説よりも漫画のほうが多かったりするけれど。 この作品、絵といい話といいかなり昔の作風だが、何て新鮮なんだ!と驚くばかり。 題名からして天狗。天狗って何?これってファンタジー?いやいやとんでもない。 映画『日本以外全部沈没』くらいアホ臭いテンポと抜きと間があって・・・じゃなくて抜けてる。 昨今妖怪ブームである。たいていの作品は民俗学やら民間信仰やらを引っ張り出してきて、その先達の研究データをベースに話が展開する・・・が、これは違う。 いや、違うわけ... ...続きを見る

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2007/06/05 11:38
『ダナエ』 by 藤原伊織
『てのひらの闇』『テロリストのパラソル』に続いて3作目の読了。 かなり前に読んだのだが、UPを忘れていた・・・ので、今さらながらそのまんまブログをUP。 ...続きを見る

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2007/06/03 21:08
『星を継ぐもの』 by ジェイムズ・P・ホーガン
いわずとも知れた有名作品なので、今さら書評も無いが・・・ 私は、今さらで読んだのだからしょうがない。どんな有名な名作でも新しい人間が生まれ続けている限り「初めて読んだ」新しい読者は常に生まれ続けるのだ。 そういう意味で本(に限らず)は常に新作であり続けるのだし、SFもまたしかり。 いくら本の中で「未来」を描いて見せても、いつしか必ず「その日」はやってくる。無論その時人間がそういう進歩・退化を遂げているか、生存しているかどうかもわからないが。 ...続きを見る

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2007/05/30 20:46
『Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7』 by 石田衣良
待ち望んでいたIWGP!今回はマコトもタカシもめちゃかっこいい! 石田氏の作品はこれが一番ストレートで面白くて読みがいがある、と私は思っている。 勿論、他の作品もとても好きだし凝った作風やややこしいもの、クラッタイものもそれぞれいいものがあるだろう・・・が、石田衣良の作品には必ず救いがある。夜明けがある。 ...続きを見る

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2007/05/26 01:00
『毒草師』 by 高田崇史
ノベルスで有名なシリーズ(QED)を書いているにもかかわらず一度もこちら高田氏の作品は読んだことが無い。今回この『毒草師』を手に取ったのは表紙が綺麗だったのと、題名が表紙とマッチしていてこれまた魅惑的であったのと(毒身丸かと思った;;)、ダヴィンチで取り上げられていたのをなんとなく覚えていたから・・・そしてその紹介文に「伊勢物語」「一つ目の鬼」「藤原氏」・・・などなんとも私を誘惑する単語が並んでいたからだ。 ...続きを見る

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2007/05/16 21:32
『前巷説百物語』 by 京極夏彦
待って待ちわびておりました、京極氏の最新刊!しかも『巷説〜』シリーズ。 にしてもどうしてこう、ヒット作ってあとから「出会い篇」や「誕生篇」みたいの多いかなぁ(笑) 『リング』もしかり。(『バースデイ』とかね;;) ...続きを見る

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2007/05/11 18:34
『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』 by 私の愛する9人の先生♪
ここ数日、横溝作品を5作連続して放送している。 どこをどう選択したのかNHK(BS11・衛星第二)、八墓村がない!その代わり?に5日目の放送『病院坂の首縊りの家 』 けっこう他の4日間の作品に比べて・・・かなりマイナーではないだろうか? まあ、それはいいとして、ここ数年『悪魔の手毬歌』の再映画化によって横溝作品が再放送されている。映画好きの私としては嬉しい限りだが。 実を言うと、推理小説は好きだがなぜか横溝作品は殆ど読んでいない。 本を読む年齢に満たない頃からこの手のミステリー映画・... ...続きを見る

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2007/05/05 21:42
『スウィート・イベンジ』 by 真瀬もと
『アルレッキーノの棺』以来、ミステリーとしてFANになった真瀬さん作品。 毎度英国の、ちょっと昔が入った本格派ミステリーをお書きになる♪と楽しんでいる真瀬さんの作品だけど・・・さあ今度はどんなミステリー?って思っていたのだが、大いに期待を裏切ってくれた。いや、半分裏切り(本格ミステリーではなかった)で、半分は「予想外」だ。 だがどうやら知らないのは私だけだったらしい(笑) 真瀬さんがこんなにBLをお書きになっているとは! 久しぶりにBL小説を読んだ・・・しかも思いもかけずに読み出して... ...続きを見る

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2007/05/02 18:20
『花宵道中』 by 宮木あや子
各々5人の吉原の女郎を主人公にした5編から成る、悲しく苦しく狂おしい悲恋が繰り広げられる。吉原の小見世山田屋を舞台に、5代にわたる遊女達の悲恋話だ。 ...続きを見る

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2007/04/26 01:16
『背の眼』 by 道尾秀介
なかなか面白い作家を見つけた、けれど京極堂の二番煎じかな? といったところ。 京極堂シリーズの・・・警部を除く3人の得意技(笑)をそのまま拝借したような人物が主要メンバー。職業までかぶっているのだからしょうもない。 ただこの著者の方が和気藹々としているし現実離れもしていない会話だし、時代も現代だ。だからずっとソフトで読みやすく安心して読み進められる・・・悪く言えば軽いノリ、よく言えば読みやすい、だ。 面白いのが時代は確かに現代なのに(なんせ携帯が使われている)、どうにも金田一シリーズのよ... ...続きを見る

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2007/04/21 21:28
『千年樹』 by 萩原浩
最近萩原浩にはまってしまった。考えてみればずっと前に読んだお気に入りの本・・・『押入れのちよ』や『神様から一言』も萩原氏の作品だったのだ。今になって、ああ、あの作者かって気がつくのも失礼だが;; それくらい良い作品かつ私の趣向にあった作風なのだろう。 ...続きを見る

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2007/04/15 12:40
『四度目の氷河期』 by 萩原浩
私は特別なヒトなんだ。 そう思ったことはないだろうか。 たとえ世界が滅びても、地球が滅亡しても・・・氷河期が訪れても、私だけは死なない、生き残る。 私は選ばれたヒトなんだ・・・そんな幻想。 実のこというと、私は精神的&肉体的に詩の一歩手前まで自分で追い詰めてしまったことがある。いつ死んでもおかしくない状態、その時ですら私は死なないだろうという根拠の無い確信があった。今思えば頭が半分おかしくなっていたと言えなくもないが、正常な今でもやはりどこかで自分は平気、という変な自信がある。それはきっ... ...続きを見る

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2007/04/08 21:09
『贈る物語 Wonder』 by 瀬名秀明
最近SFに対して少しの抵抗も無く読む気になった。瀬名秀明のお陰だ。 前回読んだ『ハル』・・・あれ以来SFがこんなにも身近に軽く読めるものなんだと 少なくともこの瀬名氏の作品に対しては、普通の現代小説となんら変わりは無い ただSF=少し、不思議。なものがたりなのだと思えるようになった。 この「少し不思議」という訳をSFに当てたのは言わずともがな、藤子・F・不二雄先生である。 この訳がかなり多くのSFファンに感動を与えたのは言うまでもない。 私の好きな作家であるこの瀬名氏と辻村深月(... ...続きを見る

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2007/04/04 18:27
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 by 桜庭一樹
やばい。また作家にはまってしまった。最近どうも女性の作家にはまりやすい。 『少女七竃と〜』に始まって『赤朽葉家の伝説』でずっぽりはまり、サイン本につられて買った今回で「この作家、改めていいな」と思う。 ...続きを見る

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2007/03/31 00:42
『ラスト・イニング』 by あさのあつこ
いわずともがな。『バッテリー』の番外編・・・というかその後談。 楽しみにしていた、というよりは思わぬ朗報というやつだ。 まさか『あの試合』の勝ち負けを「書いてしまう」とは思わなかったから。 ...続きを見る

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2007/03/27 10:40
『月族』 by 今村恭子
とても純粋で、美しくて、悲しい哀しい神話と愛の物語・・・なんてクサイ言葉が似合ってしまうほど、優しく純な物語。 ...続きを見る

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2007/03/21 12:07
『赤朽葉家の伝説』 by 桜庭一樹
狂おしいばかりに己を行き、戦後変わりゆく昭和〜平成の時代を生きた「赤朽葉家」の人々の伝説。伝説、というとなんだか古臭く胡散臭く、現実味を帯びていないどこか遠くのお話、と感じてしまう。が、これはそういった「昔話」でも「民話」でもない。 あくまで「伝説」、しかも延々と行き続けている、今に続いている伝説である。 ...続きを見る

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2007/03/18 10:55
『ボランティア・スピリット』 by 永井するみ
以前、永井するみの作品で初めて読んだのは『さくら草』だった。 ...続きを見る

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2007/03/16 00:28
『美丘』 by 石田衣良
セカチューより生々しくて少しエロくて痛々しい。 それでいてセカチューほどにはサブキャラがたっていない。 つまりヒロインと彼の二人の間でほぼ完結してしまう、悲しく苦しい恋の話。 久しぶりの石田衣良だが、文末にその章をまとめるような主人公の一文を入れるのは 変わらないなと ふと思った。 4TEENなんか特にそうだけれど、石田作品はどこかに 「くぅぅ〜」っと泣かせるシーンの山場があり、素直に理屈抜きの涙シーンがある。 難しい言葉は取っ払って、できるだけ感情的に、本能的に、直感的に流れて... ...続きを見る

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2007/03/13 00:07
『ハル』 by 瀬名秀明
今までに無い、現実的なロボットモノだ。 ロボット工学とか機械について詳細が書かれているとか、ロボット精神論的な高尚な話題であるとか、未来的であるとか・・・ そういう一切の難しさが排除されており、とても読みやすいストーリーだ。 これほど切実に、未来ではなく今のロボットと人間のあり方を見据えた作品も珍しい。 しかも視点はすべて私達となんら価値観の変わらない現代人だ。 だからこそ・・・この作品は私に大いに感銘を与えてくれた。 ...続きを見る

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2007/03/10 00:22
『夜は短し歩けよ乙女』 by 森見登美彦
前回読んだ『ナナカマド〜』がなんとも美しくしんしんと降る雪のような少女小説(といいつつオトナモノ?)だったのに対して、続いて今度は純粋・青春小説である。 ...続きを見る

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2007/03/04 10:19
『図書館危機』 by 有川浩
すっかりシリーズ定着した感の第3巻!いや〜面白くなってきた。 毎回思うのだけど、有川さんのキャラは素直にかわいい&かっこいい ...続きを見る

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2007/02/28 19:37
『少女七竃と七人の可愛そうな大人』 by 桜庭一樹
なんて美しいタイトルの響き! 可憐な表紙絵! 興味をそそる宣伝文句・・・。 静謐なタッチの美しい少年と少女が 真っ白な雪の中に向き合い座っている。 そして二人をつなげる七竃の赤・・・いや、紅のマフラー。 この表紙絵がそのまま内容を表しているような 素敵な装丁だ。期待を裏切らなかった。 ...続きを見る

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2007/02/22 20:14
『出口のない海』 by 横山秀夫
神風特攻隊や人間魚雷というコトバは知られているが、『回天』という名称は意外と知られていない。特攻隊が(大変失礼な言い方に当るのは承知で言わせて貰うと)華々しく、その名の通り「散って」行くのに対し、人間魚雷『回天』の乗組員は爆破するか、沈んでいくしかないからだ。暗い、冷たい、海の底。出口の無い海へと。 ...続きを見る

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2007/02/17 11:49
『フィッシュ・ストーリー』 by 伊坂幸太郎
待ってましたとばかりに買い読んだ伊坂さんの新作!・・・だったのだけど、 今までの中では一番不発かな・・・と思う。不発、というほど悪いわけでは決して無いけど。 確かに今までの作品群の登場人物たちのその前後談、という意味では番外編を楽しむ漢字で面白い。伊坂作品を網羅している読者には2倍のお楽しみになっただろう。 けれど、いつものドキドキ感というか、ワクワク感というか、 早く続きを読みたくてたまらない!という臨場感が無いのも事実。 ...続きを見る

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2007/02/13 00:59
『十角館の殺人』 by 綾辻行人
これだけ有名なミステリ作家なのに読んだのは初めて。 本格小説、というにふさわしい。ミステリファンにはたまらない作品だと聞いてはいたが なるほど確かに。  登場人物がみな海外ミステリ作家の名をニックネームを持ち、彼らはミステリ小説同好会の幹部たち。 場所は隔離された「密室」的な孤島、十角島。かつてあった狂気的な連続殺人事件の現場が残るこの島で、集まった7人に次々と起こる殺人・・・ 互いに犯人か、次は自分かと疑心暗鬼になりながら7日間を乗り切ろうとするが、非情にも次々と殺人は起きていく... ...続きを見る

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2007/02/10 11:26
『スロウハイツの神様』 上下 by 辻村深月
期待を裏切らないどころか、ますます愛すべき作家となる辻村さん。 毎回作品を重ねるごとに「今回のは一番!」と思うからすごい。でも、本当にそうなんだ。 辻村作品は『痛い』ものが多い。それはキャラの過去だったり、現実だったり、人の死だったり事件だったり・・・根本にあるのは人間が『人の間』で生きている限り、避けられない人間関係と、その中で起こる事件。そこから展開するドラマだ。 人間として人と人とが関係していく中で、心が崩れ、何かが崩壊し、切りつけられる痛みの中で大切なものを失くしてしまう。 ... ...続きを見る

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2007/02/04 10:25
『水晶内制度』 by 笙野 頼子
はじめはつまらなくて、何でこんなくだらない本買っちゃったんだろうって・・・思ったんだけど 1/3過ぎたあたりから面白くなってきた。 とはいえ、全体に細かい描写やあちらの世界の説明がおおすぎて飽きてしまう。 もう少しスマートに、彼女(主人公)の内面を語っても良かったんじゃないだろうか。 <アラスジ> 原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のため出雲神話を書き変えるが…。美男だけが生き延びる?男性保護牧場。高校で飼育される「ロリ... ...続きを見る

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2007/01/26 18:54
『あめふらし』 by 長野まゆみ
いままでふわふわ〜っと、するする〜っと読み終えてしまうことが多かった長野氏の作品だったけれど、今回は少し謎めいているところや因果的な作があるのでミステリ調に読めた気がする。 因果・・・というか、ああ、これはこうだったからこうなったのか、みたいな。 いわゆる彼らの設定の暴露本ともいえるかもしれない。 掘り下げたことで彼らキャラクター一人一人がいとおしくなった。 どうも長野氏の作品に登場するキャラは、誰も皆それぞれ(多くは語らなくても)重いものやしょうもないものや、変なもの(笑)を抱えて生... ...続きを見る

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2007/01/20 11:27
『お楽しみはこれからだ!』 by 真瀬もと
前作、『アルレッキーノの棺』ですっかり魅了されてしまった私。真瀬氏の作品はいつも「本格推理小説」なるものの基本というか、源流というか・・・そういう雰囲気を存分に味あわせてくれる。 時代もの、金持ち、大物、刑事、イイ男、頭の冴える一般市民の主人公・・・自殺とも取れる謎の死と入り組んだ人間関係、隠蔽された過去・・・ こうしてみると、いわゆる「旅館女将の殺人事件簿」とかなんとかいうようなB級ミステリーとなんらパーツが変わらないような気もするが、どうしてどうして、崇高なる本格小説、といいたくなる... ...続きを見る

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2007/01/16 11:08
『ぼくのメジャースプーン』 by 辻村深月
待望の新刊!と思って買ったらとっくに出てたのを私が知らなかっただけ(笑) 今回は小学生が主人公だ。低年齢の少年少女を主人公にすると、たいていは大人目線で『子供の視線』をはかるから失敗する。読み違える。どんなに子供の言葉を使おうと、子供の目線で見ようと、それは大人がかがんで子供の目線になったものであり、大人が子供を真似て発した言葉であるからだ。  私の好きな作家、辻村氏も同じクチか・・・と心配しつつ読んだ・・・が、いらぬお世話だったらしい。この作品は、そんなことを気にして読むレベルじゃ、な... ...続きを見る

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2007/01/09 19:14
『レインツリーの国』 by 有川浩
前作『図書館内乱』に出てきた作中作?『レインツリーの国』が独立して帰ってきた! ・・・って、コッチが先なのか?あれ?まあそれはどちらでもいいけれど、歯がゆいくらいの純粋な恋愛青春小説。だけど面白い。 ...続きを見る

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2007/01/06 19:59
『よろず春夏冬』 by 長野まゆみ
なんとも流れるようjな、美しい文章。すべる様な情景、艶かしい空気。 ところどころに配置される古風な漢字。 細やかな描写。 ...続きを見る

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2007/01/01 14:52
『煌夜祭』 by 多崎礼              
ノベルズ、しかもファンタジー・・・はあまり好きではない私がなぜこの本を手に取ったかというと、「語り部が伝え歩くフォークロア」が軸になっているという書評を見たからだ。 なんとなく民俗学を思わせる書評だったため、そして安かったことも幸いして(笑)買ってみた。 当てが外れて、しかい面白かった! 最初は「やっぱりノベルズってこの程度のか・・・」と 感じたし、軽い読み物だと思い読み進めていたが、話が進むにつれてどんどん引き込まれていく。素直な文体、素直な構成、わかりやすいファンタジックな物語とい... ...続きを見る

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2006/12/30 11:16
『きつねのはなし』 by 森見 登美彦
題名からして「きつね」。動物の狐じゃなくて「きつね」。 しかもあの表紙・・・ 妖怪・ホラー・民俗好きの私が読まぬわけには行かない!ということで読んでみた(笑) 伝承とか実際にある場所とか、いわゆる御伽噺譚などを下敷きにしたストーリーを 予想し、楽しみにしていた私としてはちょっとファンタジーっぽくなりすぎている気がしたが しかしこれはこれで面白い。いや、ゾクッとする。ひやりとする。・・・混乱する。 ...続きを見る

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2006/12/26 20:02
DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 by 西尾維新
正直言って、古本で購入するのを待って良かった・・・って言ったら怒られそう;; でも、ミステリーとしては面白みに欠ける。偽Lが大半を占めている本編だが 殆ど本家Lと同一の挙手挙動をとっているわけだから、かつてのLを見ているつもりで Lの探偵ぶりを見たい、というのならいいのかもしれない。 ...続きを見る

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2006/12/19 16:59
『テロリストのパラソル』 by 藤原伊織
ミステリーというよりハードボイルドに近いのか? 江戸川乱歩賞を貰っているのだから ミステリー小説には違いないんだろう。それだけあって、確かにいい作品だと思う。 悲しく、切なく、絶望が起こした惨劇が横たわっている。 ...続きを見る

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2006/12/05 20:48
『雷の季節の終わりに』 by 恒川光太郎
前作『夜市』が、処女作とは思えないほど引き込まれた作品だったので 今回もかなり期待していたのだが、正直言うと前作の方が(私としては)良かった。 しかし『夜市』に比べて短編ではない分、倍以上の長さの長編となったわけだが、 ダラダラ感やつまらなさは、ない。つまらないと言うよりなんだったんだろう?という 感じがしてしまうのだ。 同時進行の異界=パラレルワールドという意味で、『十二国記』に似ているなぁ・・・ とも思える設定だが、異世界と言うほどの違いがなくどちらも人間であり、形成社会も ... ...続きを見る

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2006/11/29 01:33
『狂い咲きの花』 by 水月博士
ああ、とうとう完結してしまった。 「悪魔のオロロン」といい、この作品といい、どうしてこう悲劇、アンハッピーエンドなんだ? 報われるけれど、Happyじゃない。不幸じゃないけれど、幸福じゃない、だけれど幸せ。 読んでいるのがつらい、苦しい、悲しい、泣く。 それでも読む。 きっと不器用な「鬼」が最後に口にした初めて使う言葉 「愛している」 あの一言があると信じていたからだ。 ...続きを見る

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2006/11/15 02:25
『図書館内乱』 by 有川浩 
お待ちしていました! 有川さんもとうとうシリーズが出ましたか(^^) 『空の中』いらい、すっかりFANになってしまった有川さんの作品、毎回軽いタッチで 自然な口語体と、ちょうどよく何気ない登場人物の感情表現、だれることのない全体のテンポ。相変わらず楽しく読ませていただいてます。 ...続きを見る

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2006/11/06 18:58
『さくら草』 by 永井するみ
さくら草 ジュニアブランドに限らずペットのお食事やら洋服やらに夫の服装よりも金をかける奥方が増えていると言う今日この頃。なかなか面白い題材だ。 ...続きを見る

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2006/10/30 02:03
『埋み火』 by 日明 恩
なんと言うか、死語とご都合主義と勧善懲悪が入り混じったしらけ作・・・ とまで言ってしまったら言い過ぎかもしれないが、そんな感じだ。 内容としては面白い。読んでいるうちにけっこう慣れてくるので、読んでしまえば 面白く読めるかと思う。つまらなかったわけではない。面白かった・・・と思う。多分。 しかし慣れるまでがなんとも歯がゆいと言うか、歯が浮くと言うか。 なんなんだ、このノリは?アバンギャルドって・・・いつの世代だよ・・・ 主人公の正義感ぶらない心持は気持ちがいいし、キャラとしては面白い... ...続きを見る

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2006/10/27 01:13
『青の炎』 by 貴志 祐介
今さら読了報告するのもおこがましいほど、知られた作品かもしれません。 あれほど当時話題になったのに読んでいなかったとは;; 読む時期を外した。 違和感を感じた。・・・というのも、今日のいわゆる青少年犯罪には当てはめられないものがあるからだ。はっきり言って、事件性も次元も違う ...続きを見る

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2006/10/22 18:05
『邪魅の雫』 by 京極夏彦
   待ちに待った京極堂の新刊!たまっていた分吐き出すように今回は死ぬ死ぬ死ぬ! 連鎖反応のように死んでいく人人人・・・模倣犯が日常化している今日の犯罪事情に通じるものすら感じるのは気のせいだろうか。 無論、一般的な犯罪心理学なんぞで計り知れる範疇を超えているのが、「京極シリーズ」に登場する当事者たちなのだが。 今回のメインは「個と公」「閉じた世間と複数からなる世界」・・・要は自分個人の認識する「世界」の法則が、どこまで他の、他人の、不特定多数の「世界」に通じるか、通じないのか、という点... ...続きを見る

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2006/10/14 21:25
『麦の海に沈む果実』 by 恩田陸
学園モノミステリーといってしまえばそれまでかもしれないが、 スクールライフ感の薄い、淡白な語り口と言う意味でソレも違うと思える。 ...続きを見る

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2006/10/01 00:59
『風の影』 by カルロス・ルイス サフォン
これは青春モノだろうか?ミステリーだろうか?ロマンスだろうか?ホラーだろうか? どれにも当てはまるし、どれ一つだけ突出してとっても足りない。 ...続きを見る

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2006/09/27 20:08
『三年坂 火の夢』 by早瀬 乱
導入部分〜中盤までは面白い。もともと伝説やら逸話やらが好きな私が 「3年坂で転んだら死ぬ」という迷信に、殺人と失踪と言う謎と、放火と言う事件が絡み合い、 『帝都物語』を髣髴させる東京大改築! 材料は揃っている。興味深く、人をひきつける題材である。 そして話の運びも、引き込みも、当時の風潮、面影もどことなく全体に漂っていて、明治の情景が何とはなしに目に浮かぶ、そんな意味で見事な文面だと思った。 正当な純文学などを好む方々にはこの程度では・・・と思われるかもしれないが、現代に生き、明治... ...続きを見る

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2006/09/17 09:38
『あやし うらめし あなかなし』 by 浅田次郎
正直言うと、この表紙に惹かれて手に取ったのだ。 以前読んだ愛読書『夜市』に似た雰囲気・・・きっとコレもあの本と同じような感動をくれるに違いない。なんて、作者も違うのに勝手甚だしい決め付けで読み出したのだ。 無論、浅田次郎は初めてではないし嫌いではない。 が、なんとも人情モノで、お涙頂戴モノで、「クサイ」話が多い・・・ので、 あまり好きな部類ではない。(FANの方々には申し訳ない;;) 父などは「あれには泣けた」「俺なんかは、思わず涙がホロリと来たね」なんていいながら 浅田氏の過去... ...続きを見る

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2006/09/10 01:18
『箱の中』&『檻の外』 by 木原音瀬
檻の外 ...続きを見る

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2006/09/02 11:28
『箱の中』&『檻の外』 by 木原音瀬 (1)
『箱の中』:獄中のBLものは初めてだったので比較のしようがないのだけれど、まあ、こんなもんかなというのが正直な感想。 ことに前半はそんなもんでしょう、という想像の想定内だったためか、さほど新鮮さも面白さもなかった。 完全にノーマルでまっとうな真面目な人生歩んできた堂野が痴漢の冤罪で獄中生活を強いられた・・・まともな人間にとって獄中生活は苦悩そのもの・・・というのはわかるけれど。 正直だからどうしたって言う域を超えない。その苦悩っぷりも生ヌルい。 ...続きを見る

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2006/09/02 11:08
『凍りのくじら』 by 辻村深月
やっと、辻村作品すべて読みつくした!感無量♪  辻村先生の文章は、なんだか自分に似ていて好きだ。加えて感覚が好きだ。 (私自身はたいして書けない人間だから、こんな言い方するのはおこがましいが) よく書評で見るように辻村作品は、少年少女たちの危ういくらいな、脆くもある、 どこか取り繕わなくて入られないように毎日を生きている、あやふやな彼らが登場する。 だからこそ「ああ、自分もそうだったよ」とか「そうなんだよな」という共感を呼び、 読者が胸に突き刺さるような代弁をしてくれる存在にもな... ...続きを見る

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2006/08/19 19:09
『柳生雨月抄』 by 荒山 徹
かの大作・名作『帝都物語』の二番煎じか?というのが率直な感想。 ただしけなしているのではない。これはいい意味でも悪い意味でもある。 楽しんで読めればいい、と割り切るのなら面白い作品だ。 それにしてもあんまり突拍子もないキャラというか、設定というか(^_^.) ...続きを見る

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2006/08/17 22:04
『冷たい校舎の時は止まる』 by 辻村深月
あんなに仲が良かったのに、いつもつるんでいたのに、どこでも一緒に遊んだのに、 学生時代の女友達は、どこか知らない面を持っていて、開かずの扉を持っている。 自分の知らない友達を持っていて、知らない顔を持っていて、知らないところに存在する。 そういう時間を過ごしている大切な友達が、私にもいた。 いや、すべてを知っている人間なんてのはまず居ないと断言できる。 今でこそそんなのは当たり前と分別も付くけれど、そう思えることが良いことかどうか それはまた違う問題だ。 けれど、あの時は大好きな友達... ...続きを見る

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2006/08/13 10:26
『子供たちは夜と遊ぶ』 by 辻村深月
まず、同年代の女性の作品ということが嬉しく、同時にもう少し高尚な文体・・・というか 固めの説明なり描写なり心情描写があってもいいのでは?と思った。 が、これは『子供たち』の物語。これで、良いのだと素直に感じられた。 ...続きを見る

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2006/08/01 21:26
『黒髪に恨みは深く―髪の毛ホラー傑作選』 by東 雅夫 (編集)
私は黒が好きだ。漆黒、という言葉にぶるっとするような戦慄を覚えるしなんとも艶かしい、それでいて孤高の気高さのようなものも併せ持つ、その色に魅了されるのだ。 こんなことをいったら中国や韓国の人に怒られるかもしれないけれど、 ストレートで滑らかなロングヘアーが最も似合うのは日本人ではないかと思う。 ...続きを見る

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2006/07/28 19:38
『第九の日 The Tragedy of Joy』 by瀬名 秀明
ロボットものは数えるほどしか読んでいない私だけれど、コレはまた新しい。 何が新しいって、人間の本性の追求にロボットを使うという逆転の発想が、だ。 ...続きを見る

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2006/07/23 01:11
『眠れぬ真珠』 by 石田衣良
銀河鉄道999のメーテルと鉄郎の別れのシーン、そして一条ゆかりの作品に、こんなのがあったなぁ・・・と、思い出した。ただ、あちらはハッピーエンドではないけれど(笑) ...続きを見る

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2006/07/18 20:00
『押入れのちよ』 by 荻原 浩
ホラーを読むのは久しぶりだ。しかも短編集とは。 例によって『ダ・ヴィンチ』の書評を読んで買ってみたのだが、やはりこの方法は役に立つ。 これは 都市伝説と俗に言うようなホラーや、『コックリさん』や『学校の怪談』並みのエンタメ系ホラーもあれば、思わずゾッとする、ひやりとする恐さのあるものまで幅広い。 ...続きを見る

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2006/07/15 06:26
『池袋ウエストゲートパークY』 by 石田衣良
久しぶりの続編!こういったシリーズものって、だんだんダレてきたりワンパターンだったり、つまらなくなってくるものなんだけれど、相変わらずのキレのよさに感服。 おなじみのキャラたちにあえて嬉しく思う私が居る。 タカシがたくさん出てきてカッコいい〜!と、年甲斐もなく黄色い声を上げる私が居る。 この間、実際にIWGPに行ってきたからなおのこと、情景がありありと目に浮かんでくる。 ...続きを見る

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2006/07/14 17:23
『ケッヘル』 by 中山可穂
中山の作品は、いつもどれも旅に満ちている。旅・巡礼・巡回そして死と再生。 『砂の器』を想起させる物語だった、といっても別の意味で面白い。 『砂の器』が一人の人生の視点を中心に、一つの流れが語られているのに対し、『ケッヘル』はいくつもの人生が2人の視点から語られ次第に寄合い、やがて一つに収斂され、出口を解決を見つけていく救済の物語だ。 ...続きを見る

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2006/07/08 06:46
『黒と茶の幻想』 by 恩田陸
かつての学生時代の同級生4人が、十数年の年月を経て、世間から離れたY島へ『非日常』の旅に出る。深い森林を抜け、山を登りゆく中で繰り広げられるのは彼らそれぞれの『過去』という森の物語。 同じときを共有していたはずなのに、流れている時間も、見てきたものも、感じていたものも、何もかもが各々違う。 わだかまりを抱えたまま『大人』になって、森を抜けた気になっていた彼ら。 4人にとってこの旅は封印されたままになっていた『過去』という『森』を開いて、もう一度向き直ることで過去の森を抜ける通過儀礼だったの... ...続きを見る

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2006/06/25 01:43
『この本が、世界に存在するということに』 by 角田光代
本が好きな人のために、本を愛する人が書いた、本好きのためのエッセイ集。 それがこの本。私は本を買うときの指標して月刊誌『ダ・ヴィンチ』をいつもあげている。 たいてい、コレにのっている書評通りに買うと後悔しないからだ。 で、今回もやはり、ダビンチの書評に惹かれて買ったのだ。 紹介文には「本好きにはたまらない」といったようなことが書かれていたから。 言わずともがな、私は大の本好きである。 物語がすきなのか、中身=世界観が好きなのか、文字を読むという行為が楽しいのか、その辺は微妙なところだ... ...続きを見る

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2006/06/17 21:52
『うそうそ』 by 畠中恵
だんだん、たんなる妖怪モノ、ファンタジーコメディーものに収まらなくなってきた感じだ。 でも、これぞ読みがいがあるってもんだとも思う。 少し重くて、悲しくて、チリチリ心が痛むような、心の話。 人は誰でも・・・いや、妖怪でも神様ですらも、心があるということは自分以外を思うということだし、他人を思うということはそれだけ己=自分も犠牲にしなくてはいけなかったりもする。 心の許容範囲、キャパシティがあるとしたら他人にそのキャパを割く分はどうしたって、自分のことは多少なりとも削らなくちゃならないこと... ...続きを見る

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2006/06/04 20:55
『星々の舟』 by 村山由佳
久しぶりの読書になってしまった・・・仕事始めるとどうしてもこうだ。 けれど、読む間がなかなか取れない中、 何気に読んだ「一昔前にヒットした作品」で涙した。 ...続きを見る

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2006/05/17 01:16
『悪党たちは千里を走る』 by 貫井徳郎
憎めないキャラ、小気味良いリズム、茶目っ気のあるストーリー。 全体に楽しく読める、ミステリーというよりはエンタメかなと思うけれど、面白かった。 このくらい軽いと頭使わずに楽しく読めていい。 『天才バカボン』の歌で「真面目に生きりゃバカを見る〜ホンジャマカ・・・♪」 なんてのがあったなぁって思い出したりして、それを地で行ったような感じだ。 真面目に生きて失敗して、コスイやり方で小悪党の詐欺人生を歩んできた奴らが ひょんなことから結託することになり、犬を誘拐して身代金を・・・ と思った... ...続きを見る

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2006/04/17 01:27
『終末のフール』 by 伊坂幸太郎
改めて伊坂氏はオムニバスの天才だと思った。 オムニバスというよりはリンクの見事さかもしれない。 ある一つの世界にある一つの出来事が起こるが、彼らそれぞれの身に起こることは全く違う。 ...続きを見る

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2006/04/07 01:55
『おまかせハウスの人々』 by 菅浩江
『雨の檻』以来ずっと読み続けてきた菅先生の作品の最新刊!『雨の檻』はもちろんのこと、『アイアム』、『永遠の森』などが私の中で大好きな作品だった。とくに前2者はテーマが重く、切ないものが多い・・・ああそういえば、どちらもロボットものだ!今気がついた。 日本のロボット物作品というのはどうにも暗く重い物が多いと思う。 アラレちゃんはともかく、アトムでさえ明るく軽い物では消してない。 どの作品でも、ロボットには未来がないのである。(もちろん一概には言えないが) 永遠の時間を持ちながら、彼らには将... ...続きを見る

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2006/03/25 15:43
『サユリ1号』 by 村上かつら
ずっと前に買った本を一気読みした。 内容は単純明快。主人公(直哉)は平凡な大学生で、理想の妄想上の女の子「サユリ」に憧れ続けているが、それを知るのは幼馴染の女友達チコちゃんだけ。そんな彼らの前にミスコンの超美人・・・サユリを具現化したような女「大橋ユキ」が現れ、彼はすっかりとりこになってしまい振り回され傷ついてしまう・・・といったもの。そこに未だ童貞・初心なチコちゃんの葛藤が加わり、傷ついた直哉はチコが本当に大切な人なのだということに気づくことが出来るが、今度は逆にユキの壊れている部分を目の当... ...続きを見る

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2006/03/18 10:11
『40 翼ふただび』 by 石田衣良
待っていました!こういう作品!といいたい。正直ここのところ石田作品に「これぞ」と思うようなものが無かった。が、ようやく、きた。来ました。 こんなにドキドキ、ジリジリしながら読んだのは久しぶりである。 いつの間にか引き込まれ、一生懸命応援している私がいる。 ラストのイベントの成功に涙する主人公喜一より前に、私が涙していた。 ...続きを見る

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2006/03/12 02:13
『春にして君を離れ』 by アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット)
良妻賢母の主人公ジョーンが、単身旅行の帰り道、かつての学友と偶然会い、 一抹の不安を掻き立てられたことからすべてのものがひっくり返っていく。 自分の信じてきた夫、子供たち、家庭、過去、自分自身の落ち度の無い人生・・・すべて。 だれも死なない、殺人事件すらないこの作品は、ミステリー以上に心を切り裂くミステリーだと思う。 人間、だれもが過去を持っている。 自分が培ってきた人生経験や築き上げてきた人間関係、取り巻いてきた環境など、様々な過去を土台に今を生きているわけだ。 そして過去つまりは... ...続きを見る

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2006/03/10 01:22
『図書館戦争』 by 有川浩
前3作に続いて久々の新作!楽しみにしていたかいがあった。 相変わらずのちょいミリタリーものだが、前作『海の底』ほどには特殊用語・専門用語が飛び変わらないだけわかりやすい。  有川先生の作品の魅力のひとつは徹底した口語とドラマの脚本を読んでいるかのような臨場感、目に浮かぶようなキャラクターのやり取り挙手挙動、だろうと思う。 それが純文学や堅い文に慣れている方々からすれば邪道であったり、見苦しいものに当たるかもしれない。私も実を言うと、少し辟易する時も、ほんの少しだがある。 ついでにいうと、... ...続きを見る

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2006/03/07 01:22
『クロスファイア』 by 宮部みゆき
もともとサイキックモノやアクションモノは読まないのだが、私の大好きな宮部みゆきの作品、しかも友達が進めてくれるのだから読まずには置けない、ということで一読。 こういうのはちょっと・・・と思っていたが、読んで読んで、読み進んでしまった。 こういうのを「読ませる」力というのだろう。単純に、面白かったのだ。 飛びぬけてよかったとか、面白いとか、はらはらするとかではないが、一気に読めた。 特異な能力を持つ能力者たちが、自分の特異性は何かの使命を帯びている→正義のために使わなくてはいけない・・・と... ...続きを見る

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2006/03/04 18:25
『となり町戦争』 by三崎亜紀
少し前に『宇宙戦争』をみて、かなり落胆した私だがそれにも負けず劣らず落胆した。 期待が大きいと、観た時、読んだ時に期待はずれ=落胆のほども大きいということが身にしみる今日この頃だ。 発送も、話の運びも無理が無いしわかりやすい。 何が言いたいのか、というのも、(読みが間違っていなければだが)悪くないが、 なんせ、面白みが無い。 日常に埋没してしまって、見えないことに、観ないことに、気がつかないことに慣れてしまっている我々現代人。今生きていることさえ当たり前のように、日々平凡な人生を送って... ...続きを見る

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2006/03/02 19:08
『容疑者Xの献身』 by 東野圭吾
遅ればせながら、直木賞受賞作を読了。さすが直木賞(よい意味でも悪い意味でも)半日かからず読み切れてしまう読みやすさだった。エンターテイメント部門としては、いい作品だった。 ミステリとしては「刑事コロンボ」型(つまり最初に犯行現場と犯人が読者に提示され、それを紐解いていく警察側の推理モノ)かと思っていただけに、スパッと私の予想を裏切ってくれた。 ネタバレになってしまうので詳しくはかけないけれど、作中、主人公の言葉にある、そして何度と泣く出てくる言葉が、「思い込み」「死角」ということ。(そういえ... ...続きを見る

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2006/02/26 02:32
『秘密』 by 東野圭吾
映画が駄作だったため、読むまいと思っていた作品だが、著者の直木賞受賞を記念して(?)読んでみた。予想外に、よかった・・・予想以上に切なかった。 とうの昔に読まれ、多くの人が感想も書評も書きつくした後だろうから、私が細かいことを言うのはやめて置こう。けれどひとつだけ。 この作品を読んで、妻・直子を非難したり、夫・平介に同情したりするのはお門違いだ。 最後の最後で明かされた直子のとった行動、永遠の『秘密』は、夫・平介との暗黙の了解での秘密である。よく『墓場まで持っていく』秘密という言葉があるが... ...続きを見る

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2006/02/21 01:56
『東京タワー』 by リリー・フランキー  ~オカンとボクと、時々、オトン~
時々、人に読ませたい作品というものに会う。勿論いい作品はどれも、多くの人に認めてもらいたくて友達や先輩、親などに勧めてしまう私だが、今回のこれ、『東京タワー』は私の「オカン」に読ませたい作品だった。 母の母、つまり私の祖母は今叔父夫婦と同居している。私が生まれた時には既にそうなっていた。 叔父の嫁さんは気の強い人で派手好きで、教育ママで、成金趣味、というのが私の幼い頃からの印象で、祖母はまたそれに負けず劣らず強気の頑固者で、元気なおばあちゃん、だった。 祖母の体のあちらこちらに不具合が発生... ...続きを見る

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2006/02/13 01:21
恩田陸『エンド・ゲーム』
人生はオセロゲーム。「裏返される」ということが拝島家に起こった悲劇だ。 自分の信じてきたものが否定されるということ、自分の絶対基準が崩れてしまうということ、正負が逆になった世界、常識と信じていたものが何一つ通用しない世界、自分が無力であるということ。 彼らは各々、それぞれが「真実」と信じている世界へ逃げ、その世界で足掻き、 しかしどこかでそれが真実ではないと知っているから苦しむ。逃げ切れずに気がついてしまう。 拝島家が戦う相手は正体不明の「あれ」。彼らは常に拝島を裏返そうと出現し、 裏... ...続きを見る

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2006/02/06 01:08
『果てしなき流れの果てに』 by小松左京 人間とは・・・
まずストーリーの壮大さと、エネルギッシュな展開、テーマ・着目点はすごい。 なにしろいきなり恐竜が出てきて、白亜紀の地球に電話が鳴っているのだから、 想定範囲外、としか言いようがない(笑) ...続きを見る

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2006/01/23 01:57
『砂漠』 by 伊坂幸太郎
伊坂作品は、やはりいい。 何がいいかって、テンポがいい、キャラがいい、構成がいい、読了後の気分がいい、そして自分に新しい目を開かせてくれる・・・とまでは言わないでも、新しい知識と世界を見せてくれるのは確かだ。 <<あらすじ>> 麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。(BOOK著者紹介情報... ...続きを見る

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2006/01/10 00:55
『ラインの虜囚』 by 田中芳樹
いきなりアレクサンドル・デュマが出てきたんで、なんだこりゃと思った。 途中まで読んで、随分簡略化した・・・というか、子供向けの「物語」だなと思って すぐにこれがミステリーランドシリーズだということを失念していたことに気がついた。 そう、これは「かつて子供だったあなたと少年少女のための」シリーズだった;; そう考えてもう一度読み直すと、とてもスマートでストレートで、読みやすく、しかも面白い冒険物語&成長物語であることがわかる。 主人公が少年でないことがなお新鮮で面白い。たいてい『成長物語... ...続きを見る

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2006/01/08 13:20
『生首に聞いてみろ』 by 法月綸太郎
彫刻家の川島伊作が病死しその直後、彼の娘・江知佳をモデル(石膏型取り)にした石膏像の首が切りとられた。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。名探偵・法月綸太郎の推理の行方は――!?(WEB KADOKAWAより) 石膏像は24年前の作品『母子像』の連作であり、かつてのものは母(妻)が娘(エチカ)を宿している時のもの。娘の石膏像が完成することでこの「母子」像は完成するかに見えたが・・・首切断。 そして彼女も又、行方不明となり、後日首だけとなった死体が郵送された。 エチカは死ぬま... ...続きを見る

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2006/01/05 01:32
『極点飛行』 by 笹本 稜平
世界から隔絶された辺境の地、北極。 ここにかつて世界で繰り広げられた戦争と国家紛争の残した副産物が埋まっている? 「ナチスの金塊」の幻想に振り回される強欲な人間、組織、そしてその国家。 しかし本当にそこに眠るものは・・・ 北極チリ観測基地を牛耳る日系実業家「アイスマン」に専属パイロットとして雇われた彬。 アイスマンの姪・ナオミ、そしてその婚約者の謎のの死、そして彼の両親の拉致。 全てがこの北極に眠る「財宝」に始まる悲劇だった。 ...続きを見る

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2006/01/02 01:40
映画 『ZOO』 by原作:乙一
原作を見たのがもうかなり前のことのような気がする。 乙一の作品との出会いは『夏と花火と私の死体』。あれからどこか優しい、そして残酷な、悲しい物語に惹かれて次々と読んでいる。同じ頃に読み始めた作家が石田衣良だ。 ちょうどミステリーにはまっていたということもあるが、どこか似た傾向があると思うのは私だけだろうか?勿論、お二方とも若くて新生の如く人気を博した、ミステリー作家だということはゆるがない。 ただ、今回この映画を見て思い出したのは、乙一作品における汎的な優しさだ。 たとえば『IWGP』シ... ...続きを見る

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2005/12/17 00:43
『ナラタージュ』 by 島本理生 読了報告
今年の恋愛小説としてポイントが高く評価されていたので、読んで見た。 普段、純粋に恋愛小説ってよんだことあまりないし、どちらかというと軽いものに見てしまうのだが、 これは違った。何が違うって、まず読ませる力のある文章、話運びだったということ。 ところどころ、両親の話や旅行の話、友達の話や過去の話が入ってきて、 なんだかすごくリアルに感じる。 ほんの少ししか出てこないのに、主人公泉の両親が素敵に思えるのはなぜだろう(笑) ...続きを見る

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2005/12/12 01:33
『ダ・ヴィンチ』1月号 =BEST BOOK2005
今日の御題は私の愛読雑誌『ダ・ヴィンチ』から。 今月号(2006年1月号)は2005年のベストランキング! 毎月買っている雑誌だが、この号読むだけでもこの一年、どんな本があったか思い出せる。 思い出す・・・といっても、なかなか読めなかった後半だったが 私は本を買うときはまず、『ダヴィンチ』の書評を参考にしているから『外す』ことが滅多にない。 お陰で少ない読了本でもいいものを読んだという充足感がある♪ ...続きを見る

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2005/12/10 00:58
『不思議な少年』 by山下和美 待望の4巻!
老若男女とわず、頭のよしあし問わず、自信を持って薦められる作品の一つだ。 待ちに待った待望の第4巻! 久しぶりに哲学してしまう漫画だが今回は非常に面白い。 というのは前半の作品は 悲劇が多いのだが  後半の長編は、はっきり言ってん、小難しく考えるよりももっと、 読んで楽しんで、感覚と主観で理解していけるものだからだ。 いつも客観的な、一歩違う次元から見下ろすようなかの「不思議な少年」だが、 今回は違う。 少年として、女として、伴侶として、友として・・・ 一人の人間の半生に付き添い、... ...続きを見る

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2005/11/23 12:47
『働きマン』by安野モヨコ ・・・働く女、いまはたらけ!
最近、書評や雑誌の本の紹介コーナーでよく見かけるのが「働く女」をテーマにしたもの。 今一番、注目を浴びているのは『働きマン』だろうか? 編集者としてバリバリに仕事をこなす女主人公・松方を中心に、過酷な仕事場で「男スイッチ」をONにして日々闘争し続けるワーキングマンたち。 そこには老若男女問わず現場(仕事場)で様々な舞台模様が繰り広げられていく・・・ 主人公がまずかっこいい!バリバリのキャリアウーマン・・・というのとはちょっと違った、もっと汗臭いくらいに(笑)仕事に走る女。なにもメガネを... ...続きを見る

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2005/11/19 01:06
名作平積み大作戦! 
NHKの番組「名作平積み大作戦!」は最近私のお気に入り番組の一つとなっている。 水曜日の楽しみに「トリビア」に加えてもう一つ、知識の増える機会を得た。 主旨は、題名ばかりがやたらと知られている『名作』を様々な切り口でプレゼンし、各書店へ『平積み』を呼びかけ、より多くの人に改めて名作を読んでもらう、というものだ。 この活字離れが激しい中、非常に知的好奇心湧く番組である。 そして毎回、作品があってそれを読み解く、のではなく、テーマがあってそれに即した・もしくは関連した作品を2点ピックアップし... ...続きを見る

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2005/11/17 02:05
「風の古道」 〜『夜市』より 〜書評
昔、妄想激しく小説ネタを考えめぐらせていた頃、こんなことを思い浮かべた。  「もし未来や過去に行って、(過去の世界で)自分が産んだ人間が、実は現在の世界では自分の恋人だったら、どうするだろう?」というネタだ。 もしくは逆に、自分が過去に行って「彼」を産まなければ「彼」の存在がなくなってしまう、なんてことになったら・・・などなど。  弱い頭でよくもまあ、考えたものだ。そういったストーリーに心躍らせていた時代だったのだろうけれど、この「風の古道」を読んでいる途中、そんな記憶が鮮明によみがえっ... ...続きを見る

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2005/11/15 01:40
『夜市』 by 恒川光太郎 より、書評
この世の者ではない人外の妖怪たちや死者たちが営む異世界での「夜市」。 ぞこに足を踏み入れてしまった人間は、「何か」を買わなくては本の世界に帰れない・・・。 幼い頃、弟と二人ここへ踏み入れてしまった祐司は、そこを出るために弟を人買いに売ってしまった。「野球の才能」という器(器量)と引き換えに。祐司が帰ったもとの世界に、弟の存在する余地は消えていた。そして月日は流れ、祐司は再び昔の同級生いずみと共に夜市へと向かう。 ...続きを見る

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2005/11/14 00:55
大衆と個と。集団への埋没と。 『呼吸』 by 伊坂幸太郎
 「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、   水に流されないで立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」 『魔王』の後編、『呼吸』の後半より一部分を抜粋した。 あくまで個人的な好き嫌いも含めての見解なのだが、小泉政権が絶対的な権力を行使している最近の政治に、私は正直辟易している。 小泉内閣の支持率は今なお健在、第三次小泉内閣支持率は53%へ9ポイント上がったというからあまり大きな声で不支持を叫べないのだが。 それでも私はこの支持率に疑問をぬぐえない。 一般的に日本人は「お祭り好き」... ...続きを見る

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2005/11/05 03:16
終戦六十周年記念ドラマ『火垂るの墓』
またドラマ化かよ?アニメがあんなに良いんだからやめときゃ良いのに。というのが先入観。 最終的には、これはこれで、アニメとは全く違ったもう一つの戦争の物語として非常に興味深く心に残る作品ではある、というものだった。 ...続きを見る

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2005/11/02 01:07
『魔王』 by 伊坂幸太郎
サイン本をせっかく買ったというのに未だ読みきっていない・・・伊坂幸太郎の新刊『魔王』 『魔王』とその続編『呼吸』が入っているこのハードカバー。 この超人気作家の本が予約購入するだけでサイン本になるというのだから嬉しかった。 勢いいさんですぐさま注文し、買ったはいいがなかなか読む機会がなくなってしまった今日この頃だ。 一ヶ月ほど前までは仕事無しのプータロウだった私。あの頃は毎日1冊以上平気で読んでいた長編小説だが・・・仕事が入った今、もはや漫画本すら一日一冊こなせない・・・(;O;) 私に... ...続きを見る

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2005/11/01 01:42
野波浩の仲介人
今日、『野波浩』の写真集発売記念のサイン会があった・・・らしい。 本当は行きたかった・・・けど、どうしてもいけなかったのでせめてサイン本だけでも、と 通販で注文することにした。今や縁があればサイン本が通販で事前注文できる時代・・・ なかなかサイン会等にいけない私としてはこういうのは本当に嬉しい。 以前、野波氏の展示会イベントにいったことはある。イヤ、本当に素晴らしかった。 もちろん画集をみるだけでも酔いしいれてしまう世界だが、あの幻想的かつ艶美、優美な 繊細さ。美しさ。見るものをと... ...続きを見る

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2005/10/24 01:49
映画『今、会いに行きます』 やっと見ました!
アレだけ世間で騒がれていたのに未だ見ていなかった「今会い」。 やっとWOWOWでやってくれたので、やっと見ることが出来た。 正直ドラマにはちょっとうんざりしていたので(あのテンポのなさと強弱のなさがあまりにつまらなくて)、映画はどれほどのものかと世間一般の『涙』を半信半疑で臨んだのだけれど。 以外にも良かった。泣けるとまでは行かなかったけど、映画館で集中して見たら、泣いたかもしれない。 けれどつっこむべくは、あの子供。どう考えたってあんな小さな子が「自分のせいでお母さんが死んだ」なんて理... ...続きを見る

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2005/10/17 01:26
アンチ『葉っぱのフレディ』 児童文学あれこれ(1)
さて、私は実のこといいますと、けっこう童話や児童文学が好きだったりします。 今でも心に残っている絵本や童話がたくさんあるし、そういうものは本当にいつまでも忘れることが出来ません。 きっと子供の頃に読んだものってある意味一生を左右する要因の一つになるんじゃないでしょうか? きっと誰にでも忘れられない本や、心空はなれない心象風景のような挿絵が、絵本が、あると思います。何年か前、大人のための童話、なんてのが一時はやって、有名なものでは 『100万回生きた猫』とか、『葉っぱのフレディ』とかでしょう... ...続きを見る

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2005/10/12 01:23
『蒲公英草紙』 by 恩田陸
前作『光の帝国』に続く常野物語の続編、ということで楽しみにしていたのですがなんだかもっと別のものを読んでいる気がした。 物語の中心をなすのが地主?の旧家のお嬢様「聡子」と、その話し相手を務める少女「峰子」、そして彼女らを取り巻く時代と新しい時代の波。 時代は戦前とはいえ、露西亜に対する敵愾心や日本という国に尽くそうとする精神、その一方で外国の真新しい文化が輸入されめまぐるしい時代の変化が押し寄せている頃。 日本を愛する人と新しい時代=「にゅーせんちゅりー」(NewCentury)を賞賛する... ...続きを見る

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2005/10/11 00:58
「世界の中心で、愛をさけぶ」 by 片山恭一
昨日、久しぶりに「世界の中心で〜」映画を見た。実のこというとこれを最初に原作で読んだ時、帯の言葉に惹かれて読んだのだが期待はずれだった。というか、期待しすぎて拍子抜けしたという感じだ。美しく純愛の物語だ。登場する誰もがアキのことを思い、誰もが愛のために生きている。 そして何よりサクのアキに対する態度、アキの死への向き合い方があまりに懸命過ぎて素直すぎて、感情移入できない。第一、今時の少年少女があんなあからさまに一緒に登下校したり、お付き合いするか?と不自然ささえ感じていた。 最初のうちは。 ... ...続きを見る

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2005/09/30 02:00
『バッテリー』 by あさのあつこ
小学生としては天才的なピッチャー巧は田舎に越してきた中学を控えた春休み。自分の才能に自信を持ち、他人も他のことも切り捨てクールに振舞う彼はただ一人、誰にも受け止めきれない速球を投げ続ける。しかしこの田舎で同年のキャッチャー豪に出会い、バッテリーを組む。 ...続きを見る

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2005/09/28 01:12
『フランダースの犬』より ネロを救わないキリストさまへ
ネロ、なんて不吉な名前をこの作者はつけたのだろうと最初思った。かの暴君ローマ皇帝ネロと同じだからだ。もちろんローマ字での綴りは「Nello」と「Nero」全く違うのでお間違いのないよう。 それにしてもこの物語がなぜこういう結末になる必要があるのか、長年の謎であった。『マッチ売りの少女』もそうだ。なぜ敬虔な、純粋で優しい『良い子』が散々な目にあった挙句死なねばならないのか。神は彼らを生きている間に救うことはせず、死んだ後「天に召される」すなわち神の国に導かれるという形でしか救わない。何故か? ... ...続きを見る

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2005/09/27 01:45
『コロビマス』 by 山本音也 隠れ切支丹への鎮魂
キリスト教を批判する人の言葉に必ず上るのが「なぜ救ってくれないのか?」という言葉。 仏教と違ってキリスト教は主=神=デウスが人をはじめとする万物を作ったのであり、かの有名な旧約聖書のくだりにある通り、エデンの園から人を追放し、原罪を背負わせた。『産めよ、殖えよ』といいながら、その罪の代償としてお産の苦しみを与え、永遠に取り除かれることの無い『原罪』の烙印を押した。そうした上でデウスを信じるものは救われる、神の国に迎えられるという。 時代は鎖国の日本、江戸時代の長崎。 基督教徒は狩られ、殺さ... ...続きを見る

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2005/09/26 02:29
『しゃばけ』〜『おまけのこ』 by 畠中恵  妖怪への賛歌
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」「おまけのこ」とシリーズが続くにつれ、だいぶ「謎」の部分が削げ落ちてミステリー的な分野からコメディーものになってきた(笑) もちろん悪い意味ではない。ただ最初、そう、「しゃばけ」を読んでいた頃はミステリーとして紹介されていた節があったので、かえって本来のカテゴリーに落ち着いたという感じだ。 薬種問屋&回船問屋の若旦那「一太郎」は、体質虚弱、体が弱く外出もままならない。両親には甘やかされ、実は大妖怪である手代2人に始終見張られ大事に育てられている。 そん... ...続きを見る

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2005/09/25 01:35
『東京DOLL』 by 石田衣良
天才GAME製作者GM(相良)が次回作のモデルとして雇ったヨリは本当に愛する人の「悪い未来」を予知してしまう特殊な、一風変わった少女だ。 東京で偶然的に出会ったこの少女に次第に惹かれて行くGM。弱さをさらけ出せる、自分から愛することが出来る相手にめぐり合った。 しかしGMには婚約者がいる、ヨリにも彼氏?がいる。GAME製作チームは大手の圧力に崩れ始め、GMの周囲がだんだん、壊れていく。ヨリも、婚約者も、仲間も去っていく予兆がする。 ...続きを見る

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2005/09/24 16:53
『雨の檻』 by 菅浩江
恒星間宇宙船の一室でずっと暮らす少女シノと世話役ロボット・フィー。ここでは外の情報が遮断され、宇宙船の『中枢』により映し出された偽の風景が見えるだけだった。しかしシノの部屋の風景は『雨』しか写さなくなり、フィーは次第に狂いだす。 シノを愛し、懸命に尽くしてくれる母親代わりのロボット・フィーは『中枢』の分身である。シノは知らない。部屋の外が死の空間であること、彼女が最後の生存者…『中枢』の守るべき最後の子供であったこと、彼女はもう子供ですらない老婆ですらあったことを・・・ 読み終えて、涙が... ...続きを見る

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2005/09/24 01:02
『女王様と私』 by 歌野昌午
半分引きこもりでデブ、さえないオタク、ロリコン、40代半ばのニート・・・いわゆる「キモイ」社会脱落者を地で行ったような男、真藤数馬は世界から隔絶し、ただ一人の「妹」(=人形)と自分の世界に生きることで完結していた。「女王様」来未に会うまでは。 大金を使わされ、ケチョン×2に下げずまれけなされ振り回される真藤だが、突然来未が態度を一変し彼女の友人たちに降りかかった殺人の真相解明に奔走する。 事件を追ううちに真藤は次第に自分から積極的に行動し、殻から出る…来未のために・・・とかくと、一人のダメ男... ...続きを見る

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2005/09/23 01:40
『アルレッキーノの棺』 by真瀬もと
■『アルレッキーノの棺』 by真瀬もと 早川書房ハヤカワ・ミステリワールド 時代は19世紀、ロンドン。主人(鷲見新平)の留守を預かる藤十郎は金欠で無宿に。 ひょんなことから「12人の道化クラブ」の12人目にされ、探偵まがいの仕事を引き受ける羽目に。 解決すべき怪事件には魔女、道化、奇妙な風習、迷信、伝説、殺人・・・ 様々なモノが絡まっていた。犯人は?魔女は?狙いは何か? 道化クラブに第2第3の殺人が起こり、魔の手は忍び寄る。   とまあ、こんな感じで。 本筋は現在の主人公と道化クラ... ...続きを見る

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2005/09/22 02:12
『サグラダ・ファミリア』 by 中山可穂 もう一つの家族の形
最近なにかと『家族』のあり方を考えることが多い。 親の数だけ家庭があり、家庭の数だけ家族がある。ただし家族の数だけ家庭があるわけではないし、また家庭に必ずしも家族があるとは限らない、というのがこの作品『サグラダ・ファミリア』、聖家族から得た一つの答えだ。 家族とは何か、理想の家庭とは何か、なんていうのはどこにもありがちなテーマだが、この作中の主人公たちほど奇異な形はないし、逆に彼らのようなどこにも属さないタイプの『家族』から、家族に本当に必要なもの、最低限あればいいもの、が浮かび上がってくる... ...続きを見る

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2005/09/21 01:18
『魂萌え!』 by 桐生夏生
 自分の父と母が主人公たちと同世代であることを踏まえて、この作品の登場人物たちが非常にエネルギッシュに、年齢異常に若々しく感じるのは私だけだろうか?それとも私の父母が老けすぎているだけだろうか? そもそも我が家はこういった「秘密」をお互い持っていない、本当にごく平凡な家族である。「もしかしたらあるかもしれない」「そんなこと、この主人公のように夫(父母)が死んで見なけりゃ分からない」ということもいえるのかもしれないが、それでもまあ、まずそういうことは無い。かえって残念なくらいに。母は年中腰の痛み... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 1

2005/09/20 01:17
『孤宿の人』 by 宮部みゆき
書評や解説に、「悪鬼とされて流されてきた罪人加賀様が無垢な少女ほうとふれあい、心を開いていく」とか書かれているが、どこがだ?と聞きたくなる。この作品は、そんなことを書きたくてかかれたものではないだろう?見当違いも甚だしい。 主題は、誰の心にも潜む、光と闇、仏と鬼の二面性。 そしてその「鬼」がふとしたことで形を成してしまうこと、 人間というものは、あるいは他のモノに心の闇をなすり付けて「鬼」としてしまうことがある、 そういうことがこの作品全体を揺り動かし、貫いているのではないか。 無垢な... ...続きを見る

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2005/09/19 02:23
『変容』 by 伊藤整
老年期、60を前にした老人が主人公であるこの小説を、まだ20代である私が読んで感想を書く、というのもおこがましいが、それでも大いに感じるところがあった。近年、老人のお見合いとか、老人同士のデートだとか、熟年結婚だとか、そういった老年期を迎えたお年寄りのカップルが誕生している、またそういう動きを支援する企業などがあるという。親がいて、子がいて、さらにその子は父母となり、その親は祖父母となる。当たり前のことだが誰もが追いを迎え年をとるに従って夫婦は死別する。残された人生を子や孫と暮らすか、1人で暮ら... ...続きを見る

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2005/09/18 00:22
『銀の兜の夜』 by 丸山健二
己の中のもうひとつの自分との葛藤。そういってしまえばそれまでかもしれない。 一応ミステリー仕立てになってはいるが、これを読んでいて真犯人が主人公のほかにいるとか、トッペルゲンガーの仕業だとか、河童がやったのだとか考える読者はまずいないだろう。野暮である。 主人公は山奥鄙びた田舎にうもれながら、常に「自由」を求めてやまない少年〜青年である。 ある日海から引き上げた「銀の兜」。その日を境に、父が死に、母が死に、住職が死に、「私」は自分の分身と河童とを見るようになる。怪奇とも幻想ともいえるストー... ...続きを見る

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2005/09/17 01:35
『光の帝国 常野物語』 by 恩田陸
常世の国、から『常野』を見てきた。これで『常野』が光の帝国であり、彼ら常野の子孫、子供たちが不思議な能力を持ち散っていったというモチーフの理由が分かる。すべて常野の国から来た光り輝く小さき神、少彦名神を下敷きにした物語なのである。ただこの子たち(常野の民)は特殊能力をもちこそすれ、決して力強くもなく、表面化してきたわけでもない。ひっそりと世間に溶け込み転々と彷徨する。「権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれ」という意味の『常野』。 彼らの祖先はみなバラバラに散って行き、息を潜めて隠れるよう... ...続きを見る

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2005/08/05 13:29
『光の帝国』by 恩田陸 によせて 前置き「常世の国」について
私が小学生の頃であろうか、国語の教科書の何かの作品に『常世の虫』という単語があった記憶がある。誰の、どんな題だったかも覚えていないのだが、とにかくこの言葉、単語だけ覚えており、後に荒俣宏の『怪物の友』(集英社文庫)にその項を見た時、「ああこのことか!」と思い出した経験があるので小学生の教科書のどこかに乗っていたことだけは確かなのである。  ―『常世』 この言葉は以前書いた熊野に通じるところがある、黄泉の国である。古代日本からあるとされた理想郷であり死の国であり神の国である。少彦名神(スクナヒコ... ...続きを見る

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2005/08/04 18:04
妖怪 『妖怪大談義』 by 京極夏彦・篇
今をときめく有名人がずらりと並んだ対京極氏の対談集!待っていましたとばかりに買った。読んだのも随分前になってしまったが、この辺で『巡礼』に加えて民俗学、ことに『妖怪』についてのカテゴリーも作ろうと思い、今日書き出した。 『妖怪大談義』まったく始終妖怪のことばかり話している対談集である。実にさまざまな方々が京極氏と妖怪について対談し、議論討論を重ねている。かと思えば笑い話のノリだったり雑談だったり。 学問的な問答と、通俗的な会話とが混在していて読むものをあきさせない。これぞ妖怪の容貌そのもので... ...続きを見る

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2005/08/03 19:35
『ブードゥーチャイルド』 by 歌野晶午
さてたまには普通にミステリの読了といきましょう。 『葉桜〜』ではまった歌野作品ですが、正直物足りない。『葉桜〜』があまりにどんでん返しで意表をついたラストだったのに対して、少し幼稚な感じがしたことと、謎が分かり易すぎたこと。 だから途中から出てきた「天才少年」が、本当だったら天才的に読者の先をきって事件を説明するはずが、読者に先読みされてしまって・・・その如才さが弱い。まるで京○堂みたいに、不思議なことなんて何もないみたいなことを言っていても、彼みたいな人間離れの仕方ではない。  とはいうも... ...続きを見る

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2005/08/02 21:03
巡礼 『火車』 by 宮部みゆき
ものすごく今更、なのだが『火車』を読了。正直、キャラクターの魅力や引き込まれるような勢いが感じられるという作品ではなかった。しかし強く後を引く、というより引き摺られる作品だ。 カードローンと借金地獄、不幸続きな人生、孤独な年月。すべての「火の車」から飛び降りてあるべきはずの自分になりたかった一人の女性(A)。彼女は同類の女(B)=今の自分を殺して他人になりきることで新たな人生を歩みだそうとし、姿をくらまし、彷徨する。しかし結局なりきれなかった。逃げ場は何処にもないのだとはっきり告げられた終結。... ...続きを見る

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2005/08/01 23:41
巡礼 再生『永遠の仔』 by 天童荒太
聖地巡礼の中に、山に登るというものがある。高野聖といい、修験者といい、山の頂上に何かを求め、その頂点に救いを見るからである。日本に古来から根付いている山岳信仰はかの阿弥陀来迎図にも見られるように、仏教と混ざり高まり一つの大きな理想郷・神・救いの座を位置づけた。 この『永遠の仔』でもしかり。霊峰の頂上を目指したこの仔たちは、まさにこの山の頂に救いを求めたのであり、自分の穢れた身を浄化してくれることを願い旅にでたのだ。これが巡礼といわずして何と言おうか。 彼らはいわゆるアダルトチルドレン、両親に... ...続きを見る

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2005/07/19 19:54
巡礼 『感情教育』 by 中山可穂
しばらく『巡礼』というものを、モチーフにいくつか語っていこうと思う。 母の愛を知らずに育ったレズビアンの女の末路、こんな言い方をしたらこの本を読んだ読者には殺されかねない。 主人公は二人の女性。全体の3分の1は那智の、3分の1は理緒の、そして最後に2人の出会いとラストまでが書かれている。那智は期待せず、諦めることで自分を守り流れるままに受身の人生を送っていく。 理緒は女だけを好きになり、本当の恋を出来ずに生きてきた。 二人の共通するところは愛されたことがないこと。愛し方が分からないこと。ともに... ...続きを見る

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2005/07/16 17:47
オーデュポンの祈り by伊坂幸太郎
未来を知ることが出来たら、あなたならどうするだろう?しかも長い長い間、人が変わって、風景が変わって、時間が流れても自分は未来のことを見続け、それが現実になっていくのをただ傍観している。そんな長い年月を生きなければならなかったとしたら、どうなるだろう? その島は 外界から隔離された「別世界」で、住民は無法地帯そのもののような突拍子もない人々で、疑問を持つことすら無意味に思えてくる空間だ。 しかもそこには未来を予言し言葉をしゃべる「案山子」がいる。存在自体が「法」であるという殺人者がいる。 そして... ...続きを見る

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2005/07/15 19:23
『死神の精度』 by 伊坂幸太郎
久しぶりに出た伊坂幸太郎の新作!やっと読めた!(^^♪ この人には珍しい短編だ。しかもミステリーではない。「死神」が見取った(もしくは見送った)人々の短い物語。死神といえば今人気の漫画、『DEATH NOTE』を思い出すが、どうしてこう『死神』って感覚がずれていてシュールで面白いんだろう。むかし私が聞いた死神は・大きい鎌を持って・幽霊の親戚みたいなもので・黒い頭からかぶるマントをはおり・顔は骸骨で・人知れず有無を言わさず魂を奪っていく・・・とまあ、悪の権現みたいなやつだったが。なんだか最近の死... ...続きを見る

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2005/07/12 20:56
『海の底』 by 有川浩
空の中、に続いて有川氏の作品です。やっぱりSFチックですが、こちらのほうがまだ現実味がありました。怪物云々よりも、全国規模で「ある大事件」が起こったときの、日本の脆弱さが浮き彫り担っているのが面白い。問題はちょっと離れるけど、日本は今「平和」と自己防衛と、戦力の有無とでゆれている。いわゆる自衛隊をはじめ、戦力の保持が必要かどうかという問題だ。そんな状態だから、「何か」あっても結局日本は何も出来ない。決断できず、しどろもどろしている間に当の戦争は終わってしまう。先のアラブ諸国での問題でそれは明らか... ...続きを見る

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2005/07/11 23:51
『空の中』 by 有川 浩
久しぶりに読んだファンタジーだ。むしろSFか? まず主人公と怪物(といっていいのか?)白鯨の対話、こ気味良くて面白い、そしてリズム感がある。 主人公のこのこ気味良い会話やすっぱ抜けた性格が、読んでいるものに退屈を与えない。 逆に言えば被害状況や街の混乱などの真実味というか切迫感がなかったのが残念。 でもそういうところが気にならないくらい、面白かった。 この中で深く考えさせられるのは、人間という動物性。自然界の中で人間がどれだけ特殊な生物かということ、それが客観的に白鯨の言葉を借りてつづ... ...続きを見る

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2005/07/10 19:54
『亡国のイージス』 by 福井 晴敏
『亡国のイージス』 by 福井晴敏 今日の読了報告。まず、この物語のテーマはなにか?舞台は日本、登場人物も日本人。しかしながらこれを読んでいる私たち日本人は一体なんなのか?日本人とは何か?日本が何を求め、どう歩んできたのか?そういった謎(疑問)がひとつの要であると思う。惜しむらくはそのテーマに対して問いかけだけで終わってしまっているということだ。いや、私が浅はかなだけかもしれないが。 私たち日本人は「民族」はなくても「民俗」はある、という話を聞いたことがある。風習や芸術など、文化的な「日本」... ...続きを見る

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2005/07/09 18:44

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